未来分裂、小沢系が党名を「生活の党」に 嘉田氏を追い出し
産経新聞 12月28日(金)7時55分配信
■結局は「カネ目当て」 新たな野合、見え隠れ
日本未来の党は27日、党名を「生活の党」に変更し、代表も嘉田由紀子滋賀県知事から森裕子副代表に変更すると総務相に届け出た。日本未来は旧「国民の生活が第一」の小沢一郎代表の処遇をめぐり、嘉田氏と小沢氏に近い議員が対立した結果、結党からわずか1カ月で分裂した。
森氏ら小沢氏に近い議員が党に残り、選挙前に「小沢氏を使いこなす」と言っていた嘉田氏は同氏に近い阿部知子元社民党政審会長とともに党を追われることになった。阿部氏は当面、無所属で活動するという。
日本未来は同日、国会内で両院議員総会を開き、嘉田氏が示した年内の分党を了承。総会後、森氏は「円満に分党の合意が整った」と語り、28日に嘉田氏らと記者会見して正式に発表することを明らかにした。また、亀井静香元金融担当相は27日、離党届を党執行部に提出した。
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「選挙互助会」と揶揄(やゆ)された日本未来の党が行き着いた先は、政党交付金の“争奪戦”だった。勝ち取ったのは小沢一郎氏側。交付金の額は1月1日時点の所属国会議員数などに応じて決まるため、年内に政党の体裁を整えなければ、交付はお預けとなる。小沢氏側が主導権を握る形で“衣替え”を急いだのはこのためだ。結党から1カ月。「カネ目当て」の分裂劇への批判は免れない。
27日に国会内で行われた日本未来の両院議員総会は約20分間で終了した。
「本物の『脱原発』に向けての第一歩を目指していきたい」
代表の嘉田由紀子滋賀県知事に近い飯田哲也代表代行は会合後、記者団にこう語り、小沢氏側との対立の根深さをうかがわせた。
所属国会議員は27日に離党届を提出した亀井静香氏を除くと16人。小沢氏と小沢氏系議員計15人は名称を変えて存続する「生活の党」に残り、嘉田氏と社民党出身の阿部知子衆院議員が党を追われる形だ。
政党交付金を受け取るには、1月1日時点で(1)所属国会議員が5人以上(2)所属国会議員が1人以上で、国政選挙での得票率が2%以上−のいずれかの条件を満たさなければならない。
存続する「生活の党」は、日本未来が受け取るはずだった平成25年分の政党交付金約8億6000万円(産経新聞試算)の大半を受け取ることができる。嘉田、阿部両氏らが新たな政治団体を結成しても交付金は受け取ることはできない。
気になるのは今後の小沢氏側の動向だ。
日本未来の国会内の控室に27日、就任挨拶のため訪れた民主党の海江田万里代表に、「生活の党」代表に就任する森裕子参院議員は満面の笑みを浮かべて“接近”を図った。
「海江田万里8票プラスさせていただきました!」
日本未来は26日に参院で行われた首相指名選挙の決選投票で、8人全員が海江田氏に票を投じている。森氏のパフォーマンスは、小沢氏側と民主党が手を握る新たな“野合”を想像させるものだった。(松本学)
最終更新:12月28日(金)7時55分
- 小沢一郎(おざわいちろう)
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- 所属院 選挙区 政党:
- 衆議院 岩手県4区 日本未来の党
- プロフィール:
- 1942年5月24日生 初当選/1969年 当選回数/15回
- (写真提供:時事通信社)