第1に、風が非常に強い地域は大概、電力の需要地から遠く離れている。このため、送電設備の建設コストはかさむ。これまでは、風力発電計画の多くは既存の送電網に編入することを許されてきた。しかし、今後はだんだん難しくなり、風力発電の規模拡大に応じて送電網整備に巨費を投じる必要が出てくるとテイラー氏は指摘する。
第2に、風は常に吹いているわけではない。電力業者は不安定な風力発電を補うために、石炭や石油など化石燃料を燃やす火力発電所を常に待機させておかなければならない。フル稼働していない火力発電所は発電効率が悪化する。風力発電のコスト計算のほとんどは、化石燃料で動く火力発電所を待機させたり、低出力で動かし続けるための費用を算入していない。だが、本当はこうしたコストもきちんと反映させるべきだ。これがクリーンで環境にやさしい風力発電を送電網に組み込むための真のコストだからだ。
テイラー氏はこうした数値を考慮した結果、真の風力発電コストは喧伝(けんでん)される値の2倍にのぼるだろうと断言している。
同氏は、風力発電設備を導入するための総コストを1キロワットあたり2千ドルとし、1キロワット時あたり8.2セントで試算を始めたという。次に、風力タービンが30年(楽観的な値)持つと仮定すると、コストは同9.3セントに上昇した。さらに、補助金による加速減価償却を反映すると、同10.1セントになる。次に、風力の不安定さをカバーできるように、ガスを燃料とする発電所を低出力で動かし続ける費用を算入する。これは1.7セント。これらの火力発電所を動かすための予備の燃料費としてさらに0.6セント上乗せ。最後に、需要地に電力を届けるための新たな送電網整備に2.7セントを加える。これらをすべて合算すると1キロワット時15セントに膨らむ。
これは痛い。
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