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年の瀬の株高が政権と企業に問う課題

2012/12/29付
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 久々に明るい雰囲気で株式市場の1年の取引が終わった。大納会の日経平均株価の終値は前年末に比べ23%高い1万0395円18銭と、年初来高値を更新した。

 米国で大型減税の失効などが重なる「財政の崖」問題はくすぶるが、安倍政権下でデフレ脱却と円高是正が進むとの期待が高まり、外国人投資家を中心に日本市場への再評価が進んだ。

 しかし、株価の上昇は政策期待だけによるものではない。金融危機や東日本大震災などの外的ショックを克服するために企業が払ってきた努力も大きい。

 2012年度の決算予想を見ると、トヨタ自動車やソニーなど日本を代表する製造業は1ドル=80円前後の円高水準でも収益を伸ばせる体質になった。生産体制の見直しなどを進めた結果だ。そこへ円安の追い風が吹き、株価上昇に弾みがついたと見るべきだ。

 企業の攻めの姿勢も目立った。トムソン・ロイターによれば、今年の日本企業による外国企業の買収総額は857億ドルと前年比24%増え、00年以降で最大になった。米通信会社の買収を決めたソフトバンクのように投資リスクを取る姿勢を市場が評価した例もある。

 海外に目を転じると、米欧の中央銀行が市場の安定に力を尽くした1年だった。欧州中央銀行(ECB)は国債の買い取りを拡充し、通貨ユーロへの極端な悲観を封じた。米連邦準備理事会(FRB)は量的緩和第3弾(QE3)を実施し、米住宅市場には底入れの兆しが見え始めた。

 こうした米欧市場の落ち着きが、株式などリスクの高い資産に世界的に投資が向かいやすくなる一因となった。

 年の瀬の株高が来年も続くための条件は何か。

 安倍政権が円高是正とデフレ脱却へ向けて効果的な政策を実行するのは当然だ。日銀が独立性を保ちつつ、強力な金融緩和を進めていくことも必要になる。

 企業は変革の取り組みを続けるべきだ。米欧に比べ日本企業の資本効率が著しく低いという構造的な問題は、いぜんとして残る。低採算事業の思い切った見直しは、市場が企業に最も期待していることの一つである。

 今年は中国で日本製品の不買運動が起き、市場が動揺する場面があった。中国以外の新興国市場の開拓など、グローバルな成長戦略を深めることも来年の課題だ。

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日経平均株価、トヨタ自動車、トムソン・ロイター、ソニー、ソフトバンク、日銀

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主な市場指標

日経平均(円) 10,395.18 +72.20 28日 大引
NYダウ(ドル) 13,024.80 -71.51 28日 13:17
英FTSE100 5,925.37 -28.93 28日 16:35
ドル/円 86.04 - .06 -0.27円高 29日 3:12
ユーロ/円 113.76 - .80 -0.60円高 29日 3:12
長期金利(%) 0.795 -0.005 28日 15:33
NY原油(ドル) 90.87 -0.11 27日 終値
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