電気屋的、福島第1原発


大変な事になってしまいました。一刻の収束を願っています。


写真で見る、食い止め作業

 コメントはソース元の情報および知識を元にし嘘は書かないよう努力してますが、間違っている可能性があります。情報が少なすぎるのもあります。
また、私は原発廃止論者ではない事を先に申しておきます。この騒ぎの発端は経営上の失策および政治的なものと考えております。
写真は、注釈のない物は東京電力が公開したもの(通信社を経由した物も含む)を使用しています。新聞社の写真は引用するとうるさそうだからあまり使わない事にした。
タイトルの通り、ここは写真がメインのページであり、サイトに転載や引用が可能な写真を掲載しつつ事象を扱う趣旨のページです。写真がない出来事は扱わない場合があります。


このコンテンツはニュース速報ではありません。写真が公開された当時の情報により書かれた物です。
現状と内容が大きく異なる場合があります。最新の情報はニュースやTVなどでお調べください。

   

1月編(1〜10日まで)

2012年1月1日

元旦ですが、いつもと変わらず注水の流量調整などが行われる。

一つ怪しい現象が発生しているとのこと。
4号機の燃料プールの側面にある「スキマーサージタンク」の水位が減少しているとのこと。
(14時〜17時の3時間で、約240mmの低下)
原子炉建屋の外回りや循環冷却装置などを現場調査して漏えいのない事を確認。結局この時点で原因は分からず。調査を続行しつつ、減少分を注水しておく事に。

配管の損傷が見られず、かつスキマーサージタンクの水位が下がるとは、すなわち「何らかの理由で燃料プール内の冷却水が減少している」か「スキマーサージタンクの漏れ」が考えられます。
ただしタンクは、過去に行われた目視による調査で損傷が発見されていない上、元々が厚さ1メートルのコンクリート躯体なので、破損の可能性は限りなくゼロです。

スキマーサージタンクとは、使用済燃料プールからオーバーフローした冷却水を受けるためタンクです。プール内の核燃料により温められた水は、比重の変化によりプールの上にのほうに上ってきます。冷却水は常にプールへ供給されているので、水面に近い水(温度の高い水)はスキマーサージタンク側に溢れる形になります。
スキマーサージタンクの水は冷却装置に送られ、冷却後は再び燃料プールに戻って来ます。

2012年1月2日

前日公表された、スキマーサージタンクの水が減っている件について続報。

原因は、燃料プール横にある原子炉ウェルや機器仮置きピットの方にプールの水が流れ込み、結果的にプール水の水位が下がり、そのせいでオーバーフローしなくなった(=スキマーサージタンクに水が供給されないのでどんどん水位が下がる)というメカニズムだったようです。

原子炉ウェルの方に水が流れ込んだ理由は、1月1日(14時30分頃)に発生した地震により、水を仕切っているゲートが動き、その隙間から水が移動したからのようです。
このゲートは、プール側の水圧で押し付けられる事により水密を保つ構造のようです。原子炉ウェル側がプールより水位が低ければ、水は原子炉ウェルのほうには流れ込みません。これが地震によって揺さぶられて、隙間が生じたのではないかという事ですね。

左の図は、2011年6月中旬に公開された図をから引用し、加工・加筆したものです。
この図が正しければ、ゲートが全開になっても核燃料が露出することは無いでしょう。ていうか常識的にはそういう構造になってるよな。ゲートが破損するリスクに対する対策としては至って普通。

ふと思ったのは、なんで原子炉ウェル側と水位差があるのかという点。
以前は何度も注水していたんだよね。できるだけ循環水の量を減らす為かな。

2012年1月6日

先月12月18日に発見され、19日に公表されたトレンチの溜水についての原因調査が行われていますが、その中間報告が保安院に提出され、同日に公開も行われました。

保安院は

  1. トレンチ内に溜まっている水を、ちゃんと管理出来る場所にさっさと移送しろ。
  2. ここに溜まっている水の流入経路を調べて、止水しろ。
  3. トレンチ内に溜まっている水に放射性物質が含まれている原因を究明して、今後は汚染された水が流入して来ないように対策をしろ。
  4. 点検計画を決めて、他のトレンチにも放射性物質を含む溜まり水が無いかを点検しなさい。

と、東電に指示しています。

まずは、1の溜まり水の移送を実施。
現場の線量が高いため、奥のピット部分にポンプを設置するのが困難であるため、近寄れる部分(図の左部分)に水中ポンプを設置し、この位置で汲み上げられる範囲での移送を実施。これにより、220m3中120m3の移送が完了。

さて、次の2「流入経路の特定と止水の実施」ですが、これも原因が特定されたとの事。

例の写真のプルボックスは構内PHS(無線の内線電話)の中継アンテナへ行く配管だそうです。
図面が残っていなかったものの、協力会社に聞き取りを行った所、10年前にPHSの電源工事で配管を設置したことが判明。
このPHS用の管路は、外灯の電源から分岐している(と書いてあるけど、たぶん管路を外灯と共用しているという意味と思われる)ようです。
そして、津波により外灯が倒壊し、その開口部から雨水が侵入し、ここから管路を通じてトレンチに侵入しているようです。

左は、こうなんじゃないかなという想像図の一例。
PHS中継器の電源を外灯回路の途中から横取りしてるとはちょっと考えられないので、盤〜トレンチまで引っ張ったPHS中継器用電源ケーブルを途中からトレンチの外に引き出して管路にて既設の外灯HHまで引っ張り、後は既設の予備管路などを利用してPHS中継器まで配線していると思われます。

外灯がぶっ倒れた部分。

ちょうどそこに水たまりが出来ています。この水が管路に流れ込んでいる感じです。
水たまりの水と、トレンチでの漏水部分の放射性物質濃度を測定した所、ほぼ同等と確認。
ここが侵入箇所と断定。

止水は、管路の途中を掘り出して途中でぶった切り、これを塞いでしまうという作戦です。
トレンチに近い部分を掘って、管路を引っ張り出します。

発掘終了。
無事に発見されました。30mmくらいのFEPです。


(2012年1月5日撮影)

切断および閉塞処理後。
融着テープとキャップとビニテだけの簡単なお仕事です。


(2012年1月5日撮影)


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保安院からの指示事項、残りの3と4について。
他のトレンチで調査が可能な箇所で、かつ必要と判断される部分についても調査が行われます。
(全てが調査可能ではありません)

構内は電柱が全然建ってなく、また地上の配管もタービン建屋周辺以外はほとんどありません。
なぜなら、これらは構内の地中に縦横無尽に走り回っているトレンチ内を通っているので、外からは見えないわけです。

巨大プラントにおいてケーブルや設備配管は多数必要な訳で、ご覧のとおり構内はトレンチだらけです。

いくつかトレンチ内の写真が公開されています。

以下に3枚ほど写真を載せています。
1枚目は左の図中「写真@」、2枚目は「写真A」、3枚目は図の中央辺りにある「A-6」部分になります。

まずは、図中の写真@部分。共用施設から出た辺りです。

ここは、津波で浸水したようで、壁面に沈んだ跡が見えます。
左のラックのようなものも、津波のせいで汚れています。

下が湿っていますが、これは津波の水が残ったものでしょう。特に流れのようなものは見えません。
溜まり水は無しと判定。


(2011年12月20日撮影)

こちらは、写真Aの部分です。

床が奥に行くほど高くなっているのは、汚染水移送に先立って行われた工事にて、この先にあるトレンチ開口部からコンクリートを流しこんでトレンチを塞いだからと思われます。
図中の「@-2」のトレンチ開口部がそれです。この開口部から投入されたコンクリートが、ここまで流れこんできたと思われます。

ここの部分は、壁などには水の跡が付いていませんね。

溜まり水は無しと判定。


(2011年12月20日撮影)

ここは、図中のA-6部分の開口部にて、右から左側に向かって撮影されたトレンチ内です。
背中側にプロセス主建屋、写真の先には軽油・重油タンクがあるようです。

浸水したまま放置されています。溜まり水の量は約142m3との事。
なお、ここの水は放射性物質濃度が低い事から、雨水の侵入によって生じた溜まり水と思われます。
このまま放置すると大変な事になるので、トレンチ開口部に雨水侵入防止対策を行うとの事。


(2011年12月20日撮影)


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2012年1月8日

燃料プールを冷却しているエアフィンクーラーのチューブから冷却水の漏れが発生したとの事。

エアフィンクーラーというのは、冷却水の熱を大気中に排熱するための物です。自動車のラジエターとか、エアコンの室外機と同じ構造です。
熱を持った冷却水を通す配管(チューブ)が、ヒラヒラのたくさん付いたプレートフィンという放熱器内を何往復も走っていう構造です。プレートフィンに風を当ててフィンの熱を奪うと、熱的に接続されているチューブも一緒に冷え、内部の冷却水も冷える、といった感じです。

1〜4号機のプールにおいて、1・4号機でエアフィンクーラーを採用しています。

放熱の原理。

水漏れの場所のズーム。

にょきにょき生えているのが、冷却水が通るチューブ、壁のように見えるのがプレートフィンの端部です。プレートフィンにチューブが多数貫通しているのがわかります。
プレートフィン本体からチューブが出た部分で、チューブが継がれているのが分かります。その接続部で漏れが発生しているように見えます。

漏れてる部分に茶色い物が見えます。何だろう?錆か?
ここは2次冷却水が通るので、塩分どころか放射性物質もほぼ混ざっていません(ここには外から取水したダムの水を利用している)ので、普通に使っていれば、こんな短期間で穴が開くことは考えられません。
新聞報道でフランス云々とあったので、またボロを掴まされたんじゃないよな、ちょっと心配だわ。
普通に冷却塔を使えばよかった気がするんだけど・・・多様性ってやつかな。

プレートフィンの修理は行わないでしょう。放熱器部分がごっそり交換されると思われます。
ここで穴が開いたという事は、無数にある他の接続部分もはっきり言って信頼に値しません。細い管なので、まともに点検もできないでしょう。生き残っている同型機も怪しいです。
予備があるんかなぁ。

エアフィンクーラーは複数が並列設置されているので、無事な方で継続運転。
こいつは系統から隔離。


(2012年1月8日撮影)

1〜4号機のプールにおいて、大気排熱設備は二種類が採用されています。
1・4号機はエアフィンクーラー、2・3号機は冷却塔を採用しています。

冷却塔は、塔内にて外気と冷却水を接触させて冷却を行います。空調や冷凍機、製鉄所などで発生する冷却水の排熱を大気に捨てる機器として広く用いられています。大型施設の空調は、大部分で冷却塔が採用されます。開放式と密閉式があり、ここでは密閉式が用いられています。
密閉式の場合、構造はエアフィンクーラーと似ていますが、放熱器に外から水の噴射および送風を行い、放熱器内部を通る冷却水チューブから熱を奪う(=冷却水が冷える)仕組みです。

循環冷却は、左図の通りです。(A系の一部を省略しています)
燃料プール内の水(一次冷却水)を建屋の外に出さないよう、熱交換器で「縁切り」しています。二次冷却水は汚染されていないろ過水(ダムから取水した水)を使います。この事で、仮に建屋外で冷却水の漏洩が発生した場合でも、汚染された一次冷却水は漏出しません。

2012年1月9日

運転停止中の蒸発濃縮装置2Bの近傍に水たまりがあるのを発見。

水たまりの量は11リットル程度で、漏れた水は全て堰内から出ていないとの事。
漏えい箇所は、蒸発濃縮装置にある「ベントコンデンサ」へ冷却水を供給するスプレイライン(ベントコンデンサスプレイライン)の手前に設けられたフロート式流量計との事。凍結防止ヒーターが不都合で停止してしまい、そのおかげで配管が凍結して膨張→破損となったようです。

漏えい量は6秒に1滴程度。このライン上の弁を閉じ、漏れは15〜20秒に1滴程度に。
これでも漏れているので、漏えい箇所に水を受ける物(バケツかな)を設置予定との事。
漏れた水は図を見ても分かる通り淡水化処理後を終えた水で、この後は注水に使われます。

フロート式流量計(面積式流量計とも言う)は、上端が拡がった円錐状の筒の中にフロート(浮子)を入れた構造をしています。
この筒(テーパー管という)に下から液体や気体を通すと、内部のフロートは流れに乗って上ヘ押し上げられます。テーパー管は上が広いため、フロートが上に行くほどテーパー管との隙間が増加するので、ある一定の場所以上は上がらなくなり、フロートは浮いたまま静止します。流量の大小によって内部のフロートが上下するので、フロートが静止している位置を読む事によって、流量が分かるようになっています。非常にシンプルな構造です。

ベントコンデンサとは、気体状の物質を冷却・凝縮させて、これを液体として回収する装置です。ここでは蒸気を凝縮させて水に戻すために使われています。
蒸発器からは、淡水と蒸気が生成されます。このうちの蒸気をベントコンデンサに導き、装置内で冷却水を噴射して蒸気を冷却し凝縮させて水に戻し、凝縮水タンクにて淡水と合流させています。ベントコンデンサで噴射に使われる冷却水は、ここで生成された凝縮水が利用されているようです。凝縮水を取り出し、この流量計でベントコンデンサスプレイラインの流量を監視しつつ、ベントコンデンサに供給しています。

2012年1月10日

RO式淡水化装置の濃縮水貯槽タンク(淡水化装置から排出された、濃い塩水を貯蔵するタンク)において、タンク付け根のパッキン部分から水が漏れ出している事を確認。
漏れは微量で、1秒に1滴程度。発見時での漏えい量は10リットル程度。
漏れた水はコンクリート製タンク基礎の上に全て留まっているとの事。

タンクは、ボルト結合での組み立て式です。
パッキンというのは、構体の接続部分の事かな。


(2012年1月10日撮影)

そこで、タンク接合部のボルトを増し締めし、12時35分頃に漏えいの停止を確認。
一応という事で、水溜まりの周りに土のうを積んで漏えい防止措置を行い、対策終了。

何かゴムっぽいシール材が見えますね。
しかし、鉄部の錆が結構あるのが気になります。海に近いロケーションのせいだろうか。
こまめにに錆止め塗装を実施しないと危ない気がします。
あと、このタンクに限った話ではありませんが、特に濃縮塩水を貯蔵するタンクは内部の錆が心配です。
何か対策はしているんだろうか。(してると思うけど)
電気防食とかよさそうな気がする。

電気防食と言えば、自動車や建機で幅広く使われているラストアレスターが有名です。
その他、大型タンクや橋梁などでも採用されています。

乗用車用の小型のものもあります

ラストアレスター(楽天市場リンク)


(2012年1月10日撮影)


(写真は、表記のないものは全て東京電力公開)

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