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がれき処理費文書 宮城県、当初大半開示せず
 | オンブズマンの指摘を受け、県が開示した大量の文書 |
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東日本大震災で発生した宮城県内のがれき処理に関する情報公開請求で、県が対象文書の大半を開示していなかったことが25日、分かった。請求者の仙台市民オンブズマンの抗議を受け、県は業者側と概算の処理費を協議した際の文書など計1400枚を開示した。
がれきの処理費は総額約3600億円に上り、オンブズマンは「決定の過程はブラックボックス。20年近く続けてきた情報公開請求で初のケースで、意図的に開示しなかったのではと疑ってしまう」と批判している。 県が処理するがれきは7月、石巻地区で当初見込みの685万トンから310万トンに半減し、亘理地区でも86万トンから47万トンに減少することが判明した。 県は9月上旬、石巻地区を受託する鹿島東北支店など9社の共同企業体(JV)の契約額を当初の1923億円から1482億円に、亘理地区の大林組東北支店など7社のJVの契約額を543億円から492億円にそれぞれ減額することを決めた。 オンブズマンは文面で「両地区のがれき処理委託費を減額する過程が分かる一切の文書」と具体的に指定して開示請求。口頭でもJVとの協議内容の公開を求めた。しかし、県が10月31日付で開示した計372枚の文書は、がれき量の測量結果などに限定されていた。 オンブズマンは文書に協議内容がないことを疑問視し、「ほかにも文書があるはずだ」と訴えた。県は11月以降、新たに石巻地区1075枚、亘理地区325枚の計1400枚の文書を開示した。 これらの文書には、JVが見積もった処理費を県に示した打ち合わせの内容や、県とJVの担当者同士が契約額の概算を決めた協議の内容が記されていた。 県は10月末の期限をすぎて対象文書を開示したことが情報公開条例違反に当たるとして、オンブズマンに謝罪した。 県は「(JVとの)協議内容の公開を求められたかもしれないが、記憶がない。請求内容は測量結果などで十分と考えた」と説明。当初、1400枚を公開しなかったのは「意図的ではなく、ミスだった。今後は請求時に詳細な打ち合わせをして再発を防ぎたい」と話している。
◎オンブズ「重大ミス」 「多くの県民が県から『文書はこれしかない』と言われたら信用し、それ以上は公開請求しないだろう。重大なミスで、県は情報公開の重要性を分かっていない」 がれき処理に関する情報公開請求で、仙台市民オンブズマンのメンバーは今月上旬、指摘を受けて新たに文書を開示した県の対応を厳しい口調で批判した。 県情報公開室によると、震災後の昨年3月から今年11月、県情報公開条例に違反するケースは今回のがれき処理の文書以外にはなかったという。 県は「情報公開制度は行政の透明性や公平性を確保するためにできた。文書の公開が遅れて不信感を抱かせ、申し訳ない」と話している。 オンブズマンは震災後、がれき処理のほか、仮設住宅建設の発注状況などを示す文書を公開請求するなど、復興事業費の使い道をチェックしている。
2012年12月26日水曜日
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