電気屋的、福島第1原発


大変な事になってしまいました。一刻の収束を願っています。


写真で見る、食い止め作業

 コメントはソース元の情報および知識を元にし嘘は書かないよう努力してますが、間違っている可能性があります。情報が少なすぎるのもあります。
また、私は原発廃止論者ではない事を先に申しておきます。この騒ぎの発端は経営上の失策および政治的なものと考えております。
写真は、注釈のない物は東京電力が公開したもの(通信社を経由した物も含む)を使用しています。新聞社の写真は引用するとうるさそうだからあまり使わない事にした。
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2月編(11〜20日まで)

2012年2月12日
最初に書いてしまいますが、今回の更新は、ほとんど書くことが無いです。このサイトは「写真で見る」なので、文章をたくさん書いてもアレだし・・・
写真にないものの、ちょっと世間を騒がせているのが、2号機の温度計です。
最近ずっとおかしいですが、さらにどんどんおかしくなっています。12日12時を過ぎてから、変な脈が発生しています。
RPVは厚さ15センチの鋼鉄製であり、温度センサー(熱電対)はRPVの外側に付いているので、こんなに小刻みな温度変化は絶対にありません。完全にセンサーか線路がいかれています。
また、最近は注水量をかなり増やしているのですが、他の近傍にある正常そうな挙動をしている温度計は温度がちゃんと下がっています。こいつだけ上がっています。
でも、一応経過観察。根拠なく故障と断定するのは危険なので、センサーが故障した際に同様の挙動を示すかを検証するとの事。
他の用で作った図の流用でスマンですが、暴れている温度センサーの位置(高さ)は、赤丸がしてある辺りです。
BWR-6形のカットモデルですが、BWR-2〜5も炉内の構造物はほとんど一緒なので、気にしないでよろしいです。炉心注水系が違うくらいかな。

温度センサーは、原子炉圧力容器を上から見下ろして、断面円周上を大体3等分にした位置の同じ高さに3つ取り付けられています。
(角度は0°・135°・270°)

左図カットモデル図にあるサポートプレートと書かれた部分を輪切りにした所。
青い四角が底部ヘッド上部温度計。温度計は、原子炉圧力容器の外側にくっ付いています。
このうち、0°の部分が、おかしい動きをしているものです。
図で緑色の四角で書かれているのは、底部ヘッド上部温度計よりも2メートルくらい下に設置されている温度計です。センサーの挙動は、この近傍にあるセンサーの温度変化も参考にされます。通常、近傍にある温度計は互いに似た温度変化で推移するはずです。
ジェットポンプディフィーザーとは、ジェットポンプの吐出口が貫通している穴です。

ジェットポンプが収まっている狭い空間はある程度は水に満たされていると推測され、このうち温度計のある場所は配管(図中の再循環水出口ノズル)の圧力挙動変化から、ほぼ間違いなく水があると判断されているので、冷却水を介した測定値としては明らかに異常と判断されています。
2012年2月12日
上記の温度計、遂に15:00に287.4度を記録。
冷却水が間に噛んでいて280度は絶対おかしい。ありえない。
一応、高さ違いで同じ角度に温度計は10個あり、イカれた場合は他のセンサを使用しての測定となります。
資料の時系列がおかしいですが、26日の資料より、温度計の設置場所一覧。
全77カ所中、未使用および使用不可能は23箇所。残りでプラント監視を行なっています。

センサの交換は不可能なので、使い捨て状態です。どのセンサも同じような条件下で使用されているので、今後一斉に同様の故障が起きないか心配です。
2012年2月16日
温度計の評価の件で保安院に資料が上がったようで、同日に公開されました。

例の挙動のおかしい温度計ですが、仮に実際にこういった温度変化をしたと仮定した場合においての炉内状況をシミュレートした結果が2ケース公表されています。

まずこちらはケース1、温度センサー側面にある冷却水の熱量で挙動を再現する場合です。
温度センサが取り付けられている原子炉圧力容器側面と、熱を発している燃料デブリ(炉心シュラウドの内側)の間には、アニュラス部とよばれる空間(ジェットポンプが設置されている部分)があり、ここに冷却水が溜まっていると想定されています。ここへは、上部から常に冷却水(給水系)が注水されています。つまり、温度センサは冷却水を介して温度を検知していると言えます。
そこで、アニュラス部の冷却水を介して温度計を指示値通りに挙動させる場合を解析した結果、炉心に存在する燃料の60%を温度センサー側面に固めないと、その発熱量(崩壊熱)を再現できないとの結果。
普通に考えて、燃料デブリの6割が限られた側面にくっ付いているのはありえません。以前の解析で、燃料は底に溶けて固まっていると結果が出ていますし、普通、物が溶けたら底に溜まるものです。
こちらはケース2
燃料デブリは炉心シュラウドを介して、原子炉圧力容器の外に熱を放出しています。ケース1では、アニュラス部にある冷却水(図中「アニュラス液相部」)を伝導した場合をシミュレートしたわけですが、ケース2では、シュラウドと原子炉圧力容器を接続しているバッフルプレートという金属製の構造物から熱伝導した場合の挙動をシミュレートしています。冷却水でなく、この支持部分から熱が伝われば温度計に対して有意な変化が起きるかの検証です。
条件は、シュラウドは100度、アニュラス部の冷却水の温度は40度(他の温度計の測定値)で解析を行なっています。
結果は、これも成立性が低いとの結果。
アニュラス部には冷却水があるので、バッフルプレートを介したとしてもシュラウド側から原子炉圧力容器側に熱が伝わらないのです。バッフルプレートに触れている冷却水が横から熱をどんどん奪うので、この熱が原子炉圧力容器まで伝わらないわけです。図中シュラウドサポートから20センチ離れた時点で、バッフルプレート温度は冷却水と同じ温度にまで下がっています。
冷却水は常に給水系から供給されている上、バッフルプレートからは下部に冷却水が漏れているので、冷却水は持続的に入れ替わっています。なので、沸騰するとかは無いです。
というわけで、やっぱり計測のほうがおかしいとの結果になるわけですが、じゃあどこがおかしいのかというのは全部を調べる訳にはいきません。
まず原子炉格納容器には入れません。つまり、左図のペネ内側端子台〜温度検出器までは触るどころか見ることも出来ません。また、2号機は原子炉建屋内の線量も高いので、原子炉建屋に設置されているペネ外側端子台にも近づけません。
つまり、中操の記録計部分からのみしか信号を拾えないし触れない状態です。中間にある端子台が腐ってるとかは調べようがないわけです。

まず、デジタルレコーダーや記録計は中操にあるので、これに関しては単体で調査が可能です。これらには明確に不都合は無し。
記録計〜温度検出器の経路については、直流抵抗値(たぶん絶縁抵抗計で測定したと思われます)がどんどん上昇してきているようですが、これがどこで発生しているかは分からず。一応、TDR測定(時間領域反射率測定)を行ったようですが、特定に至らず。TDR測定とは、電線にパルス信号を送り、その反射波形から断線や地絡・短絡、さらには分岐箇所などを特定する装置です。値段は非常に高い。
次は、過酷状況下での挙動検証実験。
変な挙動をしている温度計が実際に故障しているかを見極める試験です。ここで再現性があれば、温度計が故障したという裏付けとなります。根拠が無いと断定しようにも信用してもらえないからね。

これは、温度指示値がハンチング(値が上下に変化し安定しない事)する件についての検証。
データロガーと熱電対(温度センサ)との間の線路抵抗を変化させた場合の、データロガー(記録計)の挙動を調べています。
可変抵抗(ボリューム)で抵抗値を変化させ、線路の抵抗値が上がった(ケーブルの損傷)状況を再現しています。
結果、抵抗値を8kΩに上げると不気味なハンチングを起こすことが判明。よく分からんけど、線路の抵抗が増えるとハンチングするらしい。
まぁ、熱電対を使う場合は電線の種類とか長さとかがメーカーで指定されているので、抵抗が増えるとまともに動作しなくなるのは何となく分かる。

という訳で、実際と似た動きなので再現性有りと評価。
こちらは、温度指示値がどんどん上昇する件についてのモックアップ試験です。
熱電対を接続している電線の被覆に傷を付け損傷させ(1対のうち銅線側は、芯線も損傷させて素線を減らしてある)、ここを海水に浸らせた後に高温蒸気雰囲気に晒して挙動を調べます。

これも再現性有り。
紺色がお湯、ピンクが蒸気の実際の温度です。
緑が、電線被覆を傷つけたものです。最初に暴れた後、上昇傾向を見せながら高い位置で安定しています。

通電部分に海水が掛かった場合は、海水が電解質溶液となり、そこから電食が発生する(異種金属同士が近い場合、特に腐食が発生しやすい)、すなわち電流が発生するため、その微弱電流も測定値を狂わせる原因になると報告書では触れています。
電食は、環境によっては進行速度が馬鹿にできないので、計測に用いられている電線の素線が切れてしまう可能性も十分あります。
その他、新たな温度計設置の方法も検討されているようです。
いつまでも既設が無事とは思っていないようで(そりゃそうだ)、新たに温度計を設置する方法を考えているようです。
問題は、どうやって原子炉圧力容器にまで温度センサを持ち込むかです。
壁やオペフロ上に穴を開けて直接測定するという大胆な方法から、既設配管の内部をず〜っと通して原子炉圧力容器まで突っ込むという器用な方法まで、いろいろ検討しているようです。
現状、配管を通す方法が一番現実的と評価されています。バルブや曲がり部分をどうするかがキーポイントのようです。液体配管は電気配管と違ってエルボ(直角の曲がり)があるので、電線の挿入は難しいと思われます。

左図は、再循環ポンプの配管から原子炉圧力容器にアクセスする例です。RHR系の配管から再循環水入口ノズルに向かう案です。
原子炉圧力容器の内部に至る配管の貫通部分。
既設配管からのアクセスを行う場合、これのどれかを利用する必要があります。
ただし、原子炉が停止した際に原子炉隔離が行われているので、ここに到達する以前に、まず外側にある原子炉格納容器貫通部分にある弁を通過しなきゃならん。ていうか、実際にほとんどは閉じているので、閉じている場合は、何とかして開くか破壊しないと、まずここまで到達できません。
2012年2月17日
写真無し 最近何かと騒がせている温度計について、これを故障と判断。監視対象から除外。
という訳で、運転上の制限の逸脱は元々無かったという判断とし、過去に遡って取り消し。
保安院もこれを了承。
今回の震災による唯一の倒壊となった鉄塔「夜の森線No.27鉄塔」について、倒壊に至ったメカニズムの調査が完了したとの事。

詳しくはこちら
 鉄塔倒壊の原因となった地すべりのメカニズムを解明 (2012年2月17日写真公開) 

(写真は、表記のないものは全て東京電力公開)

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