iPS細胞(人工多能性幹細胞)の研究などで森口尚史(ひさし)氏(48)が虚偽の論文を発表した問題で、東京医科歯科大は28日、内容を把握せずに森口氏の論文の共著者に名を連ねたとして、大学院時代の指導教官の佐藤千史(ちふみ)教授を停職2カ月の懲戒処分にすると発表した。森口氏に支出した旅費など約130万円も「不適切」として佐藤教授に返還を求める。
同大の調査委員会は、2003〜12年に学術誌に掲載された20本の共著論文について、佐藤教授が研究に関与しなかったり内容を把握しなかったりするのに名を連ねたと認定。「研究者としてあるまじき行為」とする報告書をまとめた。こうした論文にあるようなiPS細胞の研究が学内で行われたことはなく、倫理委員会への申請もなかったという。
学会発表などのために同大が森口氏に支払った国内外の旅費(5件)や論文掲載料などの返還も佐藤教授に求める。佐藤教授はこれらの予算の管理者だったが、そもそも研究に携わっていなかった。