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中学生自殺 生徒の同級生ら書類送検
12月27日 16時53分

中学生自殺 生徒の同級生ら書類送検
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大津市で中学2年の男子生徒が自殺した問題で、警察は、生徒が同級生3人から暴力などのいじめを受けていた疑いが強まったとして、このうち2人の少年を27日、暴行などの疑いで書類送検しました。
もう1人の少年は、当時13歳で刑事処分の対象とならないため児童相談所に書類を送られました。

去年10月、大津市立の中学校に通っていた2年生の男子生徒が自宅のマンションから飛び降りて自殺し、その後、学校が全校生徒に行ったアンケートで「自殺の練習をさせられていた」など、いじめをうかがわせる回答が数多く寄せられたことが明らかになりました。
滋賀県警察本部は、自殺との関係を調べるため、ことし7月、学校などを捜索し、遺族から同級生だった少年3人に対する告訴を受けて捜査を進めていました。
教職員や300人余りの生徒からも聞き取りを行った結果、男子生徒が自殺するおよそ2週間前の体育大会で、はちまきで手足を縛られたり殴られたりするなどのいじめを繰り返し受け、暴行と器物損壊、それに窃盗の合わせて13件の容疑が強まったということです。
警察は、3人のうち、当時14歳だった2人について27日、暴行などの疑いで書類送検し、2人は今後、検察庁から家庭裁判所に送られることになります。
また、もう1人の少年については、当時13歳で刑事処分の対象とならないため、警察は児童相談所に書類を送りました。
しかし、警察は、アンケートに記載された「自殺の練習」については事実関係が確認できず、いじめ行為と自殺との因果関係はこれまでの捜査で結論が出ていないとしています。
一方、3人の少年側は、遺族が賠償を求めた民事裁判で争う姿勢を示し、「いじめではなく遊びのつもりだった」と主張しています。

市教委“真摯に反省している”

大津市教育委員会の松田哲男教育部長は「今回の問題は、強制捜査に至る前に対応すべきだった問題で、真摯(しんし)に反省している。今後は、いじめの未然防止や早期発見に努め、いじめを許さない学校づくりに引き続き努力していきたい」と話していました。

遺族“捜査資料の積極的活用を”

自殺した男子生徒の父親は「今回は、たまたまたくさんの目撃証言があり、アンケートにまとめられていたが、こうしたことがないと書類送検に至るのは難しいことが多いと思う。捜査資料をむだにせず、教育の現場や行政を担う人たちに積極的な活用を強く望みたい。この事件を決して特異なケースとして捉えないでほしい」と話していました。

尾木さん“教育的な指導も重要”

大津市が設置した第三者委員会の委員を務める教育評論家で法政大学教授の尾木直樹氏は「警察的な見方をすれば、暴行の罪などで立件できる場面はいくつもあり、少年たちに法的な責任が問われることをしっかり教えるべきだと思う。ただ、これで終わるのではなく、少年たちが立ち直ることができるよう教育的な指導を行っていくことが重要だ」と話しています。
また、第三者委員会の委員長を務める横山巌弁護士は「第三者委員会は警察の動きとは別に動いているので、特にコメントはない」としています。

いじめの警察対応は44%増

警察庁によりますと、いじめに関する事件で検挙されたり補導されたりした少年や少女は、ことしの上半期でみると全国で125人と、去年の同じ時期より38人、率にして44パーセント増えています。
その背景には警察がいじめに関する事件に積極的に対応したことがあるとみられます。
これまでいじめは原則、教育現場で対応するもので、警察が積極的に介入すべきではないという考え方がありましたが、大津市でのいじめなどを受けて、先月、文部科学省は都道府県の教育委員会などに対し、いじめの内容が犯罪行為と認められ、学校側の指導でも効果がない場合にはためらうことなく警察に相談するなど、警察と連携した対応をとるよう通知しました。
同時に警察庁も、いじめに関する相談についてこれまで以上に被害者の気持ちに寄り添った対応をとることを決め、被害届の受理や捜査を必要に応じて積極的に行うよう全国の警察に指示しました。
この結果、警察へのいじめに関する相談はその後も増える傾向にあるということです。

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