福井・大飯原発:「活断層だ」「地滑りか」 緊迫議論継続に

毎日新聞 2012年11月05日 大阪朝刊

大飯原発敷地内の破砕帯に関する現地調査の評価会合で、意見が食い違い議論しあう岡田篤正立命館大教授(左)と渡辺満久東洋大教授=環境省で2012年11月4日午後4時20分、宮間俊樹撮影
大飯原発敷地内の破砕帯に関する現地調査の評価会合で、意見が食い違い議論しあう岡田篤正立命館大教授(左)と渡辺満久東洋大教授=環境省で2012年11月4日午後4時20分、宮間俊樹撮影

 関西電力大飯原発(福井県おおい町)敷地内の断層(破砕帯)が活断層かどうか、評価が分かれた4日の原子力規制委員会の調査団の会合。2時間半に及ぶ激論となったが、結論は先送りされた。規制委は「活断層の可能性がクロや濃いグレーなら運転停止を求める」方針で、全国で唯一、稼働中の原発が止まる可能性を秘めながら、緊迫した議論が今後も続く。【畠山哲郎、須田桃子】

 午後2時からの会合には傍聴者や報道陣計約100人が詰めかけ、進行役を務めた島崎邦彦・委員長代理を除く調査団のメンバー4人が10〜15分ずつ、見解を話した。

 「重要施設の直下に活断層がある。原発をすぐに停止し、全てを調べ直す必要がある」。各地の原発敷地内の活断層の危険性を指摘してきた渡辺満久・東洋大教授は、こう訴えた。

 渡辺氏は「活断層の問題が顕在化した理由は、事業者の不適切な調査に基づく国のずさんな審査にある」とこれまでの安全審査を厳しく批判。「(活断層を)『確認できない』ことを『活動していない』とごまかしてきた。今後はむしろ厳しく、より安全側に配慮した活断層の定義を定めるべきだ」と話し、「(今回の結論を出すのに)『まだ早い』とか『慎重に』という意見はいらない。のんきな学術調査ではない」と声を張り上げた。

 一方、日本活断層学会の元会長で岡田篤正・立命館大教授は、渡辺氏が活断層だと指摘した「ずれ」を、「ずれはいろんな現象で起こる。これを断層現象と即断できない。むしろ地滑り的に見える」と慎重に検討するよう繰り返し訴えた。

 意見が対立した渡辺氏と岡田氏は、マイクを奪うようにして発言。時には語気を強めて互いの主張を否定する場面もあった。

 このほか、広内大助・信州大准教授は活断層の可能性を指摘。重松紀生・産業技術総合研究所主任研究員は「全体の構造がはっきりしない段階で議論しても、判断は主観的なものになってしまう。もう少し調査して判断すべきだ」と主張した。現地調査した専門家の意見が分かれる事態に、会合の終了間際には傍聴席から「きちんと判断してください」との声も上がった。

 島崎委員長代理は「ずれの原因は活断層によるものか、地滑りの可能性が考えられる。今日はそれ以上の議論は無理だ」と判断を示さなかった。規制委の田中俊一委員長は終了後の報道陣の質問に答えず、足早に会場を後にした。

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