プーチン大統領はこうした表明を行う前、先週、日本からロシアとの平和条約の締結と、両国の間での建設的な協議の再開を求めるメッセージが送られたと述べていました。プーチン大統領は、最近、政権に返り咲いた自民党による日本からのこうしたシグナルは重要なものだとし、「この肯定的なシグナルを評価する」と述べました。
自民党の安倍総裁は先週、何度となく、中国との協議と、両国の現在の緊張緩和に関して見解を表明しましたが、ロシアに関しては特に発言していませんでした。むしろこれに関する表明は、多くがロシア側からのもので、日本はロシアとの平和条約を締結する用意があるとされてきました。これにもかかわらず、日本の新総理大臣の立場から推察されるように、明らかなことは、自民党政権は政府の優先政策を今も危機的な停滞状態にある国の経済にすえているということです。これにより、日本はこうした目的を実現するため、現状において、何よりも地域の安定を必要としており、これは地域諸国との建設的な協力によってのみ実現可能です。実際、日本の新政権は、中国やロシアなど重要な国との対立を解消しようと考えており、ロシアはそれを関係拡大に向けた日本の肯定的なシグナルとして捉えています。明らかなことは、ロシアと日本は長年、第2次世界大戦でロシアに占領された北方領土の領有権を巡って対立しているということです。こうした対立は、経済協力に向けた両国の高い可能性にもかかわらず、今も両国の協力の道に横たわる障害となっており、双方は、第2次世界大戦から半世紀以上が経過するにもかかわらず、平和条約を締結することはできていません。日本はこれまで、ロシアとの平和条約の締結を、北方領土の返還と関連付けていましたが、現在の状況は、この問題の解決に向けた双方の意向を物語っています。両国のこの長年の問題の解決策に関する見解の表明は時期尚早ですが、政治問題の専門家は、現状において、おそらく、平和条約の締結に関して日本とロシアの立場を妥協させる上で影響力を持つ二つの要素を指摘しています。まず一つ目の要素は、東シベリア・太平洋石油パイプラインの稼動で、ロシアは新たな石油市場を獲得し、世界への自国の石油資源の輸出を簡略化するために最近、全長5000キロのこの石油パイプラインの稼動を開始したことを明らかにしました。経済問題の専門家は、この石油パイプラインは何より主に日本、中国、韓国を目標に据えたものだと分析しています。そして日本とロシアの立場に影響を与えるもう一つの要素は、日本の経済復興を優先事項に据えた安倍新総理大臣の新たな戦略です。日本は福島の原発事故により、多くの原発の稼動を停止させたことから、物理的に近いシベリアからの石油の獲得を狙っており、これは経済で多くの問題を抱える日本の新政府にとって、非常に経済的なものとなっています。とくにロシアは、日本に石油を輸出するために、シベリアでの石油・天然ガスパイプラインの敷設に向けた日本のテクノロジーと、この地域におけるロシア政府の投資を必要としています。その一方で、政治問題の専門家の一部は、東アジアにおける中国と日本の対立は、日本がロシアに歩み寄りを見せることに影響がないわけではないと見ています。これらの専門家によれば、日本は、中国に対抗するため、ロシアとのさらに幅広い協力に向け、北方領土に対して立場を妥協させるのは間違いないだろうということです。今もロシアと日本の平和条約締結に関する協議に関して明るい展望は描かれていないものの、現状から、自民党は再度政権を奪還することで、過去の立場の一部を見直すことを考えていることが伺えます。