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風力発電の終焉

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2012/12/27 7:00
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 考えてみてほしい。サウスカロライナ州の電力会社、スキャナと関連会社はおよそ1000エーカーの土地に1100メガワットの原子炉を2基建設するために110億ドルを投入している。同規模の電力を風力で得るには(風の間欠性のため、タービンはその容量に対し、平均50%以下でしか回せないことを思い出してほしい)、20万エーカーの敷地に1700基の風力タービンを設置しなければならない。その場合の初期投資額は88億ドル。原子力のほうが初期投資はかさむが、長持ちする。しかも安定的に電力を供給でき、二酸化炭素の排出はゼロだ。

 風力発電業界のロビー団体は議会に対し、税額控除を延長し、今後6年かけて徐々に廃止していくべきだと提案した。彼らの希望がかなう可能性もあるが、反対勢力もいる。ラマール・アレクサンダー上院議員(テネシー州選出)は先週、議会演説で次のように語った。「我が国の連邦政府は、国民が消費する1ドルにつき42セントを拝借している。私がこの演説で指摘したいのは、今後6年間、さらに500億ドルも税金を巻き上げるという提案があるということだ。これは白昼堂々、目抜き通りの銀行に強盗に押し入るのと同じくらい、厚顔無恥な提案だ。風力発電業界は納税者に対して『風力発電への税負担による連邦補助を段階的に廃止したいので、あと6年、500億ドルほどください』と言っているのだ」

 天然ガス火力発電所には、税負担による補助金は一切投入されていない。天然ガスは潤沢で、次々と姿を消しつつある石炭火力発電よりはるかに環境に優しい。風力発電は様々な発電方式の組み合わせのなかで、居場所はあるだろう。もし消費者が法外なお金を払ってでも100%風力発電に切り替えるべきだと考えるなら、それでもいいだろう。しかし、これまで10年以上かけても独り立ちできていない発電技術に納税者の血税を投じることは、簡単に正当化できるものではない。

by Christopher Helman(Forbes Staff)

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