2012年の最終売買日、大納会を迎えた28日の東京株式市場で日経平均株価は4日続伸。終値は前日比72円20銭高の1万0395円18銭と、1999年以来となる「大納会の年初来高値更新」となった。11月14日に野田佳彦首相(当時)が衆院解散を明言して以降、政権交代によって日銀が大胆な金融緩和を迫られるとの見方が強まった。円安とともに始まった株高基調を追い風に、12年の日経平均は22.9%高と09年以来、3年ぶりに上昇した。世界の主要株価と比較しても、ここ数年は相対的に不振だった日経平均の健闘が目立った。
国・指数 | 騰落率 |
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タイ・総合 | 36.3% |
ギリシャ・アテネ総合 | 34.1% |
独・DAX | 29.8% |
インド・SENSEX | 25.0% |
日本・日経平均株価 | 22.9% |
香港・ハンセン指数 | 22.7% |
シンガポール・ST指数 | 20.3% |
アイルランド・ISEQ全株 | 16.4% |
仏・CAC40 | 16.3% |
豪・オールオーディナリーズ | 13.4% |
インドネシア・ジャカルタ総合 | 12.0% |
ロシア・RTS | 11.1% |
韓国・KOSPI | 8.9% |
イタリア・FTSE MIB | 8.7% |
台湾・加権指数 | 8.2% |
米・ダウ工業株30種平均 | 7.2% |
英・FTSE100 | 6.9% |
ブラジル・ボベスパ | 6.5% |
ポルトガル・PSI―20 | 3.8% |
カナダ・S&Pトロント総合 | 3.5% |
中国・上海総合 | 0.3% |
スペイン・IBEX35 | ▲3.3% |
注)11年12月30日(韓国とブラジルは29日)と12年12月27日(日本は28日)の終値を比較。▲は下落。小数第2位を四捨五入。
欧州債務問題の収束や世界景気の改善に対する期待から、12年の主要株価は軒並み上昇しており、日経平均も昨年末が8455円と低かったことを考慮すると「年間で上昇すること自体は難しくなかった」との声が多い。ただ、年末にかけて日経平均が「ベストパフォーマー」(国内証券の情報担当者)となった背景はやはり、金融緩和の思惑とそれに伴う円安進行だ。26日発足した安倍晋三内閣による経済対策への期待も加わり、足元では「過熱感や水準感には目もくれず、海外の機関投資家が日本株の持ち高を一方的に増やしている」(同)という。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の芳賀沼千里チーフストラテジストは「これまでは円高が覆い隠していたが、円安基調に転じたことで企業の中長期的な価値から考慮した日本株の割安感が出てきた」と指摘。世界的な金融緩和などを背景に、ただでさえ海外投資家の運用資産が膨張しているなか、日本株の組み入れを引き上げる動きが続けば「需給面でかなりのプラス」と、13年の日本株も海外投資家の買いがけん引役になるとみていた。
もっとも足元の株高は期待先行や需給主導の面が大きく、企業業績や経済指標などファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)の裏付けは乏しい。今後は安倍内閣の政策遂行能力、主要企業の決算発表などで株高の正当性が問われる局面も出てきそうだ。
主要国ではドイツのDAXやギリシャのアテネ総合など欧州株の上昇も目立つ。欧州不安の後退から、外国為替市場のユーロ高とともに欧州株高も定着しつつある。一方、米ダウ工業株30種平均は7.2%高にとどまり、日経平均が09年以来、3年ぶりにダウ平均の上昇率を上回った。年末にかけて大型減税の失効と歳出の強制削減が重なる「財政の崖」を巡る協議の難航が意識されたことも、相対的な上値の重さにつながったようだ。景気減速懸念がくすぶり続けた上海総合指数は、わずか0.3%高にとどまった。
〔日経QUICKニュース(NQN) 古門成年〕
野田佳彦、安倍晋三、日経平均株価、終値
日経平均(円) | 10,395.18 | +72.20 | 28日 大引 |
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NYダウ(ドル) | 13,096.31 | -18.28 | 27日 16:30 |
英FTSE100 | 5,946.53 | -7.77 | 28日 11:17 |
ドル/円 | 86.21 - .24 | +0.57円安 | 28日 20:12 |
ユーロ/円 | 113.55 - .60 | +0.08円安 | 28日 20:12 |
長期金利(%) | 0.795 | -0.005 | 28日 15:33 |
NY原油(ドル) | 90.87 | -0.11 | 27日 終値 |
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