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【東京】2012東京NEWS(4)小金井のごみ問題 日野に飛び火 猛反発
「日野市のごみなら何とかと思ってこれまで受け入れてきた。小金井と国分寺のごみまで受け入れると言うなら、市役所の隣で建て替えればいい」 日野市のごみ焼却施設がある新石(しんせき)地区の集会所で今月二十三日夜、住民の一人が馬場弘融市長(68)に施設の移転を求めると、賛同の拍手で沸いた。馬場市長が共同処理を掲げたことに周辺住民は強く反発し、日野市も建て替え場所を失って“第二の小金井”に陥る可能性すら出ている。 「小金井がごみ焼却施設をつくれないのは予定地周辺の住民が反対してきたからだ。そんなところのごみをなぜ日野が受け入れるのか」。新石自治会会長の川久保康男さん(63)は訴える。自治会は市長との面会前、地区内に反対ののぼり旗を五十本立てた。約二百三十世帯から六百八人分の署名を集めて、市長に突き付けた。 一九八七年完成の現焼却施設は老朽化したため、住民側は市内のごみを燃やすための建て替え計画にいったんは同意した。しかし、川久保さんは「三市で共同処理すれば排ガスが増え、住民の健康に影響が出るのではないか。単独とは全く違う」と撤回を求める。 馬場市長が来年四月の市長選に出馬しない意向を表明したことも「引退が決まった人では話にならない」と住民の怒りを増幅させた。市長は「残り任期に関係なく必要なことを判断すること」と反論するが、住民側に軟化の兆しはない。 建て替え受け入れどころか、施設の移転を求める声も出始めた。「バリケードをつくって小金井のごみ搬入を阻止しようか」。一九七二年に夢の島(江東区)で住民がごみ搬入を実力で阻止した「東京ごみ戦争」を想起させる話も出ている。 小金井と国分寺の両市が受け入れ実現を願って静観する中、馬場市長は「反対されたからといって引き下がるようでは行政は進まない」と意欲を示す。だが今は住民を説得する糸口すら見いだせていない。 (大平樹) =おわり <日野市のごみ問題> 自前のごみ焼却施設を建設できず行き詰まった小金井、国分寺両市の要請を受け、馬場市長が11月28日の定例会見で、市内の現焼却施設の敷地に新設して両市のごみを受け入れたい考えを表明した。小金井市は2011年の市長選で、2013年3月末までにごみ処理の方向性を示すことを公約に掲げた稲葉孝彦氏が返り咲いたが、日野との共同処理の他に表面化した計画はない。国分寺市は老朽化した焼却施設の延命化計画を保留して、事態の推移を見守っている。 PR情報
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