日本経済新聞

12月27日(木曜日)

日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様
  • ヘルプ

コンテンツ一覧

Forbes

風力発電の終焉

(2/4ページ)
2012/12/27 7:00
小サイズに変更
中サイズに変更
大サイズに変更
保存
印刷
リプリント

 第1に、風が非常に強い地域は大概、電力の需要地から遠く離れている。このため、送電設備の建設コストはかさむ。これまでは、風力発電計画の多くは既存の送電網に編入することを許されてきた。しかし、今後はだんだん難しくなり、風力発電の規模拡大に応じて送電網整備に巨費を投じる必要が出てくるとテイラー氏は指摘する。

 第2に、風は常に吹いているわけではない。電力業者は不安定な風力発電を補うために、石炭や石油など化石燃料を燃やす火力発電所を常に待機させておかなければならない。フル稼働していない火力発電所は発電効率が悪化する。風力発電のコスト計算のほとんどは、化石燃料で動く火力発電所を待機させたり、低出力で動かし続けるための費用を算入していない。だが、本当はこうしたコストもきちんと反映させるべきだ。これがクリーンで環境にやさしい風力発電を送電網に組み込むための真のコストだからだ。

 テイラー氏はこうした数値を考慮した結果、真の風力発電コストは喧伝(けんでん)される値の2倍にのぼるだろうと断言している。

 同氏は、風力発電設備を導入するための総コストを1キロワットあたり2千ドルとし、1キロワット時あたり8.2セントで試算を始めたという。次に、風力タービンが30年(楽観的な値)持つと仮定すると、コストは同9.3セントに上昇した。さらに、補助金による加速減価償却を反映すると、同10.1セントになる。次に、風力の不安定さをカバーできるように、ガスを燃料とする発電所を低出力で動かし続ける費用を算入する。これは1.7セント。これらの火力発電所を動かすための予備の燃料費としてさらに0.6セント上乗せ。最後に、需要地に電力を届けるための新たな送電網整備に2.7セントを加える。これらをすべて合算すると1キロワット時15セントに膨らむ。

 これは痛い。

  • 前へ
  • 1ページ
  • 2ページ
  • 3ページ
  • 4ページ
  • 次へ
小サイズに変更
中サイズに変更
大サイズに変更
保存
印刷
リプリント

【PR】

【PR】

Forbes 一覧

米国で風力発電はカベに直面しており、先行きは不透明だ(ボルダーにある風力タービン)=AP

AP

風力発電の終焉

 周知通り、世界の終わりがやってきた……。最近、米国の風力発電業界は、自らの行く末をこのように語っている。もちろん、マヤ暦の終末の話をしているわけではない。…続き (12/27)

「中国の覇権」の下で日米同盟は見直しを迫られるのか(中国海軍初の空母「遼寧」。新華社配信)=共同

共同

2030年、「中国の覇権」で機能しない日米同盟

 筆者は前回の記事で、日米安保体制は時代遅れだと指摘した。言わんとしたのは、圧倒的支配力を持つ中国を軸とする日本以外のアジア地域は、急速に強大かつ豊かになりつつあり、今後もその傾向は続くだろうということだ。…続き (12/20)

米アップルは2013年から米国内でMacを生産するという。製造業の米国回帰は本流になるか(CEOのティム・クック氏)=AP

AP

アップル・GE…米国回帰始めた工場の未来

 オバマ大統領に「ビジネス界の敵」という評が定着してしまった理由のひとつは、彼がビジネス界のリーダーたちにぶしつけな質問を投げかけることがよくあるためだ…続き (12/13)

新着記事一覧

最近の記事

【PR】

12/27 10:00更新 ビジネスリーダー 記事ランキング

リーダーのネタ帳

モバイルやメール等で電子版を、より快適に!

各種サービスの説明をご覧ください。

TwitterやFacebookでも日経電子版をご活用ください。

[PR]

【PR】

ページの先頭へ

日本経済新聞 電子版について

日本経済新聞社について