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“最長の小説”の挿絵画家が死去
12月25日 16時17分

“最長の小説”の挿絵画家が死去

日本で最も長く続いているSF小説「宇宙英雄ローダン・シリーズ」。
昭和46年に出版が始まって以来、40年近くにわたってシリーズの挿絵を描き続けた画家・依光隆さんが急性肺炎のため亡くなりました。
86歳でした。

依光さんは大正15年に高知県で生まれ、中国の大連で育ちました。
帰国後、共同通信で勤務したあと、フリーで小説や児童書などの挿絵を手がけるようになり、数多くの作品を残しました。

「宇宙英雄ローダン・シリーズ」とは

代表作は、昭和46年以来、今も出版が続いているSF「宇宙英雄ローダン・シリーズ」です。
宇宙飛行士のローダンが異星人と遭遇し、その協力を得て果てしない冒険に乗り出すというドイツ生まれの物語。
超能力や夢のような科学技術がふんだんに盛り込まれています。
主人公は次々に降りかかる危機を乗り越え、絶世の美女とのロマンスもあります。
依光さんは、第1巻から表紙や挿絵を担当し、読者の想像力を大きく広げる手助けをしてきました。
平成16年、日本の出版界では例がない第300巻の刊行を迎えたとき、NHKは当時78歳の依光さんを取材しています。
依光さんは、その際のインタビューにこう答えました。
「やっぱりローダンがほんとに、バカ正直なほど人間というものを愛する人物ですから、そのために自分自身がピンチになっていく場面もありましたし。男の子だったら、きりっとした、ただのハンサムじゃだめですよね。愛きょうもなきゃいけないし。原作に沿った絵を描こうとそれだけを念じています」。
そして、第300巻の感想を聞かれて、「陳腐かもしれないですけど感無量です。だけど、これからまた始まるんだと」。

手が力を失うまで

その後、依光さんは、平成20年10月、353巻までみずから絵筆を取りました。
体調を崩して手に力が入らなくなったあとも、依光さんのこれまでの作品を基にした「コラージュ」という形でローダンの表紙は制作されましたが、368巻からは別の画家に依光さんの仕事が引き継がれました。
そして今、ローダン・シリーズは第439巻まで出版されています。
前人未踏の仕事を担った依光さん。
今月18日午前0時すぎ、急性肺炎のため、東京・杉並区の病院で亡くなったということです。

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