筆者 -
寺澤有
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2012年 9月 21日(金曜日) 00:25 |
2011年9月以降、知人からクルマを借りて乗っていたところ、その知人が警察に盗難届を出し、「盗難保険金が入ったら、半分渡す」と言われたという中川隆成被告(46歳)。同年11月、中川被告は東名高速道路東京料金所付近で交通事故を起こし、神奈川県警察本部に逮捕されたあとも、一時、「クルマは自分が盗んだもの」と供述していた。
9月20日、中川被告に対する尋問が横浜地方裁判所川崎支部(荒川英明裁判官)で行われた。中川被告は、弁護士、検察官、裁判官の質問に、くり返し、こう答えた。
「(2012年)1月1日か2日のこと。取り調べを担当していた宮前署の寺下俊平と山室勝己に、『クルマは盗んだものではなく、知人から借りたもの。窃盗事件ではなく、詐欺事件』と打ち明けたが、両警察官は『今さら、そんなことを言われても困る。男になって、窃盗の罪をかぶって、務めて(服役して)くれ。(知人から)保険金ももらえるから』と説得した」
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2012年 9月 15日(土曜日) 13:40 |
2011年3月8日、横浜地方裁判所(秋山敬裁判長)は、覚せい剤取締法違反(使用)で起訴されていた福原伸也(ふくはら・のぶや)氏(47歳)に対し、無罪判決を言い渡した(確定)。
「本件捜査手続には、令状なくして、かつ、立会人なく(筆者注:トヨタ製自動車)ハリアーを捜索したという違法、及び、被告人を令状なくして実質的に逮捕したという違法がある」「被告人の尿についての鑑定書は、重大な違法がある手続と密接に関連する証拠であるから、その証拠能力を否定すべきである」「その余の証拠によって公訴事実を認めることはできず、公訴事実については犯罪の証明がないこととなる」としたのだ。
警察の違法捜査に関して、判決に以下の記載がある。
《後藤(筆者注:神奈川県警察本部緑署地域課の後藤俊明巡査長)は、「通常であれば捜索令状をとった上で行う行為であるが、時間がかかる上、盗難車両の可能性もあったので車内を調べることにした」と証言し、髙田(同:緑署地域課の髙田正規巡査)は、「恥ずかしい話だが、令状のことは当時はよくわからなかった。令状が必要だったという話は後から聞いた」などと証言した。警察官らの令状制度に対する理解の乏しさ、関心の低さは深刻である》
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筆者 -
寺澤有
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2012年 9月 14日(金曜日) 03:30 |
自動車を盗んだとして横浜地方検察庁川崎支部に起訴された中川隆成被告(46歳)が、1月26日の横浜地方裁判所川崎支部(荒川英明裁判官)の初公判で、「自動車は知人から借りたもの。その後、知人が警察に盗難届を出し、保険金をだまし取った。分け前がもらえると思い、自分が盗んだことにしていた」と暴露した事件は、6月14日の公判で、検察官が窃盗について無罪を主張し、詐欺で追起訴している。
中川被告は、7月11日の公判や筆者の面会のさい、「(神奈川県警察本部)宮前署で事件を担当していた寺下俊平(巡査)部長と山室勝己班長に、『自動車は盗んでいない。知人が保険金詐欺をしようとしている』と打ち明けたが、両警察官は『捜査するのが大変だから、男になって、窃盗を認めて、刑務所に行ってくれ。知人がカネを払ってくるから』などと説得した」と述べている。
9月13日の公判で、中川被告の弁護人の山根大輔弁護士は、寺下、山室の両警察官を証人申請した。
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筆者 -
有村眞由美
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2012年 9月 12日(水曜日) 23:35 |
9月7日、夏の節電期間が終了したことにともない、九州電力本店(福岡市)で瓜生道明(うりう・みちあき)社長(写真)の記者会見が開かれた。
九州電力は今夏の最大電力需要を1634万キロワットと予想していたが、実際には7月26日に記録した1521万キロワットが最大だった。同日の電力供給力は1626万キロワットあり、玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)と川内原子力発電所(鹿児島県薩摩川内市)が稼働していない現状でも、電力は足りたことになる。
瓜生社長は「結果的には原発がなくても電力は足りたが、節電の効果が大きかった。今後も継続可能かは検証が必要だ」と述べた。
そのうえで、「新規にガスタービン発電設備を用意するには、1年以上かかる。安全が確認できた原発から1日も早い再稼働をお願いしたい」と訴えた。
9月6日、民主党は「2030年代に原発稼働ゼロを可能とする。原発の新設・増設は行わない」との方針をまとめた。これに関して、瓜生社長は「政府のエネルギー政策には従わなければならない」としながらも、「増設はともかく、再稼働の議論をお願いしたい」とくり返した。
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筆者 -
寺澤有
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2012年 9月 06日(木曜日) 15:50 |
片桐裕警察庁長官が全国首席監察官会議で、警察官の不祥事が多発している現状について、「危機感を持て」と訓示したのが4月9日。しかし、それ以降も、収賄や強姦、暴行、薬物使用など、警察官の犯罪は枚挙にいとまがないぐらい発生している。
10月にインシデンツから『なぜ警察官の犯罪がなくならないのか』を上梓する予定の飛松五男(とびまつ・いつお)元兵庫県警警部補(写真)に話を聞いた(以下、敬称略)。
――警察官の犯罪がなくなりませんね。
飛松 警察官が仕事を一生懸命していないからです。証拠を紛失するだとか、ましてや捏造するなど、捜査のプロとして考えられないこと。それに加えて、個人の責任ばかり追及されて、組織の責任が追及されないことも問題です。たとえば証拠でも、組織が管理している以上、組織の責任があります。しかし、そこを追及していくと、幹部たちが処分されますから、いつもウヤムヤになります。根本的な原因が解決されないまま、再び同じような不祥事が起こるというわけです。
――警察官のわいせつ事件が多いと感じます。
飛松 警察組織は男社会なので、もともとわいせつ事件が起こりやすい環境です。私自身も、警察署長が女性職員にセクハラするのを目撃したり、警察官が被疑者の痴漢事件の捜査にたずさわったりしました。被害者が女性ということもあり、泣き寝入りしてしまうケースも少なくなく、現在、報道されているものは氷山の一角です。
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筆者 -
寺澤有
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2012年 9月 03日(月曜日) 16:20 |
フリーランス連絡会は、東京電力が保有する福島第1原子力発電所事故関係の資料を政府が管理することなど、同事故に関する情報公開を進めるための3項目の申し入れを、8月24日、細野豪志原発事故担当大臣、枝野幸男経済産業大臣、園田康博内閣府大臣政務官の3名に行った。
これに対する回答が、8月31日、資源エネルギー庁電力・ガス事業部政策課からファクシミリで送られてきた(全文後掲)。その前に園田政務官から筆者に電話があり、「細野大臣、枝野大臣と自分が協議したうえでの回答」と説明された。
回答は、福島第1原発事故関係資料の政府管理について、「東京電力が国立公文書館に寄贈することが可能かどうか検討しているものと承知している」と他人事のような表現。ほかの2項目についても、情報公開の必要性は認めるものの、現状を改善する必要性は認めていない。
申し入れの発案者のまさのあつこさんは、「東京電力が情報公開に消極的だからこそ、申し入れを行ったのにもかかわらず、いまだに政府は『(同社が)自主的かつ積極的にその情報を公開していくべき』などとすっとぼけたことを言う。もはや東京電力の情報公開に特化した法律を制定するしかない」と不満を表明した。
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筆者 -
寺澤有
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2012年 8月 25日(土曜日) 08:00 |
8月24日、フリーランス連絡会は、細野豪志環境大臣(原発事故の収束及び再発防止担当内閣府特命担当大臣)、枝野幸男経済産業大臣(原子力経済被害担当内閣府特命担当大臣)、園田康博内閣府大臣政務官に対し、現在、東京電力が本店で記者クラブメディアと一部のネットメディア、フリーランスに視聴させている福島第1原子力発電所事故直後(2011年3月11日から15日まで)のテレビ会議動画の公開手法が不十分だとして、これを含む関係資料の公文書管理法に基づく政府(国立公文書館)管理を申し入れた(申入書は全文後掲)。
発案者のフリーランス・まさのあつこさんは、7月31日の枝野大臣の記者会見で、「報道機関に対する情報提供とは別に、公文書管理法に基づいた歴史文書として、東京電力に提供を求める考えはあるか」と質問したが、同大臣は「法律を確認して、勉強してみたい」と答えるにとどまった。
申入書ではあわせて、「東京電力と政府の合同記者会見を最低でも月1回は開催すること」「東京電力を含む税金が投入された私企業等に対する情報公開法の制定」も求めている。
回答期限は8月31日18時。
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筆者 -
寺澤有
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2012年 8月 23日(木曜日) 08:45 |
8月16日、フリーランス連絡会は国会記者会(記者クラブ)に対し、以下の申し入れを行った。
《本会事務取り扱いで、貴会との折衝にあたってきた佐藤裕一、畠山理仁、寺澤有の3名が国会記者会館の屋上から10分間、反原発の抗議活動を撮影することを許可してください。なお、3名が撮影した静止画や動画については、本会所属以外のフリーランスにも無償で提供します》
しかし、22日、これを拒否する回答が電子メールで国会記者会の佐賀年之事務局長から送られてきた。以下が全文だ。
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筆者 -
寺澤有
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2012年 8月 22日(水曜日) 01:35 |
2009年3月、宮城刑務所(仙台市若林区)の日置修司(ひおき・しゅうじ)受刑者から、こんな手紙が送られてきた。
《宮城刑務所では3月16日より、身分証明(健康保険証コピー又は免許証コピー又はパスポートコピー又は住民票原本)、このどれか1つ送られてこないと(宮城刑務所長の指示で受刑者の外部交通の制限のため)、私から寺澤さんに返信出来なくなりますので、免許証のコピーでも同封して郵送して下さい(尚、同封されたコピーは返還しないとの事です)》(要旨)
長年、日置受刑者とは文通してきた。また、宮城刑務所以外の受刑者らとも文通しているが、所長が同様の指示を出したという話は聞いたことがない。突然、宮城刑務所長は何を言い出すのか。そもそも宮城刑務所長に社会でふつうに生活している人間の個人情報を収集する権利などあるはずがない。
同年6月3日、筆者は宮城刑務所に電話し、担当者にきいた。
――根拠の法規を教えてほしい。
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筆者 -
寺澤有
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2012年 8月 16日(木曜日) 16:20 |
筆者も事務取り扱いの1人に名を連ねる「フリーランス連絡会」が、8月16日、国会記者会に対して、首相官邸前でくり広げられる反原発の抗議活動を取材するため、国会記者会館に立ち入ることを認めるよう申し入れを行った(申入書は全文後掲)。
同趣旨の申し入れは、7月17日にも行い、19日に国会記者会から拒否されている。しかし、今回は、申し入れの内容を以下のように限定し、国会記者会が受け入れやすくした。
(1)国会記者会館に立ち入る者は「フリーランス連絡会」の事務取り扱いの佐藤裕一、畠山理仁(以上、敬称略)、筆者の3名 (2)立ち入る場所は国会記者会館の屋上 (3)立ち入る時間は10分間 (4)立ち入る目的は撮影
「フリーランス連絡会」の者が撮影した静止画や動画を、同会所属以外のフリーランスにも無償で提供することは、前回と同様に約束している。回答期限は23日18時。
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筆者 -
寺澤有
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2012年 7月 23日(月曜日) 10:20 |
☆8月15日まで本記事がトップに掲載されます☆
ニュースサイト『インシデンツ』は、2010年5月14日に「準備版」を公開し、2011年6月1日から正式オープンいたしました。この間、450本を超える記事を掲載しております。
それらの中には、《長崎県警鑑識課はハメ撮り写真の現像所だった》や《警察から東京電力へ32人が天下り 東電が会見で明かす》のように、『インシデンツ』が最初に報道し、ほかのマスコミが後追いしたものもあります。
正式オープンから1年が経ち、順次、ユーザ登録されている読者の更新時期が来ます。これを機会に、ユーザ登録に関する規定を若干改めます。
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筆者 -
寺澤有
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2012年 8月 15日(水曜日) 19:20 |
近年、警察官が強引な職務質問を行い、国民とトラブルが多発している。背景には、職務質問で言いがかりをつけ、警察署に連行して、顔写真や指紋、DNAを採集することがノルマとなっている実態がある。
職務質問をめぐるトラブルが訴訟へ発展するケースも出てきている。私立大学専任研究員の男性(44歳)が東京都(警視庁)を相手どり、違法なプライバシー侵害が行われたとして、顔写真と指紋のデータの抹消や慰謝料100万円などを求めて東京地方裁判所(堀内明裁判長)で係争中の事件も、その1つだ。
2008年6月、男性は東京都北区の路上でパトカーの警察官らから職務質問を受け、リュックサックにマルチツール(写真は同型のもの)を入れていたことから、軽犯罪法違反(正当な理由がなくて刃物、鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた)容疑で目白署に任意同行され、顔写真と指紋をとられた。
6月22日、東京地裁で警察官らと男性に対する尋問が行われたので、傍聴取材した。
警察官の今田裕(いまだ・ひろし)氏(53歳)は、男性を職務質問した理由を、こう証言した。
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筆者 -
寺澤有
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2012年 8月 13日(月曜日) 10:30 |
首相官邸前でくり広げられている反原発の抗議活動を俯瞰的に撮影するため、独立系ネットメディア「OurPlanet-TV」とその代表の白石草(しらいし・はじめ)さんが国と国会記者会(記者クラブ)を相手方として、国会記者会館屋上を使用させるよう東京地方裁判所に仮処分を申し立てたのが7月17日。
これに対する決定が26日に出た(福島政幸裁判長)。主文は「本件申立てを却下する」。理由は「取材の自由は、いわゆる消極的自由、すなわち報道機関の取材行為に国家機関が介入することからの自由を意味するものであり、一定の行為を請求することができるという積極的な権利まで当然に含むものではない」というもの。
国が国会記者会にのみ国会記者会館の使用を許可し、ネットメディアやフリーランスには許可しないこと自体、「報道機関の取材行為に国家機関が介入」していることは明らかなのに、まったく意味不明な理由である。
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筆者 -
寺澤有
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2012年 8月 08日(水曜日) 18:50 |
2011年11月に神奈川県警察本部宮前署(写真)が自動車の窃盗容疑で逮捕した中川隆成被告(46歳)が、1月26日の横浜地方裁判所川崎支部の初公判(荒川英明裁判官。以下同)で、「自動車は知人から借りたもの。盗んではいない」と否認した事件。
横浜地方検察庁川崎支部が再捜査し、6月14日の公判で、検察官が窃盗罪について無罪を立証、論告することを表明する一方、中川被告が自動車の所有者・菊地均被告と共謀し、盗難保険金をだまし取ったとして詐欺罪で追起訴した(以上、既報)。
続く7月11日の公判で、中川被告は「宮前署の取り調べ担当の寺下俊平らには、窃盗ではないこと、つまり、私が菊地から自動車を借りて乗っていたら、菊地から『警察に盗難届を出した。盗難保険金が入ったら、半分渡す』と言われたことを話していた」などとする書面を読み上げた。
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筆者 -
寺澤有
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2012年 7月 30日(月曜日) 12:30 |
7月29日、「7.29脱原発国会大包囲」と銘打つ抗議活動が行われ、数万人が集まった。
これに先立ち、フリーランス連絡会の岩本太郎、田中龍作、林克明、三宅勝久(以上、敬称略)と筆者が国会記者会館を訪れ、佐賀年之事務局長に対し、口頭で「本日の抗議活動を取材するさい、会館の敷地や建物に立ち入ることを許可してもらいたい」と申し入れた。
しかし、佐賀事務局長は「本日は、国会記者会(記者クラブ)の会員社以外は立ち入ることはできない」と拒否した。国会記者会館の門のあたりには、同趣旨の掲示も出ていた(写真上)。
国会記者会館周辺での抗議活動は、18時40分ごろに「原発いらない!」とのシュプレヒコールで始まり、20時ちょうどに主催者「首都圏反原発連合」が終了を宣言した。警察が「主催者から終了の挨拶がありました。参加者のみなさんは速やかに駅のほうへ向かって歩いてください」とアナウンスする手際のよさだった。
抗議活動のあいだ、佐賀事務局長らは、国会記者会の会員社以外の記者が国会記者会館の敷地に立ち入らないよう、門前で厳重なチェックを行う一方、制服や私服の警察官は自由に出入りしていた(写真下)。規制する相手が違うように思う。
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筆者 -
寺澤有
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2012年 7月 28日(土曜日) 13:20 |
☆写真の警察官の情報を求めています。懸賞金などはお支払いできませんが、情報提供者の秘密は厳守します☆
『インシデンツ』で連続追及している兵庫県警スキャンダル。告発者で明石市在住の建設業Yさん(41歳)らは、兵庫県警本部の監察官室や捜査第2課にも事情を説明している。
しかし、監察官室や捜査第2課は身内の不正を取り締まるどころか、Yさんらに圧力をかけて口封じをしようとしているのだ。
2012年3月ころからYさんらは捜査第2課の警察官らに尾行されるようになった。「尾行」といっても、警察用語で「強制尾行」といわれるもので、あからさまな尾行を続け、対象者の行動を制限したり、精神的な圧力をかけたりするのが狙いである。
1996年、筆者も警視庁と暴力団との癒着を取材中に同庁公安部公安総務課の警察官らから「強制尾行」を受けた。秘匿すべき取材先に行くことができないなど、影響は大きかった。このときは、なんとか取材を完遂し、『週刊文春』(文藝春秋)で記事にした結果、警察官2名が免職、上司らも処分された。
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筆者 -
寺澤有
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2012年 7月 21日(土曜日) 16:40 |
7月21日、元朝日新聞記者の吉竹幸則さん(写真)が大久保地域センター(東京都新宿区)で、「報道弾圧」と題して講演した。主催は「草の実アカデミー」。
吉竹さんは、1973年に朝日新聞社に入社し、名古屋本社社会部、東京本社政治部を経て、山形支局長、名古屋本社広報センター長などを歴任。2007年12月に定年退職した。
2008年7月、吉竹さんは朝日新聞社を相手どり、損害賠償3000万円などを求める訴訟を提起する。「1990年6月ころまでに、建設省(当時)の極秘資料を入手するなどし、長良川河口堰建設がムダな公共事業であることを突き止め、記事にするよう求め続けたが、認められなかった」というのだ。
しかし、吉竹さんの主張は、名古屋地方裁判所、名古屋高等裁判所、最高裁判所で、ことごとく退けられた。「朝日新聞社には、編集権がある」などが理由だった。
講演で、吉竹さんは「記者が事実を公表しようとしても、新聞社が編集権をたてに闇に葬れるなら、戦前と同じ」と訴えた。
2011年12月、吉竹さんは単行本『報道弾圧』(東京図書出版)を上梓し、「今後も講演などで自分の体験を話していきたい」という。
「もっと早く朝日新聞社を辞めて事実を公表するべきだったが、勇気がなかった」との言葉が印象に残った。
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筆者 -
寺澤有
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2012年 7月 20日(金曜日) 20:00 |
7月17日、独立系ネットメディア「OurPlanet-TV」とその代表の白石草(しらいし・はじめ)さん(写真)は東京地方裁判所に、「(国と国会記者会は取材や撮影のために)国会記者会館屋上を使用させなければならない」との仮処分を申し立てた。
20日、東京地裁民事第9部で、2回目の審尋が開かれた。白石さんと代理人の弁護士らによると、国は「取材の自由があっても、国会記者会館に立ち入る権利まではない」「国会記者会館の使用の可否は行政処分だから、行政訴訟で争わなければならない」などと主張し、国会記者会は「国会記者会館に立ち入るのを認めるか否かは、国会記者会の自由裁量」などと主張したという。
白石さんは、こう話す。
「裁判官が『国会記者会館の使用について、国と国会記者会とで、契約はあるのか』と質問すると、国会記者会が『契約はあるが、その文書はない』と答えた。国が国会記者会に、どのような権限を委ねて、私が国会記者会館から排除されているのか、現時点ではわからない。これはきちんと明らかにしてほしい」
23日までに双方が主張の書面を提出し、首相官邸前で大規模な反原発の抗議活動が行われる29日までに決定が出される見込み。
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筆者 -
寺澤有
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2012年 7月 20日(金曜日) 07:05 |
7月10日、筆者は国会記者会(記者クラブ)を訪ね、佐賀年之事務局長から国会記者会館の管理について説明を受けた。そのときの佐賀事務局長の主要な発言は下記。
「国会記者会館は、国会記者会が衆議院から無償で借りて、管理している」
「国会記者会館の管理の権原は衆議院営繕課長が持つが、通常の管理の権限は国会記者会事務局長が持つ」
「国会記者会が国会記者会館を使用できて、フリーランスやネットメディアが使用できないのは、国会と信頼関係があるか否か、それに基づく既得権があるか否かの問題。我々は明治以来、120年間、国会と信頼関係がある。既得権には、もちろん商売上のものも含まれる」
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筆者 -
寺澤有
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2012年 7月 19日(木曜日) 19:30 |
首相官邸前に建つ「国会記者会館」(写真は正面入口)。所有者は国だが、国会記者会(記者クラブ)が「国から管理を委託されている」と主張し、自分たちは広大なスペースを無料で使用する一方、フリーランスやネットメディアを排除している。
これに関して、7月17日、筆者も事務取り扱いの1人に名前を連ねる「フリーランス連絡会」が国会記者会に、「本会所属の記者2名、カメラマン2名が国会記者会館の土地や建物に立ち入り、取材することを許可してください」との申し入れを行い、独立系ネットメディア「OurPlanet-TV」とその代表の白石草(しらいし・はじめ)さんが東京地方裁判所に、「(国と国会記者会は取材や撮影のために)国会記者会館屋上を使用させなければならない」との仮処分を申し立てた(以上、既報)。
19日、国会記者会の佐賀年之事務局長からフリーランス連絡会の申し入れに対する回答があった。
「(白石さんらの仮処分の申し立てが)裁判中なので、(フリーランスやネットメディアを排除している)方針を変えることはできない」
べつに裁判中でも、相手方と話し合い、方針を変えて和解することは可能だ。要するに、国会記者会は裁判所から命令されない限り、国会記者会館の独占的な使用を見直す考えがないということである。報道機関のありようとしても税金の使われ方としても、極めて問題といわざるをえない。
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筆者 -
寺澤有
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2012年 7月 18日(水曜日) 07:00 |
7月17日、独立系ネットメディア「OurPlanet-TV」とその代表の白石草(しらいし・はじめ)さんが、「(国と国会記者会は)7月29日午後6時から午後9時までの間、東京都千代田区永田町1-6-2所在の国会記者会館屋上を使用させなければならない」とする仮処分を東京地方裁判所に申し立てた。
「取材する権利に基づき、内閣総理大臣官邸、国会議事堂及びその付近において開催される、反原発の抗議活動である『脱原発国会大包囲』の全景を動画で撮影する取材活動のために、国会記者会館の屋上を使用させることを求める」としている。
国会記者会館の所有者・国を相手方に「施設使用仮処分命令申立書」を提出し、同会館の管理者・国会記者会を相手方に「施設立入仮処分命令申立書」を提出した。
施設使用仮処分命令申立書(PDFファイル)
施設立入仮処分命令申立書(PDFファイル)
同日15時30分から東京地裁民事第9部で、さっそく審尋が開かれた。白石さんと代理人の弁護士らによると、「20日にも裁判長(合議)が国と国会記者会を審尋に呼ぶ。29日までに結論を出そうとしている」という。
白石さんらは「国会記者会館は、国が報道の自由のために提供している。フリーランスやネットメディアにも使用権がある。仮処分がうまくいかない場合、訴訟も考えている」などと話した。
【写真】仮処分申し立て後、司法記者クラブで会見する白石草さん(右から2人目)と代理人の弁護士ら。
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筆者 -
寺澤有
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2012年 7月 18日(水曜日) 05:15 |
東京・永田町の首相官邸前の交差点に「国会記者会館」(写真)がある。土地と建物は国有だが、「国会記者会」(記者クラブ)が無料で独占的に使用している。税金の使われ方としていかがなものかという議論は当然ある。
従前、ここをフリーランスの取材の足場にも使用させてもらいたいと、国会記者会に要請する動きは見られた。しかし、国会記者会は「自分たちは政府と信頼関係があるが、フリーランスにはない」などとして、使用を認めなかった。
最近、にわかに国会記者会館をフリーランスにも開放するよう求める動きが加速してきた。というのも、毎週金曜日、首相官邸前で反原発の抗議活動が行われており、それを取材するさい、国会記者会館の土地や建物に立ち入ることができれば、様々な利便が受けられるからだ。
例えば、写真1枚撮影するにしても、国会記者会館の屋上が使用できれば、俯瞰的な構図が描ける。実際、国会記者会加盟の新聞やテレビは、そういう撮影の仕方をしている。
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筆者 -
寺澤有
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2012年 7月 15日(日曜日) 22:05 |
『インシデンツ』で連続追及中の兵庫県警スキャンダル。告発者のYさん(41歳)は、こんな話も打ち明ける。
「昨年(2011年)12月19日、Gと一緒に社(やしろ)署(写真)に行きました。常深洋蔵(つねみ・ようぞう)警部補が県警本部組織犯罪対策課から社署に異動となり、そこで彼の捜査に協力するためです」
「G」というのは、同年6月、Yさんと常深警部補を引き合わせた、警察に顔がきくという人物。そのとき、Yさんは常深警部補から「あなたを捕まえるところだった(しかし、捕まえなかった)」と言われ、同警部補を接待するなど、関係を深めていく。
GとYさんが社署に出向いた目的だが、「捜査に協力する」といえば聞こえがいいが、実態は虚偽の調書を作成するためだった。
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筆者 -
寺澤有
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2012年 7月 13日(金曜日) 00:05 |
故黒木昭雄さんの遺作ミステリー『神様でも間違う』(インシデンツ)には、「キスミープリーズ」というカフェバーが登場する。警視庁文京署刑事の楠木将隆と建築デザイナーの箕島律子のカップルが好んで訪れ、語らう場所だ。例えば、以下のような描写がある。
《その日の夜、律子が、なじみのカフェバー「キスミープリーズ」のドアを開けると、「今日はやけに早いねぇ!」と、頭に赤いバンダナを巻いたマスターの仲和雄が、カウンターの内側から笑顔で迎えてくれた。仲は、矢沢永吉に傾倒する気さくなロック狂で、学部は違うが律子の大学時代の先輩でもある。それゆえにお世辞でも広いとはいえない店内に仲流の装飾が施されていた》
「キスミープリーズ」は大阪市北区に実在する。マスターの仲敏之さん(39歳)が2006年3月に店を開いた。7月6日、筆者が取材に訪れると、矢沢永吉のライブビデオが再生されており、常連客が「仲ちゃん」と声をかけていた。以下、仲さんとの一問一答(敬称略)。
――黒木さんが初めて来店したのは?
仲 3年ぐらい前。永ちゃんのファン同士で20年のつき合いがある平松(直哉)さん(『神様でも間違う』初版3000部限定で巻頭にとじ込まれている黒木さんのカラーポートレートを撮影した探偵)が連れてきた。
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筆者 -
寺澤有
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2012年 7月 12日(木曜日) 01:10 |
2011年6月に兵庫県警察本部組織犯罪対策課の常深洋蔵(つねみ・ようぞう)警部補から「あなたを捕まえるところだった(しかし、捕まえなかった)」と言われて以来、接待をくり返すこととなった明石市在住の建設業Yさん(41歳)。
同年12月24日、Yさんが常深警部補を神戸市兵庫区福原町の性風俗店で接待し、迎えに来たところを、関係者が撮影していた動画を入手したので、視聴しやすいよう編集して公開する(写真は動画より、左がYさん、右が常深警部補)。
常深警部補は性風俗接待に感極まったのか、店を出るなり、Yさんと熱い抱擁をかわした。
動画 性風俗接待刑事が感極まって業者と抱擁
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