脱原発の日のブログ

12月8日は16年前もんじゅが事故を起こして止まった日。この日を「脱原発の日」として、原発電力の上にある不安な現実から、自然エネルギーで地球上のすべてのいのちたちと共生できる責任と希望をもった、未来につながる道を見つけて行きたい。


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Hさんからの「クリスマス朝に、みなさんに伝えたいこと」(下記、3と4)というメールをお伝えします。
それに関して、遅くなりましたが、JAEAの2012年11月発表の情報についての英語記事の訳を先にお伝えします。
できる方は、この記事の情報を井戸川町長や双葉町の人たち、その他多くの福島の人たちに伝えてください。
最初の7日間で50ミリシーベルトという数字には、伝えるのもつらいものがあるでしょうが。

1)記事(2)について(他の情報を含み)
2)日本原子力研究開発機構の英語プレスリリースを伝える英語記事
3)Hさんのメール;「クリスマス朝に、みなさんに伝えたいこと」~不信任案可決された井戸川町長へ激励を
4)記録映画監督、堀切さとみさんのメール~不信任案可決の場にいて
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1)記事(この下==以下の部分)について、他の情報を含み;

・爆発後、2日間屋内に避難してから、30km圏外に避難するとしても、
 住民は最初の7日間で容易に50ミリシーベルトの放射線に被曝する恐れ
・爆発後、5km圏内から即時の避難命令を出せば、100分の1の被曝で済む可能性

また
・一時的な高線量被曝を恐れて避難せずに屋内退去していると、即時避難した場合よりも被曝総量を高めることになること、 
・10km圏内では、木造の家では屋内避難の効果が薄かったこと、
・ヨード剤の爆発前の12時間以内の配布は、30km圏内においてきわめて重要
ということが、記事からわかります。

このような発表したのは反原発のNGOとかではなく、<JAEA:日本原子力研究開発機構>です。
その英語サイトを探しても、どこにあるのか、探しきれません。
毎日とジャパンタイムズの英語版は、その報道を今でも掲載しています。
当初掲載していた時事コムでは、すでに消滅しています。

この評価は、
・JAEAがまとめ、NRAの下につくられた委員会へ報告された、
・JAEAは、地元自治体が福島原発事故開始以来出されたいくつかのガイドラインに基づき、
原発事故災害からの効果的な被害緩和計画を練りだすように期待してこれを発表した、
とジャパンタイムズにはあります。

即時ではなくとも、自己判断で県外避難を決断し実行した井戸川町長の行動が正しかったことが、
今年の11月末頃になってやっと、日本原子力研究開発機構によって証明されているわけです。
JAEAが言う「効果的な被害緩和計画」とは、記事要旨からしても、
<町民にこれ以上被曝をさせない>という点が最優先であるべきです。

今後30年以内の大地震とその被害予想が発表されているにも関わらず、自民党は再稼働を進めるそうですから、
下記の記事が伝えるエッセンスである、<事故発生後の即時避難と、爆発前12時間以内のヨード>という知識は、
再稼働する原発から少なくとも30km圏内の各地域で共有される必要があると思います。 

(参考)
■ http://foodsafety-renkei.jp/aecl/fukushima_100km.pdf (福一原発からの距離)
 
■ 都道府県庁所在地の市役所(東京は都庁)および北海道の総合振興局・振興局庁舎付近において、
  今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率
http://www.jishin.go.jp/main/chousa/12_yosokuchizu/2012hikaku.pdf
(*50%以上の数値だけを抜粋)
根室65.3%、 水戸62.3%、 千葉75.7%、東京23.2%、 横浜71.0%、 甲府55.4%、 静岡89.7%、
津87.4%、 大阪62.8%、 奈良70.2%、 和歌山51.0%、 徳島64.2%、 高知66.9%、 大分50.2%、
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2)―JAEA(日本原子力研究開発機構)は、
原発事故後に住民の放射線量を低減するために取られた措置の効果を評価する新たなデータを公表―
*下記 Enformable 2012/11/30 )

同データは、適切な措置がなければ、たとえ半径30km圏の外まで避難する以前に2日間屋内に避難しているとしても、
住民は最初の7日間で容易に50ミリシーベルトの放射線に被曝する恐れがあることを示した。

・(原発から5km圏内)
JAEAの調べによれば、事故を起こした原発から5km圏内にある地区からの即時避難の命令を行政が出せば、
そうでない場合に受ける放射線量の100分の1の被ばくで済む可能性があるという。

・(原発から10km圏内)
5kmから10kmの地域においては、住民が2日間コンクリートの建物の内部にいた後に避難する場合には、
被ばく線量が60~80%下がると分かった。

・(同30km圏内)
事故を起こした原発から30km圏内で、屋内待避をするよう強いられる住民には、放射性物質の放出の12時間前の早い時期に、
安定ヨード剤1つを採ることで、放射線量がIAEA基準を超えないようにすることができる。

(*Enformable 2012/11/30
http://enformable.com/2012/11/jaea-releases-new-data-estimating-effect-of-measures-
taken-to-reduce-radiation-dose-to-public-after-nuclear-accident/#OxYtmskxb1liFj6R.99
* 英語ソース:
・The Mainichi http://mainichi.jp/english/english/newsselect/news/20121130p2g00m0dm077000c.html
 ―Taking iodine before release of radioactivity helps reduce exposure―
・The Japan Times online  http://www.japantimes.co.jp/text/nn20121201a2.html   
  ―Saturday, Dec. 1, 2012 Taking iodine before fallout hits is key: NRA (Kyodo)―)
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3) Hさんのメール:
みなさま
クリスマスの朝にどうしても伝えたいことがあります。
今月は体調が良くなく、この数日も病床にいたので、昨晩まで知らなかったのですが、
福島県の双葉町の井戸川町長が議会で不信任決議をされていたことをsomlの情報で知り、
すぐに埼玉県に住む記録映画監督の掘切さとみさんに連絡しました。
実は11月30日に由布院で開いた「いま、いのちを問う」vol.3の座談会で
彼女が完成させたばかりの記録映画『原発の町を追われて~避難民・双葉町の記録』を上映したことで、
双葉町の状況と井戸川町長がどんな方なのかいくらか知ることができたからです。
ちょうど朝日新聞の連載の中でも双葉町のことがとりあげられていました。
あの非常時で自分の政治生命よりも
町民の生命を第一に行動してきた井戸川町長は私はりっぱな人だと感じています。
もし私が彼の立場だったら、とうの昔にギブアップしています。

離れたところにいる私達が彼の勇気ある行動に支援し、
いま福島に留まらざるをえない方向にもっていかれている子ども達の被曝の現実について
少しでも声を上げることができるとしたら、
いま、少なくともこのようなことはおかしいという声を出すことかと思うのです。

双葉町のホームページに埼玉庁舎のファックス番号やメールアドレスがありますので、
井戸川町長や町民の方たちへの支援の声を届けていただければありがたいです。

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4)記録映画監督、堀切さとみさんのメール
堀切です。

十二月二十日、双葉町議会の最終日。井戸川克隆町長の不信任案が、可決成立した。
議会を傍聴した私は、その瞬間を呆然とした思いで見つめていた。
自分はただ傍聴してるだけで、何もできなかった痛恨の念があり、数日間、ただただ呆然としていたが、
多くの人から「双葉町長を励ましたい」「議会に抗議したい」そして
「双葉町はこんなことでは終わらない」という町民の声が寄せられた。
「正しいことしてるから叩かれるんだよ」。
井戸川町長にもその声は届いているだろうし、
町長の思いに揺るぎはないことを思いつつ。
********

双葉町議会のリポートをします。
前町長の息子である(こんなレッテルを貼りたくもないのだが)
岩本久人議員が、不信任の理由を次のように述べた。

「町長は町民の声をきく努力をせず、町民との考え方にかい離があり、
自分の考えに固執している。・・・それに比べて議会は、多くの町民の声をきいてきた」
「復興のためには福島県の汚染から出る放射炎汚染土壌やがれきの処分問題は避けてはとおれない。
それなのに十一月二十八日の中間貯蔵施設の現地調査を議論する会議に、
町長だけが欠席し、福島県や町を落胆させた」

 これを受けて、井戸川町長は
「町民の不満が解消されないのは、事故責任者が我々を放置していたからに他ならない 。
健康問題、賠償問題など、町民に損をしてほしくないという思いで精いっぱい尽くしてきた。
まだまだやるべき仕事が多くある中で、不信任は残念でならない。
町民どおしがいがみあうことなく、一丸となって戦えるような仕組みづくりに、
議会の皆さんは力を尽くしてほしい」
と反論した。

 この町長発言の後、岩本町議ないし他の議員からの意見があるのかと思ったが
「質疑なし」「討論なし」で、本当にあっけなく採決になってしまった。
私は議会の傍聴は初めてだったのだが、
このやり取りをみていて、何か仕組まれたものを感じた。
なぜ今、不信任なんだろう・・・。

 井戸川町長を解任しようという動きは、これまでに二回あった。
理由は「町長は独断的だ」「役場が県外にあることで、
県内に避難している町民は不利益を被っている」というものだ。
町長は、双葉町民は県内・県外避難者の対立を深刻化させないために
苦渋の決断として、役場の福島県内移転や、旧騎西高校の弁当の有料化などを決めた。

にもかかわらず、三度目の不信任案が十二月二十日に出され、
あっという間に八人の議員全員の賛成によって、可決成立してしまったのだ。
誰かに頼まれたかのように、何の迷いもなく。

 3・11の直後。井戸川町長は、町民を内部被ばくのリスクから遠ざけるため、
役場を福島県外に移し、埼玉県の旧騎西高校に多くの町民を避難させた。
私はそんな双葉町に共感し、握手したい気持ちで取材を始めた。
騎西高校は唯一残った避難所として、今も160人の町民が暮らしている。
一方、福島県内では佐藤雄平知事、福島県立医大を中心に事故の被害を最小化するため
のキャンペーンが張られ、「除染をするから帰還せよ」という政策がとられ続けてきた 。
井戸川町長はこの安易な帰還政策に反対し「チェルノブイリ基準」を示しながら
「福島県内の多くの場所は、今なお人が住んではいけない汚染状況にある」と訴え続けた。
すべては、目に見えない放射能から、子どもたちの未来を奪ってはならないという思いからだ。
十月にはジュネーブで、放射能汚染による内部被ばくから町民を守ろうとしない
国の無策ぶり、無責任さを訴えたが、本来これは福島県知事がやるべきことだ。
しかし実際にはそうはならず、小さな町の首長がたった一人で告発しに行くしかないということが、この国の惨状を示してあまりあると思う。
福島県内の自治体の多くが、帰還政策に追従していく中で、
井戸川町長は、町民の命と権利を守るために孤立無援で闘ってきた。
そんな町長の存在は「福島は安全だ」といって事故の責任をうやむやにする
国、県、東電にとって、目の上のたんこぶだったに違いない。
だからといって、国や東電が井戸川おろしをするわけにはいかなかったのだ。

 岩本議員は「町長は町民の声を聴く努力をしていない」という。
こんな言葉が、双葉町民から出てくることに愕然とする。何を根拠にそう言うのか。
町長は福島県内の仮設を回って懇談会をしてきた。
仮設を回る回数が足りないというなら、もっと回ればよかったのか?
そして、そういう町議こそどれだけ町民と向き合ったのか。
3・11直後の福島第一原発の爆発のとき、避難できず町にとり残された
三百人の無念さを背負い続け、町民すべての被ばく検査が終わるまで、
自分は検査をしないと言いはる町長を、私はとても暖かい人だと感じるのだが。
よその人間が双葉町のことを見つめているのに、
双葉の議会が町長のしてきたことを認めないというのは、・・・ちょっと度量の狭さを感じてしまう。

中間貯蔵施設の会議に出なかった町長のことを「自分の町、自分の考えだけでコトにあたろうとした」と
岩本議員はいうが、自分の町のことを考えることがなぜ悪いのか。
岩本議員は誰と向き合っているのだろう。町民感情の頭越しに着工を急ぐ、県と向き合ってるのかな。
また町議たちは、町長が主張している「町民の健康問題」については、何も見解を言わない。
私は町議ひとりひとりにそれを聞きたいと思う。
井戸川町長にインタビューしたとき、「私は反原発ではない。ただ、日本を滅ぼしたくないだけだ。健康な子孫を残すということが大事で・・・・」と語った。

そのことに対して、どうして誰も共感しないのだろうか。反論でもいい。
なぜかかわろうとしないのか。
佐々木清一議長に至っては、議会の後の記者会見で
「国とけんかするのも、放射能について言及するのもいいが、
町民を一つにすることを考えるべき。自分ひとりの考えでなく、
町長としてやるべきことは双葉郡をひとつにすることだ」と言った。
自分の考えもなしに県のいいなりになることが、町民に向き合うこととどう結びつくのか。
町民の頭越しに中間貯蔵施設を作ることを前提とする会議に対し「自分は反対だ」と
表明することも許されない。・・・
原発事故の最大の被害者である町の議長が、それを許さないのだ。
とにかく歩調を合わせることが大事なのだ。こんな議会がどうして、
町民のやるせなさに向き合えるんだろう?
前代未聞の世界的な原子力災害に対し、本気になって向き合う井戸川町長に、
追いつける人は双葉町議会にはいない。

不信任が決まったことを知った、旧騎西高校の避難所の町民たちは
「あんなに頑張ってくれてる町長なのに、本当に許せない」と、
悔しさを隠せない様子だった。泣き出す人もいて、つらかった。
傍聴席から「町長は町民思いだ!」と叫べばよかったのに、できなかった自分を苛んだ。
しかしこの不信任決議は、マスコミの報道とは別にどんどん広がり、
多くの人が井戸川町長にエールを送っている。
そして今、町長不信任に抗議する、双葉町民の署名活動が始まった。
「双葉の人間はおとなしい」と言ってきた人たちが、動き始めているのだ。
日本社会はちょっとだけ成熟している・・と思う。
井戸川町長は、自分のしていることがすぐには理解されないことを知っている。
そして、個人が自分の考えを表明することが、民主主義の基礎だということも。
こんな人が、双葉町の中から登場してくることが、未来を作ることになる気がしてならない。
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