自民党政権誕生で遠のく“社会”
自分の生活は自分で守るしかない
関西に住む、別の30歳代の男性も、非正規雇用の職に就いていたものの、会社の事情で辞めざるを得なくなり、次の職場がなかなか見つからず、数年にわたって「引きこもり」状態にある。自立をしようと考えるものの、なかなかうまくいかなかったという男性は、「怖さを感じてしまった」と話す。
「強制労働をさせられるようになるのではないかとかいう言説も、ネット上には溢れている。情報がないので本当かどうかはわからない。ただ、徴兵制とかになるのではないかとかいう声もある。若干、あきらめかけていた部分もあるんですが、今後、本当に仕事に就くことができなくなるのではないかという複雑な思いがあるんです」
今回の選挙結果を受けて、虚ろな社会がますます遠のいていく。そんな不安を感じると、彼は明かす。
「どうやったら、今の状態から抜け出せるのか、自分でもわからない。でも、また企業中心の世の中に戻るのではないか。こっちには目を向けてくれないのではないかという不安がありますね。もしも最低賃金制度の廃止にでもなったらいちばん怖い。もう生きていけなくなるのではないか。生活保護は、敷居が高いイメージがあるので…」
これまで「引きこもり」問題や「貧困」「障害者」といった弱者の支援のために、熱心に奔走してきた政治家もいた。
東北地方で支援活動を続ける当事者グループの代表は、こうショックを隠さない。
「引きこもり問題の解決のために、一生懸命に取り組んで来られた初鹿明博議員(当時民主党議員、解散後は離党して日本未来の党へ)が落選したことが、大変残念でした。この問題に理解のあった民主党政権には期待していただけに、今回、自民党政権に代わって、引きこもり問題がどうなるのか、とても心配しています。ただ、公明党の山本博司議員(参議院)も熱心に支援してくれていますし、これからの政権がどういう対応をするのか、注視したいと思っています」