電気屋的、福島第1原発


大変な事になってしまいました。一刻の収束を願っています。


写真で見る、食い止め作業

 コメントはソース元の情報および知識を元にし嘘は書かないよう努力してますが、間違っている可能性があります。情報が少なすぎるのもあります。
また、私は原発廃止論者ではない事を先に申しておきます。この騒ぎの発端は経営上の失策および政治的なものと考えております。
写真は、注釈のない物は東京電力が公開したもの(通信社を経由した物も含む)を使用しています。新聞社の写真は引用するとうるさそうだからあまり使わない事にした。
タイトルの通り、ここは写真がメインのページであり、サイトに転載や引用が可能な写真を掲載しつつ事象を扱う趣旨のページです。写真がない出来事は扱わない場合があります。


このコンテンツはニュース速報ではありません。写真が公開された当時の情報により書かれた物です。
現状と内容が大きく異なる場合があります。最新の情報はニュースやTVなどでお調べください。


   

4月編(11〜20日まで)

2012年4月13日
本日、3号機の燃料プールの内部調査が行われました。
御存知の通り、一番豪快に破壊されている建物で、プールが瓦礫だらけです。こちらは建屋の損傷に加えて、4号機と違い原子炉に燃料が装荷されている上にこれが損傷している可能性が大なので線量が非常に高い。よってまだオペレーティングフロアまで人が立ち入っていない状態です。ていうか、まだ2階までしか行っていないはずです。
そんなわけで、クレーンを使ってプール内を調査することに。3号機もそろそろオペフロ上の瓦礫撤去が始まるので、事前調査をしておくわけです。

近くまでクレーンで吊って、細かい動作は無線操作で行なう方式です。

これはプール水面付近。瓦礫だらけです。対策がされているせいか、思ったより金属の腐食が少ない。

(2012年4月13日撮影)
こちらは、燃料キャスク内から撮影された燃料プール内の様子。
本来は燃料プールを跨ぐように設置されている燃料取替機がプールに落下しています。
コの字になっている部分が走行軌条に乗っかる感じです。ここから見えませんが、奥に車輪があるはずです。

以前にクインスで撮影された2号機の燃料取替機の走行機構部分。全く同じですね。

(2012年2月27日撮影)

(2012年4月13日撮影)
問題の燃料はどうか。

見える範囲では特に損傷は見られず。
とは言え、上にいろんな物が降って来ているので、今後も詳細な調査が必要でしょう。

この遠隔調査方法でプール内の調査が行えると判明したため、今後もこの方法をで調査をしていくとの事。
前回4号機で行われたROVはオペフロに機材を搬入したり作業員が入域する必要があるので、今の時点ではここでは使えない方法です。将来、オペフロの瓦礫が片付いて遮蔽などが行える状況になればROVでの調査が行える可能性はあります。とにかく現場の線量次第です。


(2012年4月13日撮影)
2012年4月16日
4号機原子炉建屋用の、使用済燃料プール燃料取出しカバー設置工事が明日から開始されます。
まずは地盤改良工事(カバーを設置する部分の基礎工事)に着手するとの事。

カバーは、燃料取り出し作業時に万が一燃料が損傷した際に拡散防止を行う他、燃料を運び出す際の容器(キャスク)を建屋かた搬入・搬出する為のクレーンが乗る構台も兼ねています。
カバー構台は、原子炉建屋の建物とは接続されてなく、地震の際もお互いが衝撃しないよう数十センチ程度離れています。このようにカバーの構体を一部吊っているような構造のため、構体が大きく、また基礎が強固なものになっています。原子炉建屋に加重を掛けないための対策です。

図中の青い部分は、燃料取扱機(燃料取替機とほとんど同じ構造と思われる)が走行する走行軌条(レール)部分です。この機器のみ、原子炉建屋に直接設置されます。
燃料取扱機はこの上を走って、燃料プール内にある燃料集合体をキャスクに移し替えます。
爆発で床スラブの一部に損傷があるので、健全な梁を利用して新たに床の上に架構を組む方法が採られると思われます。

燃料取出し用カバーの他、原子炉建屋内への雨水侵入対策として、建屋の上を覆うように屋根も取り付けられる予定。
上記のカバー設置に向けて、オペフロ上の残存部分を解体中なわけですが、巨大な原子炉建屋の解体を行うには、以前登場した世界一の解体重機だけでは無理です。
という訳で、オペフロ上に重機を持ち込んでの解体を4月下旬から行うとの事。
こういう解体方法は、高層建築の解体で行われる事があります。原子炉建屋が丈夫で、壁が吹き飛んでもラーメン構造として健全であるので、重機を乗せることが出来るわけです。

燃料プールなどに物を落っことしたら大変なので、その辺りは慎重に行われるでしょう。一応養生もされているし、写真を見るに解体業最大手の「ナベカヰ」が行うみたいなので、うまくこなしてくれるでしょう。

図中に「小型重機」とありますが、世間一般で見られる重機の事です。全然小さく有りません。
下から解体をしている「SK3500D」と比べて小さいだけです。

重機を設置する4号機と、解体のメインを担っているSK3500Dの勇姿。
画像が妙に荒いって?だってこんなのしか無いんだもん。苦情は東電に。

右にあるのが、「解体機のコベルコ」を象徴するニューマシン・SK3500D(サイトから抜粋w)が背伸びをした状態。なんと65メートルもあります。
ここで解体作業を行なっている、解体業大手・株式会社ナベカヰと共同開発したものです。
超大型ビル解体専用機『SK3500D』の開発・販売開始について
〜世界一の作業高さ65m超を実現! 渡辺解体興業(株)殿より1号機受注!〜 - コベルコ建機株式会社

さらに最強のオペ(操縦者)が居れば敵無しです。
SK3500Dで、ビール瓶の上に乗っている卵を掴んでいる所。
彼らは、これを建機展示会で披露して見せた。

(2012年3月20日撮影)
オペフロに乗せる重機・その1。
掴んでバキバキやるやつですね。通称・ハサミと言うものらしい。

キャビンに特殊な改造が施されています。
写真で見る限り、ガードの強化・遮蔽板の設置が行われているのが分かります。窓などの開口部は必要最小限のみです。
また背面に発電機が搭載されており、通信機やキャビン用空気清浄機の搭載などが行われていると思われます。これらの改造は、以前より他の建機でも見られます。

後ろに見えるクローラークレーンも、厚さが20センチはありそうなガラス(たぶん鉛ガラス)やエアコンが搭載されており、キャビンの対放射線対策や高密閉化改造がされているのが分かります。オペレーターの負担軽減に大きな配慮が見られます。
こうでもしないとオペが集まらないのもあるでしょう。また、仮に本人が作業を希望しても、積算した線量が既定値をオーバーした時点で、ここから退場しないといけません。これは法律で決まっていることなので、本人の意志と関係なく絶対に曲げられません。
また、有能なオペは人数が限られているので、貴重な人材を長く活用するためにも線量対策は必要なわけです。
とは言っても、根底にあるのは健康ですからね。体への影響については各説がありますが、被曝が少ないほうがいい事は確かです。

(2012年4月13日撮影)
こちらは通称・カッターと呼ばれているもので、コンクリートや鉄骨をハサミのようにチョキチョキ切ってしまうすごいやつです。SK3500Dの先端についているのがこれです。
コンクリートや鉄骨建物の解体現場では、必ずといっていいほど、こいつが居ます。
(先端はアタッチメントになっているので交換が可能です。バケットを付ければパワーショベルになります)

こっちも上の建機と一緒で、原発スペシャルに改造されています。

キャビン周りが強化されています。
ガラス部分が厚くなっているのもわかります。

(2012年4月13日撮影)

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では、次の話題。

最近ちょくちょく止まるトラブルが発生している窒素ガス分離装置(PSA)の資料が出てきました。

主なトラブル
日時 当該装置名 事象 原因
2012.3.12 PSA4 「圧縮機故障」「ファンモータ過電流」警報発報 ダストフィルタの目詰まり
2012.4.4 PSA3 「圧縮機故障」警報発報 ダストフィルタの目詰まり
2012.4.7 PSA4 「圧縮機故障」警報発報 ダストフィルタの目詰まりと推定
(調査中)
2012.4.13 PSA3 「圧縮機故障」警報発報 フィルタ養生の目詰まりが原因と推定

普段は、PSA3号と4号を交互運転で使用しています(つまり1機は予備となる)
5号機は、ディーゼルで電源を供給するタイプです。左にある青い箱がディーゼル発電機ですね。
このように、窒素を発生する装置はあちこちにあり、ラインを接続すれば代替は可能です。

というか、問題はPSAが停止した際になかなか気づかずに時間が経ったという例がよくあることです。
しかし故障信号を拾うようにしたのか、最近は停止後の切替が早くなっています。
故障は仕方ないから、すぐに切り替えが出来る事が重要ですね。いくら予備があっても切り替えないと意味ないからね。
更にもう一つ話題。
12日に発生した燃料プール冷却系での漏れの原因が判明。
行き先のない配管にヒドラジンを注入した結果、吹き出してしまったのが原因のようです。

1次系の循環配管に一時的な圧力変動が発生、これを感知してインターロックが働き配管を隔離したまでは良かったものの、その隔離した部分にたまたまヒドラジンを注入中であったため、そのまま圧力がかかって漏れてしまったらしい。

まぁ対策は、隔離弁閉止時はヒドラジン注入を止めるシーケンスに改造するしかない。
こういう論理ミスは、なかなか気づかないんだよなぁ。
2012年4月17日
作業用ロボットに新顔が登場です。 ロボットの名前はサーベイランナー
以前に入口まで調査が行われたトーラス室ですが、2号機においてその先を調査する為に投入されます。つまり、トーラスの上にあるキャットウォークを走りながら撮影を行います。調査は明日。

ロボットを製作したのは、鉄鋼や自動車部品で有名なトピー工業株式会社です。実は自動車用ホイール大手メーカーであったりします。特に鉄チンホイールでは国内シェア1位らしい。知らんかった。
名前がふざけてるとか言わないように。ルーツは戦前からある由緒正しい会社です。自分で電気炉を保有するなど、かなり気合の入った会社です。その他にも化学関連や広告サイン、この記事と関係あるロボット部門もあります。探査・点検用ロボット特設サイト オープンのお知らせ

さすがメーカーが気合を入れただけあって、外観がすっきりしています。まさに製品といえるものです。ケーブルなどの突出が無いのは無駄なトラブルを防ぐ為にとても重要です。
今回の調査では慎重を期して有線式ですが、無線操作も可能。有線はクインスとは異なり光ケーブル方式です。稼働時間は5時間と、かなり余裕もあります。

クローラーに強いトピーらしく、非常に丈夫そうなクローラーです。
カメラは定番のパナソニック製。パン・チルト・光学ズーム搭載です。
2012年4月18日
本日行われた2号機のサーベイランナーによる調査ですが、無事に完了したようです。この日は写真は2枚を公開、翌19日に動画と追加の写真が公開されていますが、面倒なので動画の方もこの項でまとめる。
おー、画質も中々です。これだけ見えれば調査には十分かと。クインスみたいに詳細な静止画が撮れれば言うこと無いんだけどね。

これは、トーラス(サプレッションチェンバー)の上にあるマンホール。同じ物がキャットウォーク上に2つあります。当初、ここから水漏れが起きているのではないかと思われていたものの、この通り一滴も水は漏れていない。この前の格納容器内の内視鏡調査で確認された水深の場合、水面はこのマンホールとほぼ同じとの事なので、もしここが損傷していたら水が出てきているはずです。しかしこの通り乾いています。水の垂れた痕跡もない。もう一つのマンホールも、同じく損傷なし。
本当はマンホール手前まで、つまりこの図で言うトーラスの右半周分だけを調査する予定だったようですが、うまいこと北側(図の上)のマンホールの先へ行けたのと、ロボットがきっちり活躍してくれた為、ほぼ全周を確認出た。
ロボットで満足行く調査が行えたと太鼓判。音声調査など課題も残った(水漏れ音の調査のためにICレコーダーを搭載して録音をしていたものの、ロボットに載せたAPDのブザー音がうるさくて失敗したらしい)ため、今後も継続調査が行われるでしょう。

(以降、この項の写真は全て2012年4月18日撮影)
この向こうに、水漏れ発生が疑われているベント管がある。
残念ながら、ここからは見えず。

既に格納容器の外では蒸気が発生するほどの熱量がない為、撮影されている位置のトーラス表面は乾燥しています。(水が溜まってるし、湿度はそこそこあると思うけど)

ベント管の位置関係はこんな感じ。
左の写真に写っている赤茶色の物がトーラスです。内部はほぼ水没中。
何箇所か、配管の保温が外れている箇所が確認されています。
ただし、配管破断が原因でないようなので(保温材のグラスウールの状態から)、地震によるものと推定。

天井の塗装が、湿気か温度の影響で剥がれています。
キャットウォーク上に転がる保温カバー。

今回確認された損傷と呼べるのは、この保温材脱落が数カ所のみ。
ここからは確認できないものの、少なくとも水漏れが発生してるのは事実なので、今後も更なる詳細な調査が必要です。
グレーチングから水面もカメラで確認。ここから3メートル程度下に水面があると推測。
この水が、建屋間の配管貫通部などの隙間を通り、隣のタービン建屋に流れているわけですね。
という訳で、そう遠くないうちにタービン建屋への流れも止めてやる必要があります。

確かうちのサイトでは紹介していませんが、グラウトなどのセメントを利用して貫通穴を塞ぐ実験(プールを利用した実物大モックアップ試験)が過去に行われており、実用可能ではないかと判断されています。

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サーベイランナーのインタフェイス。日本語表記で操作がしやすいです。
細かい部位の操作時はウインドウが表示され、メニューが乱雑にならないように配慮されています。あと、変な操作には警告が出ます。
その他、線量計を内蔵しているようで、項目上に現在の線量と積算線量が表示されています。
バッテリーは28Vとあるのでリチウムイオンでしょう。まぁ今時こういうロボット用途でリチウムイオン以外を使う事は無いと思うけど。

右下が、いわゆる撮影用カメラ(上の項にあるパナのやつ)の映像です。
写っているのは、おそらくトーラス室の出入口ドアですね。前回の調査で三角コーナーからトーラス室を覗きこんだ扉です。
壁に湿気の結露が原因と思われる錆汁が見えます。また、トーラス室内がかなり高温になったらしく、誘導灯のカバーには熱が原因と思われる変形が見られます。ドアの塗装も剥離していますね。
強力なライトが沢山付いているので、暗闇でもよく見えます。
まさにLEDライトの本領発揮です。LED照明は好きではないが、こういう用途には最高だと思う。あと懐中電灯とかも。

有線式ロボットで弱点となるロボットからのケーブルの出し入れですが、各ロボットで様々な工夫がされていて興味深いです。クインスと異なり、サーベイランナーはドラムが横向きです。また、繰り出し装置も非常にシンプルです。
でもやっぱりウィークポイントである事に変わりが無いようで、リール監視専用では無いものの、巻き取り部全体の監視が可能な視点でカメラが付いています。

●今回の作業実績
10時38分 原子炉建屋へ入域。(ここからロボット自身で入域しています)
10時52分〜13時51分 トーラス室にて作業。
作業者:6名(最大被曝線量:0.28mSv)
サーベイランナーの被曝線量:186mSv
2012年4月19日
以前パックボットで調査をした際に、機器ハッチのシールドプラグ部分に隙間が発生しているのが発見されたため、その隙間からイメージスコープ(工業用内視鏡)をつっこんで、内部がどうなっているかを調査したとの事。
去年、パックボットでレールを拭きとりした、あの部分です。

機器ハッチには2つのコンクリート製シールドプラグがあり、格納容器の一番内側には、さらにボルト留めされた鋼鉄製のハッチがあります。つまり3重構造ですね。
今回隙間が見つかったのは外側のシールドプラグで(まぁ他の2つは見えないんだけど)、このシールドプラグの奥にある内側のシールドプラグとの間にある空間部分をカメラで確認し、漏洩状況を確認するわけです。

図で見ると、隙間が開いた理由はシールドプラグが内側から押し出された感じに見えます。
爆発か何かで押し出されたんだろうか。
一応パラメーターから推測すると、格納容器内の滞留水は機器ハッチの一番内側にある鋼鉄製ハッチの真ん中辺りまで水位があるようなので、この程度の水漏れで済んでいるとすれば、奥のシールドプラグや鋼鉄製ハッチは完全にバックリ行っている訳ではないようです。
床面。濡れています。
やはり、じわじわ漏れているようです。


(以降、この項の写真は全て2012年4月19日撮影)
ただし、乾燥している箇所もあります。
漏れは微量ですね。
しかし場所が場所なだけに(2号機の格納容器調査の際、内部で70シーベルト/h以上が計測されているので、3号機の格納容器内ももこれ相応の線量であろう)線量が非常に高い箇所からの漏れであり、そこから高線量の水が漏れっぱなしだと線量はいつまでも高いままで作業なんてとても無理なため、何か対策が必要と思われます。現にこの機器ハッチ周辺では今も線量が高く、作業が行えない状態です。
今回、たった4分間(原子炉建屋内に居た時間)の調査入域で8ミリシーベルトも被曝しています。
しかし、凄い放射線ノイズです。
この白い点々は、全部ノイズです。

(写真は、表記のないものは全て東京電力公開)

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