2012年1月21日 |
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2号機タービン建屋地下の溜まり水を集中廃棄物処理施設に移送する配管から漏れが発生したとの事。漏れは、「弁ユニット」と配管の継ぎ手部分からのようです。
この弁ユニットとは、各号タービン建屋の溜まり水を集中廃棄物処理施設に移送する際、これを(施設を構成する)プロセス主建屋または雑固体廃棄物減容処理建屋のどちらかに移送するかを切り替える弁です。
弁は4号機タービン建屋の大物搬入口内に設置されているため、屋外への流出は無し。床と弁ユニット筐体内部に漏出。
床面に漏れた水の量は約2リットル、表面線量は0.1mSv/hとの事。
漏れと言うより滴った感じですね。溜まる以前に乾きかけてます。
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移送ラインの図(会見時の図解を基に作成) |
(2012年1月21日撮影) |
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上の図に既設と新設とあります。
現在、ホースで移送ラインを構成しているのを、信頼性向上を目的として徐々にPE管に置き換える工事が行われています。
前日に、この新しいラインで耐圧試験(漏れがないか水圧を掛けて漏れてこないか調べるテスト)を行い、テスト終了後に既設ラインでの移送を再開して、この漏れが発覚したようです。
この弁の隣に、3号機用の弁が並んで設置されているようですが、念のために検査した所、こちらでも滲みを発見。
漏れの原因は、ホースの上に被せてあった鉛遮へいシートの重みで、ホースジョイント部のシールが負けてしまったからと判明。
このシート、100cm×30cmの大きさ(バスタオルくらい)なのですが、重さはなんと10kgもあります。中身は鉛ですからこんなに重たいんですね。
(2012年1月21日撮影)
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2012年1月23日 |
写真なし |
政府東京電力中長期対策会議 運営会議の2回目会合が行われたようです。
これはまた他のページで。 |
2012年1月26日 |
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「保安規定に基づく使用済燃料プール異常発生時対応訓練」が行われたようです。
名前の通り、燃料プールに注水を行う訓練です。電源喪失などで循環冷却が行えなくなり、崩壊熱による蒸発でプールの水量が減りまくったなどの場合に、注水が必要になる可能性が想定されます。
以前も何度もやってる訓練と殆ど一緒です。名前の通り保安規定に定められた訓練かと。船とかでも、乗客も巻き込んで定期的に避難訓練をやりますが、ああいうやつでしょう。
日頃の訓練は改善点の洗い出しの他、設備の不都合を事前に見つけ出すのにも一役買います。
こちらは海水を消防車で汲み上げる訓練ですね。
海水注入はできるだけ避けたい最終手段ですが、だからこそ訓練は重要です。普通は必要になりませんが、今回の件で、普通じゃないことも起きるという教訓が得られました。これは末代まで伝えなければなりません。
こういうのは忘れた頃にやって来るもんです。諺にもなってるし。
報道などを見てびっくりしたのは、消防車を扱える社員がいないということです。本当かいな。
大きな工場等には大抵消防車が数台ありますが、普通は社員で消防団を結成しています。外部委員会の資料だかで、消防業務は全部外注に出してたという信じがたいことが書いてあります。これは問題だな。
消防車はそこらのポンプと違い、エンジン掛けてホースつないでおkではありません。仕組みを知らないと放水どころか水の吸い上げすら出来ません。気になる人は消防団のおじさんに聞いてみましょう。どさくさでメンバーに入れって言われることがあるけど。
(2012年1月26日撮影) |
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これは、使用済燃料プール送水用ポンプを起動確認している様子だそうです。
現在運用されている燃料プール循環冷却システムが使えなくなった場合、外部からプールに注水を行う設備です。
下の図にフローが載っていますが、たぶんどこかの切替か分岐のヘッダーでしょう。
これらの設備は非常用注水設備と総称されています。
燃料プールは原子炉と違い、そこまで厳格な管理を必要としていないので(発熱も少なくなり、数日の冷却停止は問題無いレベルになっている)、とりあえず燃料の頭が2メートル以上沈んだ状態であれば問題ありません。つまり冷却機能が喪失した場合は水を足すのが重要となります。
(2012年1月26日撮影) |
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こちら、去年の12月7日に原子力安全・保安院へ報告された資料の一つ、燃料プール冷却系の図です。
ここに載っけたのは1号機ですが、他も似たようなもんです。
循環冷却系の1次側のラインに注水を割り込む感じになっています。ろ過水タンクと純水タンクを水源とし、送水用ポンプで1〜4号機の全てに注水が可能です。(図中オレンジのライン)
被水や電源設備の故障ななどでこのポンプが使用できない場合は、消防車を接続してポンプ代わりに使います。プールへの注水に淡水が使用出来なくなった際は、ここから海水を送水することも出来ます。上にある消防車の訓練はその一環というわけです。 |
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何か分からんが、「1号機ホース接続箇所確認状況」と書いてある。
複数のバルブと流量計が見えるので、流量の調整用かな。
横に見える鉄製の壁は、たぶん放射線遮蔽壁と思われます。
左隅には、21日の項で登場した鉛遮へいシートがぶら下げられているのが見えます。鉄板で防ぎきれない狭い隙間を塞ぐようにしている感じです。
重量物をインシュロックで吊っているので、そのうち切れてドサッと落ちますな。こういうのは針金で吊ったほうがいいと思う。再使用できるし。
壁には、白いペンで何かの寸法のメモ書きがされています。
現場で、すぐ壁にメモする人っているんだよね。俺の事だけど
(2012年1月26日撮影) |
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こちらは2号機の注水ホース接続箇所。場所は2号機廃棄物処理建屋1階です。
既設の配管を割って、そこに接続するようになっています。
元々あったバルブを取り外して、そこに作ってきたホース接続口を取り付けた感じですね。
外したバルブらしきものが、左のポンプの後ろにチラッと見えます。
ホースが接続口と直角になるけど、注水時にホースが折れ曲がったりしないんだろうか。
(2012年1月26日撮影) |
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これは3号機。3号機部分の廃棄物処理建屋1階にあります。
循環冷却設備などが置かれている部屋です。
150か200mmはありそうな配管に接続されています。
(2012年1月26日撮影) |
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最後に4号機。原子炉建屋1階だそうです。
これはプール関連設備なので、原子炉と違って4号機も対象です。
(2012年1月26日撮影) |
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これは5号機の原子炉建屋内で、注水用のホースを敷設しているところです。
こちらは無事なので、歩いて入ってホースを引っ張ります。
5階建てなので大変だと思う。
(2012年1月26日撮影) |
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そして最上階。
プールにホースを放り込んで終了です。
建屋内が明るいだけでも全然作業性が違うのが分かります。
原子力施設は基本的に窓が無いので、明かりが消えたら真夜中と一緒です。
何も見えん。
(2012年1月26日撮影) |
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2012年1月28日 |
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10時半ごろ、定例のパトロールの最中に常用高台炉注水ポンプ(B)の近くにある弁(ベント弁)から漏えいが発生しているを確認。
常用高台炉注水ポンプは3系統(A〜C)があり、通常はどれか1つを使っているようです。
今回漏えいが発生したのはB系統で、不都合発生時は停止中であったものです。
プレスでも触れられていますが、恐らく凍結が原因でしょう。これは過去から危惧されていた事態です。
写真を見ると分かりますが、部分的に保温がされているのが分かります。
この系統は保温を現在行なっている最中に起こってしまいました。3機のうちC系は保温が終了していて、A系と、今回破損したB系は1月末終了目途でまさに施工中であったようです。惜しかった。
注水が停止された状態で配管が東北の寒風で凍らされてしまい、内部の水が膨張して内側から弁を破壊したというわけです。
配管凍結の恐ろしさは、寒冷地にお住まいの方はよく分かっていると思います。水道管も簡単にぶっ壊すほどの力です。
(2012年1月28日撮影) |
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同日12時頃、はやり定例のパトロールの最中に、蒸発濃縮装置を構成する脱塩器付近の弁フランジから漏えいが発生しているのを確認。写真の赤丸の場所です。
漏れは1秒に1滴程度で漏えい量は約8リットル。漏れた水は堰におさまっているとの事。
こちらは割れではなくフランジからの漏れです。
気温が低すぎて収縮のせいで漏れたか、蒸発濃縮装置故に温度差が激しい設備かもしれないので、温度差のせいで緩みが出たか、パッキンの挿入が下手くそだったか、フランジ締め付けのトルク管理が雑だったか・・・
どうせ保安院に怒られて調査すると思うので、発表されたらまたうちで触れます。
(2012年1月28日撮影) |
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同日12時頃、またまた定例のパトロールで漏れ発見。手前の茶色い配管です。
廃液RO供給ポンプミニフローという配管です。でかい弁だと微小な流量調整ができないので、主管と並列で細い配管と小さい弁でパイパスを作って、少量の流量調整であれば主管を閉鎖して、こちらで調整する、という使い方をします。
漏えいの発生した当時は、こちらは使われておらず、主管側を利用していたようです。
漏れていない方にもビニールが被せてあるのは、万一漏れた際に流出しないように予防目的で以前より取り付けていたものと思われます。ビニールの中には水分吸収剤が入れられているようですが、ここの漏れが多かったせいで吸収しきれず、外にまで漏れてしまったようです。
現在、下に容器を置いて漏れを受けている状況。
しかし、いきなり漏れが一気に発生しています。
こういったプラント設備に凍結はそもそも御法度なので、しっかりと検討されて時間を掛けた設計施工を行いますが、ここは違って急造品と思われるのでこうなってしまいます。
ていうか、保温作業の開始がちょっと遅すぎたのではとは思う。
それ以外にも、止めた設備の水抜きとかも必要になるので大変だしね。
(2012年1月28日撮影) |
2012年1月29日 |
前日、低温が原因と思われる不都合が多数発生した事による追加点検を行った所、多数の不都合が発見されたとのこと。
この日公表されたのは、以下の14箇所です。多すぎてビビったわ。
いずれも凍結が原因と思われます。
被ばくを増やせないので頻繁なパトロールはできず、非常に難しい所です。
漏えいの発生した場所 |
漏えいした水の種類 |
発生(発見) |
停止・隔離措置 |
漏えいした量(単位:リットル) |
4号使用済燃料プール二次系冷却ユニット |
ろ過水 |
1月29日 9:35 |
10:15(隔離完了) |
40 |
非常用高台炉注水ポンプ3C流量計 |
RO水 |
9:50 |
9:55(漏水停止) |
600 |
淡水化装置(逆浸透膜式)廃液供給ポンプ A系ミニマムフローラインフランジ |
たぶんRO濃縮水 |
10:05 |
10:05(漏水停止) |
10 |
淡水化装置(蒸発濃縮式)ボイラーB系 |
ろ過水 |
10:05 |
10:37(漏水停止) |
25 |
淡水化装置(蒸発濃縮式)ボイラーC系 |
ろ過水 |
10:05 |
10:37(漏水停止) |
3号機復水貯蔵タンクから2号へ注水する原子炉注水ポンプの流量計 |
RO水 |
10:02 |
10:03(漏洩停止) |
4 |
3号機復水貯蔵タンクから3号へ注水する原子炉注水ポンプの流量計 |
RO水 |
10:09 |
10:11(漏洩停止) |
4 |
使用済燃料プールへのろ過水の補給水ラインのヘッダー |
ろ過水 |
11:07 |
11:24(漏洩停止) |
9 |
淡水化装置(蒸発濃縮装置)脱塩器樹脂移送ラインフランジ |
処理水 |
11:06 |
容器で仮受中 |
0.5 |
蒸発濃縮装置用ボイラー給水のろ過水逆洗ラインの流量計 |
ろ過水 |
12:00頃 |
(発見時には漏洩停止) |
18 |
純水装置ろ過水ラインの流量計 |
ろ過水 |
13:00頃 |
(漏洩停止) |
1 |
6号機循環水ポンプの冷却水ラインフランジ |
純水 |
10:50頃 |
16:00(修理完了) |
7000 |
純水装置廃液ライン流量計 |
純水 |
15:00頃 |
(漏洩停止) |
1 |
3号機使用済燃料プール冷却系ろ過水補給水弁 |
ろ過水 |
15:10頃 |
(漏洩停止) |
50 |
※注 表中「漏えいした水の種類」項の赤字は、原子炉循環注水に使用される、放射性物質を多く含む水を表す。 |
ん?何気に6号機が1つ混ざってます。循環水冷却ポンプとあるので保安上問題になるものではないですが。(漏れすぎて純水タンクが空になったら、いざという時にマズイけど)
不都合に関しては、いくつか写真も出ています。
ていうかちょっとやばいですね。東北のプラントだし、もっとちゃんと対策されているとは思ってましたが、この寒さがそれを上回ってるのか、そこまで気を利かせる余裕がなかったか、
施工・保守している人に寒冷地のノウハウが全くなかったのか・・・
ちなみに、昨夜の最低気温はマイナス8.6度(浪江町:午前3時)だったそうです。
おそらく、設備設計時の想定を完全に下回ってます。うちの地元でこんな気温になったらたぶん大惨事だわ。マイナス5度でも水道管があちこちで爆発して大騒ぎなのに。 |
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漏れが発生しているのは、ほとんどフランジ部分か流量計部分からです。
これはフランジからの漏えいの例です。
場所は、廃液供給ポンプA系ミニマムフローラインフランジだそうです。前日の漏れを起こした物と役割は一緒ですね。
これもフランジからの漏れです。配管のほうが吹き飛ばなくて良かった。
(2012年1月29日撮影)
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フランジと共に被害の大きかった流量計です。
流量計はガラスで出来ているので、凍結膨張に耐えられず粉砕してしまった例が多いようです。
この流量計は、以前のページで触れたフローエレメントと構造はほとんど一緒で、オリフィスの前後に発生する差圧を利用した単純で高信頼性の機器です。
性質上、ゲージ部分はガラスを利用するので、どうしてもこうした異常な圧力には弱いです。
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面積式流量計の構造の例。 |
(2012年1月29日撮影) |
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拡大。
写真左は、奥にある正常なもの、写真右は手前に設置されている破損したものです。
ガラス製のテーパー管が粉々になっているのが分かります。
構造を見ても分かる通り、ここが割れたら当然配管の水はジャジャ漏れになります。
(2012年1月29日撮影) |
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こっちは、3号機の復水貯蔵タンクから2号へ注水する原子炉注水ポンプの流量計です。
最近ついた、CSTなんちゃらっていうやつですね。
あと、写真はないですが4号機のエアフィンクーラーから水漏れが発生。8日の場所とは別のものです。
たぶんこっちも凍結が原因。細い配管なので簡単に凍ってしまいます。
というわけでエアフィンクーラーは停止。水温が20度程度なので、正直、無理してまで冷やす必要はないですね。でもあまり放置すると今度は湯気が出まくってまたサウナになってしまうので難しい。
30度くらいで維持出来ればいいんだけどね。いつでも再起動できるように、1次系だけでしばらくグルグルさせとけばいいよ。
(2012年1月29日撮影) |
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2012年1月30日 |
昨夜も冷えました。最低気温は、浪江町でマイナス7.8度(午前1時)です。
で、これまた不都合発生は4箇所。
(以下の表は1月29日・18時以降〜30日夕方までの分)
漏えいの発生した場所 |
漏えいした水の種類 |
発生(発見) |
停止・隔離措置 |
漏えいした量(単位:リットル) |
蒸発濃縮装置3Bシール水冷却器出口ラインフランジ部 |
ろ過水 |
1月29日 18:20頃 |
(仮受中) |
30 |
常用高台炉注ライン(A)系ミニマムフローライン弁フランジ部 |
RO出口水 |
1月30日 9:03頃 |
(仮受中) |
0.01(10cc) |
蒸発濃縮装置3Aシール水冷却器出口ラインフランジ部 |
ろ過水 |
15:20頃 |
(仮受中) |
10 |
ろ過水タンクから高台炉注ポンプ(B)への供給ライン F011B弁弁体よりリーク(ろ過水ライン仕切り弁) |
ろ過水 |
15:15頃 |
15:20頃(漏洩停止) |
600 |
※注 表中「漏えいした水の種類」項の赤字は、原子炉循環注水に使用される、放射性物質を多く含む水を表す。 |
というわけで、この一連の漏えい騒動でお怒りの保安院からお叱りの文章が届きました。
福島第一原子力発電所における非常用高台炉注水ポンプ付近等からの水の漏えいを踏まえた対応に関する経済産業省原子力安全・保安院からの指示文書の受領について
保温は限界があります。プレスでも触れたようですがフランジ部分は保温したくない(微量の漏えいが分からなくなる)というのもあります。他に根本的な対策が必要でしょう。
今まで、配管類の多くはトレンチや建屋内を通していたので、ここまで凍結の心配は必要なかったんでしょう。
ツイッターでも言った気がしますが、ポンプや弁類は建物(テントでもいい)に収めるのが一番確実です。
配管は保温かヒーター這わすか常に移送して水を止めないか、もしくは水抜きするしかないでしょう。 |
写真はない |
その他のネタは、冷えすぎた1号機燃料プール冷却設備のエアフィンクーラーを停止。
停止時点での水温は12度との事。井戸水とほとんど同じ温度です。
ちなみに、水温が30度になったら運転開始するとの事。
そして、入れ替わりで4号機の燃料プール冷却を再開。30度を超えたそうです。4号の燃料プールは発熱がダントツに多いので、あっという間に30度です。 |
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5・6号機の取水路前面部分を対象に行なった海底調査の様子が公開。動画です。
何の為の調査かというと、海底に堆積している放射性物質が舞い上がって海中での濃度が上がるのを防ぐ目的で、これらの物質を海底に固定してしまおうという作戦を行う為の事前調査です。
つまり、セシウムなど放射性物質は、放射線をあまり発しなくなるまでの間(長期間残るものとしては、セシウム-137で約30年、ストロンチウム-90で約29年で半減期となる)、海の底でおとなしくしとけと言う訳ですね。
どうやるかというと、「固化土」というベントナイトとセメントを混ぜた物で海底を覆ってしまいます。
ちなみに、あまり聞きなれない固化土についてぐぐってもほとんど情報が無いので、「固化土ってなんですかー?」って土木セコカン(監督)をやってるあんちゃんに聞いたら、ん〜あんまり知らんな、と軽くあしらわれた。さすがセコカン様、貫禄が違う(俺も一応1電施持ちだけど貫禄が無い)
ベントナイトは土木の世界ではたまに登場するもので、製品としてはサラサラな砂っぽい状態ですが、水を含むとドロドロになって膨らんで固まって粘土みたいになります。湧水が多くて崩れやすい部分にベントナイトを放り込みながら掘ると、あら不思議!周りの泥をベントナイトが壁のように覆ってくれるので、崩れにくくなります。この壁は止水効果もあるので、遮水壁としても使われるようです。
本職が使う他にも、井戸掘り愛好者の間では掘削穴の崩落を防ぐための定番資材です。
その他、猫砂にも使われています。
(2012年1月27日撮影)
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「政府東京電力中長期対策会議 運営会議 第二回会合」の資料より。
これが、海底土被覆工事で活躍する予定の「固化混合船」です。いわゆる固化土の海洋生産プラントです。
海洋土木工事で使われることが多いのか、元々台船型の製造プラントが存在するようです。これなら海のある場所ならどこへでもいけます。
手前のはしけ船には、製造された固化土が積載されているのが分かります。これをタグボートで現場に持っていく感じですね。
(写真は政府東京電力中長期対策会議の資料より) |
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これが固化土。セメントみたいです。まぁセメントも入ってるからそっくりなんだけど。
これを、海底に流し込みます。
と言ってもコンクリートのようにカチカチにはなりません。あくまでも放射性物質を舞い上がらせないようにするための覆いであって、そこまで固くする必要はありません。ベントナイトが入っているので掘ろうと思えば掘れます。
硬い粘土みたいなもんです。
工事は今年2月上旬に開始し、4月頃終了予定です。
遮水壁工事が始まる前に固定化しておかないと、こんな状態で杭打ち船が湾内を動き回ったらえらいことになります。今でも、シルトフェンスを短時間開けただけでも数値がかなり動く状態です。
(写真は政府東京電力中長期対策会議の資料より) |
2012年1月31日 |
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去年12月4日に発生した、蒸発濃縮装置での漏れに関しての調査報告がでました。
当時の発表など: 蒸発濃縮装置で大量の水漏れ (2011年12月4日)
ここで、漏れは濃縮塩水のせいで配管フランジがやられてんじゃね?と予測を立てていましたが、原因はウォーターハンマー(水撃)の衝撃によるパッキンのズレでした。外れてやんの恥ずかしい。
資料によると、ウォーターハンマー現象でパッキンが元の場所から外に押し出されてしまい、パッキンが応力緩和により変形、そしてフランジの緩みが発生して漏れに至ったようです。
資料には泡が潰れた衝撃がどうのこうのとあるんですが、これってキャビテーションとは違うのか。 |
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パッキンの損傷のみで、フランジ側にダメージは無し。
さっきの続き。
ここで言う応力緩和というのは、パッキンが戻ろうとする力が弱くなる感じ、と理解すればいいです。
パッキンはゴムなのでブヨブヨしています。押すと凹みますが指を話すと戻ります。この反発する力を利用して漏れを防いでいます。
しかし、水撃によってパッキンが押し出されて変形すると、この反発する力(応力)が弱くなってしまいます。いい加減な例えですが、パッキンが痩せて薄くなってしまった感じです。(パッキンは、ちゃんと決められた形で設置しないと効果が無くなります)
そうするとフランジ同士をパッキンが押さえる力、つまり密着力が落ちてしまいます。そうなると当然フランジは緩んでくるので、フランジを四隅で固定しているナットの締め付けが緩んできます。
ウォーターハンマーは、配管を叩くような衝撃が発生するので、その度にどんどん緩んできます。ナットは衝撃で勝手に回ることもあるので、最後には押さえる力が完全になくなってフランジが離れてしまい、漏れに至った、みたいな感じです。
いろいろな原因で発生するウォーターハンマー現象ですが、一般的に問題とされるのは、流体の急な閉止で発生するものです。よく引き合いに出される発生源の例として、水道を一気に止めてしまいやすいハンドル式蛇口や、電気製品(洗濯機など)の電磁弁があります。洗濯機の水が止まる時にコン!って聞こえるアレがウォーターハンマー現象の音です。意外と身近な現象なんですよ。
この衝撃は水中を亜音速で伝達される(!)ので、離れた場所で発生しても音が伝わってくることがあります。マンションで騒音トラブルにもなっている例があります。下手すると騒音どころか水道設備を破壊することがあります。水以外でも蒸気や油でも発生します。 |
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発生メカニズムの説明。
濃縮水供給ポンプ(蒸発濃縮装置の受けタンクに水を移送するポンプ)を運転させるのを忘れたまま蒸発濃縮装置の運転を開始、そのうち受けタンクの水が消費され続けるので水位が低くなり、蒸発濃縮装置が保護のために自動停止(待機状態)した際に、初めてポンプを回し忘れていたのに気づく→あわててポンプ起動→水撃発生、てな感じです。
つまり、熱交換器の低温側を通る水を移送させずに運転していた例が頻繁にあったようです。これはウォーターハンマー以前に熱交換器にはよろしくないですね。
というわけで、改善策は至って当たり前の
1.濃縮水供給ポンプが運転されてない時は蒸発濃縮装置は起動しない。
2.蒸発濃縮装置の起動時、濃縮水供給ポンプが起動しているかの確認メッセージを表示させて運転確認を促す。
という改善を行うとの事。 |