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政治
【正論】元駐タイ大使・岡崎久彦 「安倍日本」どこが右傾化なのか
安倍晋三内閣の成立を迎えて、内外に、日本の右傾化を懸念する声があるという。
≪まだまだ平和ボケを脱せず≫
私にはどうもそれが理解できない。客観的に見て、日本は右傾化どころか、まだまだ、世界の常識からはずれたパシフィスト(日本語の平和主義者より、やや悪い意味がある)国家だと思っている。
それは国際的に比較してみればすぐわかる話だと思う。冷戦期、ソ連の脅威が厳しかったころ、「あなたは日本を守るために戦いますか」という世論調査とその国際比較があったように記憶する。
記憶に頼る古い話なので不正確かもしれないが、世界の平均が80%ほどだったとすれば、日本の場合は50%をはるかに下回っていた記憶がある。
現在もう一度世論調査をすれば、おそらくは50%を超えているかもしれない。それでも、国際水準より遥(はる)かに低く、右傾化というよりも、正常化、あるいはまだパシフィストから抜けきっていないという結果が出るであろう。
同時に、私が年来日本の政治学者に解明してほしいと思っているのは、右傾化ではなく、日本における右翼運動の凋落(ちょうらく)現象である。
日本における右翼運動の歴史は長い。明治の頭山満、昭和初期の大川周明、北一輝からの伝統があり、戦後も、本命右翼といわれた大東塾、赤尾敏の大日本愛国党などは六〇年安保、七〇年安保の頃に活躍していた記憶がある。
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