特集ワイド:反省と奮起、民主の2人インタビュー 菅直人元首相/仙谷由人元官房長官
毎日新聞 2012年12月26日 東京夕刊
衆院選でボロ負けした民主党。その前途はかなり険しそうだ。2大政党時代は幻に終わるのか? 小選挙区で敗北し、かろうじて比例で復活当選した菅直人元首相(66)と、女房役として菅内閣を支え落選した仙谷由人元官房長官(66)に反省と再起への思いを聞いた。
◆2大政党制、あきらめたくない−−菅直人元首相
◇逆戻りできぬ所まで持っていきたかった「原発ゼロ」
−−まさに滑り込み、すれすれでの当選でした。
ずっと二つの戦いをやっていました。一つは3年3カ月の民主党政権そのもの。すさまじい、マイナス、ネガティブ評価で、その張本人のひとりが菅直人だとされましたから。逆風どころか、氷の塊のような感じで、これは耐えるほかない。もう一つは原発事故に直面した首相として訴えた「原発ゼロ」。これはアグレッシブなテーマで、演説しても手応えがありました。原発ゼロを願うみなさんの執念がなんとか私を押し込んでくれたと感じています。
−−そもそも師走選挙、早すぎたと思っておられる?
できれば、原発ゼロの流れをもう一段、逆戻りできないポイントまでもっていきたかった。東京電力の原子力部門を「脱原発公社」みたいなものをつくって移したり、発送電分離の法律をつくってしまったりとか。また、野田(佳彦)さんにアドバイスしましたが、ロシアのプーチン大統領が日本に顔を向けていたので、領土問題での前進が見込めた。日露が領土問題で展望が開ければ、対中国、対韓国とも局面が変わる。理想的にはもう半年あればと思ったが……。
−−こんなことなら、自ら「脱原発」解散をしていたらと思いませんでしたか?
首相在任中、そういう意見を強烈に言ってくる人もあって、私の頭の中の選択肢に多少ありました。どういう状況なら踏み切れるかという具体的なところまでじゃなく、あくまで仮定として。ただ民主党全体として脱原発で戦うだけの足並みはそろってはいませんでした。だから、やるなら首相の私が離党して「原発ゼロ」党をつくらないといけないと考えたが、そうすると2大政党制の実現にこだわってきた自己否定になる。結局、難しいなあ、と。
−−民主党のどこがいけなかったんですか?