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特集社説2012年12月27日(木)

第2次安倍内閣 威勢の良さより着実な歩みを

 自民党の安倍晋三内閣が発足した。3年3カ月ぶりの、公明党との連立政権だ。
 日本が不安定な状況に置かれたさなかでの船出である。経済も社会も内憂外患。課題克服のため、まずは安定した政権運営を望みたい。
 最初の仕事は、政治の信頼回復に尽きる。この3年間で国民は政治に背を向けた。稚拙な民主党政治の残したツケであり、存在感を示せなかった野党の責任でもある。
 安心して未来を託せる政権を持てない不幸を、国民は思い知らされた。地に足の付いた政治と政策を渇望する。
 安倍首相は党三役のうち、2ポストに女性を起用した。女性登用で、参院選に向け新しい自民党をアピールする狙いがあろう。野田聖子総務会長、高市早苗政調会長とも実績を重ねての登板だ。
 しかしある党幹部は早くも選挙応援への特化を主張し、「自説を主張されても困る」と言い放った。お飾り人事との認識なら時代錯誤だ。旧態依然の体質打破のため、2氏には積極的な発言と行動で存在感を示してもらいたい。
 デフレ脱却と経済再生―を衆院選公約に挙げた安倍首相は「日本経済再生本部」の設置を決めた。2%の物価上昇目標設定、大胆な金融緩和。消費税引き上げ前の景気回復と、目標は勇ましい。
 確かに金融緩和政策への期待に加え、年末のご祝儀相場で株価も上昇傾向にある。しかし実態経済とはほど遠く、厳しいかじ取りは続こう。
 注目したいのは外交力の立て直しだ。世界を取り巻く状況は激変している。日米地位協定の見直しや対中韓との領土交渉、拉致問題をめぐる北朝鮮との駆け引き―。
 それらに向き合う際、「国防軍」構想による国力誇示だけでは解決は遠かろう。国力とは、国民が安心して暮らせる国の豊かさであり品格である。震災復興も電源選択の在り方も、「国益」より「国民の利益」を軸に進めたい。
 安倍首相は参院選まで「安全運転」するというが、懸念されるのは政権を一定程度に掌握した後の姿勢である。5年前の首相時代、前のめりの姿勢になり、体調を壊して政権の座から降りた姿が目に焼き付いているからだ。
 5年間で政治家として成長したならば、強権と拙速はご法度だということも学んだはずだ。自公は衆院で再可決可能な議席を得た。しかし独善に陥ることなく、熟議の国会運営を望みたい。
 自民党はどう変わり、それをいかに実証するのか。「危機突破内閣」に求められるのは古い自民政治を精算し、どの政党もなし得なかった政治改革を進めることだ。
 もう、かつての自民党ではない―。そう胸を張って言える安倍首相を見てみたい。

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