ドイツ:再生エネ普及で電気代高騰、戸惑う国民 野党批判、首相「想定外」と釈明

毎日新聞 2012年12月22日 東京朝刊

 【ベルリン篠田航一】風力や太陽光発電など再生可能エネルギーの普及で電気料金高騰が問題になっているドイツで、来年秋の総選挙(連邦議会選)をにらみ、電気料金を巡る与野党の対立が激化している。来年から消費者が料金に上乗せして支払う「賦課金」が1・5倍に上がり、標準世帯の年間電気代は平均1000ユーロ(約11万円)に上る見通し。脱原発の「必要経費」として国民負担が増大する現状を巡り、国民の間にも不満が広がっている。

 送電大手4社は10月、来年の賦課金額を従来の1キロワット時あたり3・6セント(約4円)から5・3セント(約5・9円)に引き上げると発表した。DPA通信によると、年間3500キロワット時を消費する標準世帯の電気代は税金などを含め現在の年平均900ユーロ(約10万円)から1000ユーロに増えるという。

 22年までの「脱原発」を決めたドイツは再生エネ普及を目指し、太陽光などで発電した電気を電力事業者が固定価格で買い取る制度を00年に導入。一般家庭などで発電パネルの取り付けが進んだが、買い取る事業者側の負担は賦課金として電気料金に上乗せされるため、結局は消費者の負担も増え、批判が出ていた。

 政府は電気料金抑制のため、今年に入り太陽光発電の買い取り価格を引き下げたが、00年に1世帯平均で月額41ユーロだった電気代は既に75ユーロまで上昇。10年には西部ノルトライン・ウェストファーレン州で電気代を払えない低所得者層など12万世帯が一時、電気を止められる事態になるなど庶民生活を圧迫している。

 こうした事態について、メルケル首相は「これほどの高騰は想定外だった」と釈明している。ただ、政府は、大量に電気を使う鉄鋼・化学業界など約700社の賦課金を割り引く優遇措置を優先。来年はさらに「ドイツ企業の国際競争力維持のため」(メルケル首相)として対象企業を約2000社に拡大する方針だ。

 これに対し、野党・緑の党のロート代表は「一般家庭は苦しんでいるのに、メルケル政権は大企業ばかり優遇している」などとして批判のトーンを強めており、来年の総選挙の争点にして攻勢を強める構えだ。

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