【北京=島田学】中国政府は27日、中国版全地球測位システム(GPS)技術を使ったサービスを始めた。まず自国を中心とするアジア太平洋地域を対象に位置情報を提供し、2020年までに全世界をカバーするサービスの実用化を目指す。独自技術の開発でカーナビゲーションシステムなど関連産業の振興を狙う。この分野での対米依存を軽減し、巡航ミサイルの命中精度の向上といった軍事利用も視野に入れている。
システムの名称は「北斗衛星導航系統」(英語名・コンパス)で既に16基の測位衛星を軌道に乗せており、測位精度は誤差10メートル以内という。システムを所管する北斗衛星導航系統管理室の冉承其主任は27日の記者会見で「精度は米国のGPS並み」と強調。韓国やタイ、マレーシア、インドネシアを中心に「より高質で低価格なGPSサービスを提供していく」と積極的に海外展開していく考えも示した。
昨年からの試験運用段階で災害や航空機、船舶の位置の把握には利用している。全世界をカバーするため、20年までに衛星を合計で約35基体制とする計画で、追加投資額は400億~500億元(約5400億~6800億円)と見込む。
今後は対応したカーナビや携帯電話のほか、GPS受信用チップなどの電子部品開発も進みそうだ。中国政府は関連産業の国内市場は12年時点で1200億元(約1兆6000億円)規模にのぼると推計している。
動向が注目されるのは軍事分野での活用だ。冉主任は「GPSは軍民両用の技術だ。独自のGPSの構築は中国の国防上も有益だ」と言明。軍事利用を視野に開発を進めていることを鮮明にした。GPS技術を米国に依存してきた中国軍にとって、精度の高い独自システム技術の獲得は喫緊の課題だった。
中国政府は1980年代から独自のGPS技術開発の検討を始め、00年に産官学軍の連携で実験用の測位衛星を打ち上げた。今年10月には16基目の測位衛星を打ち上げた。
宇宙開発では今年6月に宇宙船の有人ドッキングを初めて成功させ、20年までに独自の宇宙ステーション建設を計画する。胡錦濤国家主席は11月の共産党大会で、今後の中国軍の課題の一つに「宇宙空間での安全保障」を挙げている。
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