イギリスという国はない


たとえば、わが国では、「イギリス」とか「イギリス人」という言葉をよく使用する。
この時、われわれの頭の中には「日本」とか「日本人」という概念に対応するものと
して、「イギリス」とか「イギリス人」という表現を理解している。


しかしイギリス(イングランドまたはイングリッシュ)とこの国または国籍をこのよ
うに呼んできたのは日本人の間だけである。
他の国では通用しない表現なのだ。

われわれが「英国」という範囲は、正式には「グレート・ブリテンおよび北アイルラ
ンド連合王国」略して連合王国(United Kingdom)と呼称される。すなわち、
連合王国UK
イングランド (England)白色
スコットランド (Scotland)青色
ウェールズ (Wales)赤色
北アイルランド (Northern Ireland)緑色
という四ヶ国の連合体である。この頭文字をとって、UKとして世界中で通用してい
る。



英国国旗(ユニオン・ジャック正式にはユニオン・フラッグ)は、
1603年イングランド(すでにウェールズを併合)とスコットランドの旗を組み合わせ、
1800年さらに北アイルランドの旗を組み入れたものである。


UNION JACK(UNION FLAG)




ENGLAND


SCOTLAND


IRELAND


WALES


四ヶ国のうち、北アイルランドを除いた、イングランド、スコットランド、ウェール
ズの三国は大ブリテン島にあるところから、総称してグレート・ブリテン
(Great Britain)通称GBという。


英国人と総称したい時には、「イングリッシュ(English)」よりも「ブリティシュ
(British)」の方がよい。
しかし、「ブリティシュ」というときには、アイルランド人は入らない。民族を書
き入れてみると、「複雑であること」が分かってくる。
ブリティシュ(British)-  イングランド人(English)- アングロサクソン民族
ブリティシュ(British) - スコットランド人(Scottish)  - ケルト民族
ブリティシュ(British) - ウェールズ人 (Welsh)    - ケルト民族
アイリッシュ (Irish) -  アイルランド人 (Irish)  -   ケルト民族

英国人というつもりで、Englishと発音することに慣れ過ぎているが、Englishはあく
までも「イングランド人」なのである。「English」が、連合王国(つまり日本人が
連想する英国)の人々を総称することは絶対にない。


日本の学校で、もう少しBritishとかUnited Kingdomといった表現や概念を教えてお
いた方が良いように思う。



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