都知事選:告示…12月16日投開票、衆院選とダブル選
毎日新聞 2012年11月29日 10時27分(最終更新 11月29日 13時27分)
石原慎太郎氏(80)の辞職に伴う東京都知事選が29日告示され、午後1時までに8人が立候補を届け出た。投開票は12月16日で、都政史上初めて、衆院選(同4日公示)とのダブル選になる。約13年半続いた石原都政の継続か刷新かが最大の争点。政党支持の分かれ目となった原発政策に有権者がどんな判断をするかも注目される。
主な立候補者のうち、前神奈川県知事の松沢成文(しげふみ)氏(54)は都庁のリストラや受動喫煙防止条例の制定などを提唱。11年の前回都知事選では石原氏の後継含みで立候補を表明し、その後に辞退したが、今回は「脱石原色」を強める。
元自民党総務会長の笹川尭(たかし)氏(77)は09年に政界を一度引退したが、石原氏の任期途中の辞職で出馬を決めた。五輪招致などは継続する一方、累積赤字を抱える新銀行東京は売却を含めた抜本的見直しを掲げる。
新党「日本未来の党」と共産党、社民党が支持する前日本弁護士連合会会長の宇都宮健児氏(66)は、脱原発を訴え幅広い勢力結集を目指す。石原都政を「弱者切り捨て」と批判し、20年五輪招致にも慎重姿勢を示す。
立候補により都副知事を自動失職した猪瀬直樹氏(66)は石原氏が後継指名し、自民党、公明党、日本維新の会が支持する。石原都政継承の立場を取り、脱原発の是非を議論する前に電力会社改革を進めるべきだと主張する。【清水健二】
◇解説…東京の改革、具体策示せ
バブル経済が崩壊した90年代以降、都道府県知事のありようは大きく変わった。地域活性化に自治体の創意工夫が求められる状況で国会議員や官僚から転身して地方の自立を唱える「改革派」知事が全国に誕生し、中でも東京都の石原慎太郎氏は「国と戦う知事」の代表格だった。
石原氏の後任を選ぶ都知事選の主な立候補者も、程度の差はあるが、国政を批判し、東京が国をリードする姿勢を打ち出している。「国と戦う」ことは、都知事のスタンダードになった感すらある。
問題なのは対峙(たいじ)する中身だ。情報公開や環境アセスメントなどの制度は自治体が先行して国を動かした。石原氏も自動車排ガス対策や都独自の認証保育所など、国の規制に縛られない政策で成果を上げたが、沖縄・尖閣諸島の購入表明のように都民生活と関連が薄い分野で政府との対立を深めもした。