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政治
【正論】安倍氏は高揚感抑えて船出せよ 東洋学園大学教授・櫻田淳
また、第1次内閣期に「お友達内閣」と揶揄(やゆ)されたような政治姿勢の隙も、わざわざ見せてもいけない。安倍新首相に対して、「それ見たことか…」といった言葉を投げ付けたい人々は、内外に決して少なくない。
加えて、安倍新首相に近い人々を含めて自民党政治家が気をつけるべきは、「勝利の配当」を得ようとするかのような露骨な振る舞いを避けることであろう。
今後、自民党に問われることになるのは、過去3年数カ月の「自己省察」と「自己変革」が果たして本物であったかということである。安倍新首相に対しても、他の大挙して登場した同党政治家に対しても、相当な程度までの自制と慎慮が要請される。こうした自制や慎慮が働かなくなった途端、安倍新首相の政権運営も党の党勢も、失速を始めるのであろう。
≪「時代の要請」にバット振れ≫
筆者は、第1次内閣期の安倍新首相の政権運営には、総じて批判的な眼差(まなざ)しを向けていた。「戦後レジームからの脱却」や「美しい国」といった言辞を大上段に掲げた往時の安倍新首相の政治姿勢には、民族主義色の濃い理念を先行させた力みや気負いが漂っていた。それは、「右派・民族主義」性向の人々には歓迎されたとしても、実際の統治には益するところが少なかったのではないか。
「時代の要請」というボールが飛んでこないところに「政策」というバットをいくら振ったとしても、それは、「空振り」にしかならない。衆議院解散以降、円高是正や株価上昇に向けた流れができ上がりつつあるのは、安倍新首相が打ち出してきた経済に絡む「政策」方針が、デフレーション脱却を通じた経済再生という「時代の要請」には確かに応えるものであるからであろう。
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