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特集社説2012年12月17日(月)

衆院選2012「政権奪還」 安定政治への転換に期待する

 民主党政権の継続にNOの審判が下った。きのう投開票された第46回衆院選は、絶対安定多数の議席を確保した自民党の圧勝だった。連立を組む公明党と合わせて300議席を超え、勝敗ラインに設定した「自公で過半数」を大幅に上回る完勝だ。
 愛媛は自民党が前回の政権選択選挙でも示した地力を発揮した。民主党は議席を失い、日本維新の会が比例四国で復活当選した。
 今選挙の最大の焦点は「政権選択」にあった。前回、歴史的な政権交代を果たした民主党政権の3年余の是非が問われた。東日本大震災後、初の衆院選でもあり、国の針路も注目された。
 結果、民主党政権の失政を突き「日本を取り戻す」と訴えた自民党に有権者は未来を託した。なにより混乱、停滞から安定、力強い政治への転換を望んだと言えよう。
 争点となった重要政策で、自民党は原発容認や景気対策のための公共事業推進、自助に重きを置く社会保障などを主張した。憲法や外交・安保では改憲、保守色を前面に押し出した。民意を受け止めたものか、疑いがなくもない。
 だが、結果は重い。自公の新政権はデフレ脱却や持続可能な社会保障制度への見直し、原発政策、緊迫する近隣諸国との関係改善などの具体化に早急に手をつけ生活に安心をもたらさねばならない。
 ただ今回、乱立する政党間で多岐にわたる重要政策の争点が複雑に交錯した。自民党に票を投じた有権者が、その政策全てを信任したとみるのは早計だ。
 自民党が3年前の大敗の反省に立って党を再生し、選挙戦に臨んだとは言い難い。官僚主導の統治の仕組みや利益誘導型政治を排する道筋を示し得ていないからだ。民主党には政治主導や脱官僚、公助の理念はあっても、政策の実現手法や力量、能力がなく失望を招いた。自民圧勝はこの敵失に負うところも大だ。
 既成政党への不信を背景に生まれた第三極も、結果的に自民党を利した。選挙互助会的な色彩が強く、離合集散によって反既成政党票の一元的受け皿となる結集軸を打ち出せなかった。選択に迷う有権者に結局、昔なじみの党を選ばせたと言えよう。
 自公の政権復帰で、安倍晋三自民党総裁が首相に返り咲く。だが、参院は過半数に足りず「ねじれ国会」は残る。当面は与野党で政策ごとの連携を探り「決める政治」を進めざるを得まい。数を頼みの強引な政権運営による政治の混乱はもう許されない。
 安倍総裁は、任期途中で政権を投げ出した挫折経験から「一度失敗した人間が再挑戦できる社会を」と訴えていた。圧勝におごらず弱者に寛容な社会実現を期待したい。

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