電気屋的、福島第1原発


大変な事になってしまいました。一刻の収束を願っています。


写真で見る、食い止め作業

 コメントはソース元の情報および知識を元にし嘘は書かないよう努力してますが、間違っている可能性があります。情報が少なすぎるのもあります。
また、私は原発廃止論者ではない事を先に申しておきます。この騒ぎの発端は経営上の失策および政治的なものと考えております。
写真は、注釈のない物は東京電力が公開したもの(通信社を経由した物も含む)を使用しています。新聞社の写真は引用するとうるさそうだからあまり使わない事にした。
タイトルの通り、ここは写真がメインのページであり、サイトに転載や引用が可能な写真を掲載しつつ事象を扱う趣旨のページです。写真がない出来事は扱わない場合があります。


このコンテンツはニュース速報ではありません。写真が公開された当時の情報により書かれた物です。
現状と内容が大きく異なる場合があります。最新の情報はニュースやTVなどでお調べください。

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3月編(21〜31日まで) 1/2ページ
※当項目は写真が多いため、2ページ構成です。

2012年3月21日
5/6号機・No.3軽油屋外タンク周りの泡消火設備の溶接時に火災が発生。
溶接の際のスパッタ(火花みたいなもの)が飛散して、それが乾燥した芝生に燃え移ったらしい。

背の低い芝生だったためか大した火災にもならず、すぐ消し止められる。


(2012年3月21日撮影)
溶接していた現場の写真。

どうやら、既設配管を部分的に交換していたようです。手前部分の配管や架台が新しくなっています。
配管の保温材が途中から外され、そこから配管の手前側を交換されているように見えます。

架台は既設ベースと部分的に足を再用し、切継ぎして修理、そこに引き換えた配管を敷設後に、架台にUボルトを介して固定しているようです。
この方法だと架台側の溶接時は位置合わせが必要無いので簡単です。
3列あるうち左側は終了し、真ん中の溶接中に火災が発生したようです。

写真左の広い部分が、燃えた部分です。
写真からは、燃えた感じには見えません。芝生なので燃える部分はそんなに無いと思うので、葉っぱの先っぽがチリった感じになったんでしょう。

延焼防止用として不燃シートを敷いていたもののシートが風に煽られてしまい、その際に火の粉がシートの隙間に落ち、そこから延焼したらしい。
発生してから5分後に水で初期消火を行い、その後に浪江署に通報。
駆けつけた消防署員が鎮火を確認。けが人等は無ったようです。


(2012年3月21日撮影)
2012年3月22日
最近、次々とぶっ壊れてちょっと困っている2号機の温度計について、代替温度計設置の候補箇所の一つで現場調査を行ったようです。調査は昨日(21日)実施。

調査はクインス2にて、調査対象は2号機原子炉建屋1階にある中性子モニター装置室(通称・TIP室)という場所で、ここの部屋内部を点検・サーベイなどを行っています。
作業員はロボット操作などで社員8人。

中にある「移動式炉内計測装置」(通称・TIP)の配管が利用出来るのではないかという訳で、まず室内の状態を調べるというわけです。
事故後は、誰も内部を確認していません。

※左の図中にある数字は線量ではありません。計測ポイントのナンバリングです。
こちらはTIP室の入口。ここから入っていきます。

現在ドアは施錠されているので、人が開けます。
なお、TIP室は高線量が予測されているため、まずは扉の周辺部分をクインス2でサーベイします。
扉部分の線量が100mSv/hを超えていた場合は本日の調査を見合わせるとの事でしたが、写真の通り13.75mSv/h、周辺を動きまわった際も12〜16mSv/h程度だったので、予定通り作業を続行。

作業OKが出たので、解錠のため作業員が現地に向かいます。
扉をオープン。
ドアを開いた後、作業員はさっさと退域します。
無駄な被曝は避けなければならないため、すごいスピードで帰って行ってます。
あとの調査はクインスに任せます。
ぐんぐん入っていきます。
放射線対策で、入口から先で通路が一旦直角に曲がっています。
そこを右に曲がった先が、この写真の視点です。

詳しくは後述しますが、この部屋には原子炉圧力容器から直接配管がやってきている部屋であり、調査前から高線量が予想されていました。しかし実際に線量調査を行うと1.5〜3mSv/h程度と、むしろ線量が低すぎてちょっと戸惑っているようです。
線量は、入口部分で11mSv/h程度であったものの、内部に入るほどグングンと線量が下がっていきます。TIP室内部は部屋の外と比較して1桁が1つ少ない状態です。最大でも3mSv/h程度です。

写真左上に見えるのが、この部屋のメインとなる「移動式炉内計測装置」(通称TIP)という機器です。
何をする物かというと、炉心に設置されている中性子を測定する機器の校正を行う物です。

原子炉の制御には、核分裂反応を行うのに必要な中性子の量(中性子束)を完全に把握する必要があります。この装置を総称して「核計装」といいます。
中性子とは名前の通り中性なので、電気的に直接信号を取り出せません。そこで、放射線によって気体が電離されて生成されたイオンの量を測定して信号として取り出しています。これを行う装置電離箱といい、放射線測定器にも利用されている物です。これを中性子検出器として炉心に設置して、炉内に飛び回っている中性子の量を計測しています。

中性子検出器は、核燃料から飛んでくる中性子を食らって徐々に感度が落ちて(劣化して)きます。炉内の中性子検出器は炉心部分、つまり燃料集合体と共に設置されており、簡単に取り出して校正が行えません。しかし、過酷条件下で使用されるため、運転中にも校正を行う必要があります。
そこで、原子炉の外から校正用の(見本となる正確な値を示す)中性子検出器を入れて常設の検出器と値を比較して校正しています。

TIPの具体的な構造は、常設の中性子検出器近傍〜原子炉外部(格納容器外にあるTIP室)までの間に案内管と呼ばれる配管を敷設し、TIP室から校正用中性子検出器(TIP検出器)を常設の中性子検出器に向かって押し込むみます。そして、常設の中性子検出器のすぐ横にTIP検出器を近づけた状態で、常設中性子検出器とTIP検出器の差を比較し校正するわけです。
TIP室にはTIP検出器を出し入れするリールなどがあり、これでTIP検出器を押し込んだり引っ張ったりしています。
1台のTIPで複数の案内管にある常設中性子検出器を校正可能です。
TIPのの案内管の途中には索引装置という線路のポイントのような切替装置があり、これを切り替えて行き先を変更します。
TIPは原子炉1基あたりに4台あり、1台のTIPあたり案内管10本程度を担当しているようです。

TIP検出器は校正用の基準となる物なので、校正時以外は炉心から格納容器外に引き抜いておき、さらに遮蔽容器に格納されています。こうして中性子による劣化からTIPを保護しています。

常設中性子検出器の校正は、月1回行うようです。

(2012年3月21日撮影)
TIPの概要図。会見時の説明や各種資料を基に、当サイトで作成したものです。

上記の通り、常設の中性子検出器を校正するためのセンサーのようなもの(TIP検出器)を出し入れする配管がTIP室から伸びています。
普段、TIP検出器は図中の遮蔽容器に格納されています。校正時は案内管を通じて、バルブアッセンブリー(非調査時は管を閉塞したり窒素パージを行う弁や、緊急時に管を切断する弁などがある装置)や索引装置(複数の案内管に行き先を切り替える装置)を通過して、中性子検出器近傍にまで行きます。
案内管は、炉心内周方向に31本あり、これを4台のTIPと索引装置を利用して計測します。
1本の案内管には高さが異なる中性子検出器が4箇所あるので、リールでTIP検出器を案内管内で移動させて各常設中性子検出器の場所に移動させ、双方の数値を突き合わせて校正を行うわけです。
なお、案内管内は窒素で満たされています。

以前に公開された代替温度計の設置案資料によれば、バルブアッセンブリーの原子炉格納容器側で案内管を切断して、ここから代替温度計を内部に挿入しようという計画です。

当初、TIP室は線量が非常に高いと思われていました。図の通り、案内管は原子炉格納容器どころか原子炉圧力容器をも貫通して内部まで伸びているので、炉心損傷により案内管もろとも融解し、管内部に炉心内の汚染水やデブリが入り込んでいると思われていたからです。そもそも運転中ですらTIP室内の線量は高い場所です。

てなわけで簡単に線量が低いからラッキー!と飛びつくわけには行かず、線量が妙に低い理由を慎重に調査して使用可能かを調査するとの事。
ちなみに、元々TIP室は代替温度計設置箇所としての優先度はあまり高くなかった箇所です。
案内管がどこまで無事か分かりませんが、使用出来れば直接原子炉圧力容器の中まで温度計の挿入が可能かもしれません。
TIPの壁貫通部分。同じ格好をしている4台の機器がTIPです。
会見時に機器名称には触れられませんでしたが、遮蔽容器かな?

壁を斜めに貫通しているのが案内管です。壁に向かって温度計を挿入する感じになります。

部屋には損傷や水の跡などは全く見られず。貫通部分からも漏れや噴出痕などは見えません。
室内は温度18.7度・湿度26.2%。湿度も全然高くありません。ブローアウトパネルから湯気がモクモク出ていた頃も、ここは湿度の影響をほとんど受けていなかったようです。
写真だけだと、事故が起こったと気づきません。

移動式炉内計測装(TIP)の一例。
写真のGE Energy製は「移動式炉内プローブ」と呼称される。

(c)GE Energy


(2012年3月21日撮影の物をトリミング)
もう一つ違う話題。19日の4号機燃料プールの調査の件で動画などが出ました。
瓦礫のマップを作成するために、19〜22日の間、ROVを泳がせて全体撮影を行ったものです。

並行して行われた調査についての報告。
前回の発表時に、3/20調査時にプール内に透明度が低いという件ですが、実は日差しの影響でそう見えただけと判明したようです。
改めて目印付きのロープを沈めて調査した所、視界は前回(2/9)と同じく5メートル程度との事。

写真の左が2月9日、右は3月20日。白やオレンジっぽい点が視界を確認するための目印。
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2012年3月23日
2号機の代替温度計設置のための現場調査が行われたようです。
ようは、設置可能候補の現地調査ですね。

機器設置が可能な広さがあるかとか、付近の空間線量や表面線量はどうか、などのデータ取りです。
こればっかりは机上だけでは決められませんからね。

上にある22日公開のTIP室調査も、この調査の一環です。
調査は3月15日、16日、21日、22日に実施。
原子炉建屋1階で4箇所、2階で2箇所が調査対象です。

図は、1階部分の見取り図。
まずは1階部分を見ていきます。
まずは図のA部分。ジェットポンプ計装A系部分。X-40A・X-40B・,X-27ペネ部分が対象。
ペネに近い部分部分で25〜70mSv/h、計装ラックの上部分が100mSv/h程度と、比較的線量が高いようです。

上から見た所。(上の見取り図・A部分拡大図)


2012年3月15日
上の写真からもっと近づいた部分。X-27ペネ部分です。
壁から筒が飛び出しているのがペネです。
漏れ等は見られません。しかし周囲の線量が結構高い状態です。

右にチラッと写っているブラケットの溶接が汚い・・・
しかも、なんか穴あけミスってるし、アンカーボルトのネジ山の出代が少ないし。
まぁ工場では普通の光景だけど
こちらは図中B、ジェットポンプ計装B系。
X-40C・X-40Dペネ部分です。
一つのペネから複数の配管がうじゃうじゃ出ています。
ペネの数は限られているので、それを出来るだけ有効活用した結果でしょう。

上から見た所。(上の見取り図・B部分拡大図)
右は、B-B'部分の図。

線量は20〜60mSv/h程度と、A系よりはマシな程度です。


こちらは図中C、SLC系差圧検出・X-51ペネ部分。
ここはTIP室の上部分になります。

左の壁が原子炉格納容器の壁です。
上下2段になっている円筒形の突起がペネです。分かるかな?

配管に近い場所で18mSv/h。配管そのものは15〜35mSv/hとなっています。

上から見た所。(上の見取り図・C部分拡大図)
右は、A-A'部分の図。


これは図中D、つまり上の項にある21日実施のTIP室調査の結果です。
よって内容は省略。
図の通り、ここの線量は異様に低いです。

上から見た所。(上の見取り図・D部分拡大図)


次は2階部分です。左図は2階の見取り図になります。
図中のEとF部分の2ヶ所が調査対象です。
上の図のEエリア部分です。下に載せている詳細図の、左の赤い枠部分になります。
建屋の北西コーナー部分です。

左に見える斜めの壁みたいな部分はシェル壁という部分です。
原子炉格納容器のフラスコ部分の斜めになっている部分ですね。
ここは特に分厚いコンクリートで出来ていて、仮に建物が崩壊しようがここだけは残るくらいの強固さです。場所によっては厚さが2メートル近くになります。

上から見た所。(上の見取り図・E部分拡大図)
右は、A-A'部分の図。

対象になるペネは、このタラップの上部分にあります。
さらに近づいた写真は、次の項。


タラップ上部のグレーチング足場部分にある、X-28ペネ部分。
線量は23〜100mSv/h(配管のそば)が計測されています。

この写真だと、ペネや貫通している配管がよく分かります。
ペネ付近の弁ハンドルがいろんな方向を向いているのは、狭い場所で密集してて干渉するので、こうするしか無かったんだろうと予想。
弁類は、役割上出来るだけペネの近くに取り付けるべき(隔離を目的としていると思われる)なので、へんてこな格好にしてまでもこの位置に設置しているんでしょう。


こちらは見取り図F部分。X-29B/Cペネ部分です。

上の見取り図・エリアFを上から見た所の拡大図。 左の写真と線量測定結果を重ねたものと、ペネ周辺の線量結果。
止め弁部分で高い線量が確認されています。

配管の止め弁付近で1,640mSv/hが計測されています。
配管内部に高濃度の物質があるのが原因ではないかと見られています。

上記の場所へアクセスする梯子付近の測定結果。
上に行くほど高い数値になっています。

上記のエリアF拡大図の「梯子撮影方向」からのアングルと線量。
図中の作業床と書かれた場所が、上のペネ部写真の撮影部分になります。

関係ないけど、ここって110Wの蛍光灯だらけです。
東電のプラントでは標準なんだろうか。少なくとも工場ではほとんど見た事がない。
なお、110Wの器具製造は既に中止されたらしい。後継として、Hfの86W(球の長さが110Wと一緒)があるので、これに置き換えられていく予定。ワット数は減ったくせに、こっちのほうが明るいっていう。



(写真は、表記のないものは全て東京電力公開)

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