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【社会】

規制委 問われる覚悟 原発容認 自民政権へ

 「2030年代に原発ゼロ」を目指した民主党から、原発容認の自民党に政権が移り、原発政策の見直しは避けられない情勢だ。再稼働や廃炉の命運を握る原子力規制委員会の田中俊一委員長は「(政治的な動きの)影響は受けない」と独立性を貫く姿勢を強調したが、推進側からの圧力も予想され、厳しい安全基準による規制を進められるのかが注目される。 (加賀大介)

 自民の出方を占うのが、国会同意がないまま、いわば「仮免許」状態の規制委人事への対応。早ければ新政権ができる特別国会で、事後承認の人事案が採決される見込みだ。

 九月の規制委発足当時、自民は民主政権が決めた田中氏ら委員五人の人選に賛同していた。採決が遅れたのは、野党だった自民の事情というより、人選をした民主党内の批判が強く、党内の混乱を避けるためだった。そうした経過を踏まえれば、自民が現状の人事を維持するのが自然な流れだ。

 だが、規制委の調査チームが日本原子力発電敦賀原発(福井県)で活断層の判断を示すなど、原発を推進してきた自民党が好まないような状況も生まれている。

 田中氏は十九日の記者会見で「国会の同意を得られるかを考えて仕事をしていない」と強調した。ただ、人事案がどうなるかはまだ分からない。

 来年七月には原発の新しい安全基準ができる。原発の運転期間も原則四十年に制限される。田中氏は基準がクリアできなければ再稼働は認めず、廃炉もやむなしの構えだ。

 ただ政権が原発推進寄りに変わることは確かで、電力業界や立地自治体からも、規制を甘くし、早期の再稼働などを求める声が強まる可能性が高い。

 衆院選で自民が大勝した翌日の十七日には早速、電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)が「(民主政権の)革新的エネルギー・環境戦略は、あまりにも課題が大きい」と、新政権に現実的なエネルギー政策への見直しを求めた。

 田中氏はこれまで、政治や経済の事情は考慮せず、科学的に安全性を追求する姿勢を強調してきた。この日も「姿勢は変えない。それがまずくて何か起これば甘受するので、崩すつもりはない」と明言した。その言葉通りにいくかどうか、規制委の覚悟が問われる。

 

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