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2012.12.27

第二次安倍内閣雑感

 第二次安倍内閣が誕生。率直な印象を言えば、これは事実上の麻生クーデターだったなということ。その割にはぬるい構成にも見える。考えてみると、麻生クーデターを最終のところで読み切ったのは谷垣さんだったかもしれない。
 別の言い方をすれば、この内閣の最大の敵は自民党内部だし、加えて、政治家経験の少ない新勢力所帯だろう。自民党は古くさい政党というより、民主党と似たような党になっている。壊れるときはちょっとした不和から、がっちょんといくかもしれない。
 第二次安倍内閣の当面の課題は金融政策である。その焦点について率直に言えば、来年4月8日に任期満了になる白川方明総裁の後任人事ということになる。誰か。
 元財務次官の大和総研・武藤敏郎理事長になれば、この内閣の行方はもう見切ったということになる。財務省主導型のなんちゃってリフレである。それでも民主党政権時代よりはマシかもしれないし、現実的に見ればそのあたりでしかたないかもしれない。財務省を敵に回して政権が維持できるとも想定しづらい。
 他に日銀人事には、伊藤隆敏・東京大学教授の声も上がっている。副総裁という声もある。武藤氏よりはよい人選ではないかとは思う(参照)。また、1.5%インタゲ論の日銀副総裁の経験者・岩田一政・日本経済研究センター理事長の声も聞くし、そのあたりは現日銀体制の許容だろう。普通にナンセンスな人事という意味で。あと、竹中平蔵・慶大教授の線は普通にありえないだろう。
 サプライズ人事は岩田規久男・学習院大教授だろう。内閣官房参与の国際金融担当に浜田宏一・米エール大名誉教授、本田悦朗・静岡県立大教授が入っているので、まったくあり得ないことではない。そうなったら、すげーびっくりするが。
 日銀人事は政局に近い話題なのでノイズも多く外部からはよくわからない。しかし概ね、武藤・伊藤という体制になりそうな感じはする。いずれ、その枠組みを見てから、第二次安倍内閣を評価しても遅くない。
 メディアではざっと見渡すと、慌てているようだ。いろいろ怨念もあるのか、参院選の仕込みなのか、わけのわからない第二次安倍内閣バッシングの兆候がすでに見られる。前回その路線で内閣をつぶせた成功体験をなぞっているという点で、極めて保守的な動向である。しかし、内閣官房参与にこの手の対応になれた、小泉純一郎元首相の政務秘書官を務めた飯島勲氏が入ったので、さすがに前回のようなぶざまなことにまではならないのではないか。
 現時点で第二次安倍内閣の問題があるとすれば、あまり議論を見かけないようだが、金融政策の基本方針と整合しない政策は何か、ということになる。他方、社会保障関係は三党合意で実質棚上げになっているのでさほどの課題ともなりえない。
 財政政策の観点からは、内閣官房参与として入った藤井聡・京都大大学院教授の国土強靱化政策や、甘利明・経済再生・社会保障税一体改革・経済財政政策担当相の動向が注目される。
 どうなるか。概ね、バラマキというのはこの政権の成り立ち上、避けられない。国土交通相に入った公明党の太田昭宏前代表もこの路線だし、麻生さんも基本、この文脈になる。むしろ金融緩和とのバランスの許容をどこまでと見るかということになる。少なくとも麻生さんは、経済成長がなければ消費税増税は無理という指針をすでに強く出しているので、民主党政権時代のように、早晩地獄が見える的な状況は回避されている。
 外交・軍事関連については、民主党鳩山政権のような派手なパフォーマンスはないだろうし、参院選までに派手な動きも出て来ないだろう。またここで中国や南北朝鮮が火元になって動いたら米国を刺激することになるので、それもないように思える。
 とはいえ、夏の参院選が近づくにつれ、前回安倍内閣バッシングのような状況は盛り上がるだろうし、そのなかで「やっぱり安倍政権はへたれたか」ということになっても何ら不思議ではない。
 しかし野党勢力は、バッシングよりも、違憲状態の選挙制度への協力の点で健全性が評価される。安倍政権がいわゆる右傾化するのであれば、健全な受け皿の指針は、選挙制度改革の視点から探るとよいだろう。
 
 

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