2008年04月11日
『日本の衛星が故障多発で総点検へ!原因は機械じゃなくて政治だった!(原因は日米衛星調達合意)』中野不二男さん
今日は『日本の衛星が故障多発で総点検をする』というニュースについて。
今朝の読売新聞がトップで伝えているニュースです。
日本の衛星に故障が多発するという異常事態を受けて、全ての衛星を総点検することになりました。現在日本が運用している衛星は16。
過去4ヶ月の間に故障が確認されたのは5基。およそ3分の1の衛星が何らかの故障を抱えていることになります。
技術力が売りのはずの日本に何がおきているのか。どうしてこんなに故障が多いのか。
きょうは、科学ジャーナリストの中野不二男さんにお話をうかがいます。
ニュース記事:日本の衛星、故障多発で宇宙機構が総点検へ
中野不二男
さん:
小西克哉さん:故障は多いと考えていいですか。
多いでしょうね。アメリカとかも制御できない偵察衛星をミサイルで撃ち落しましたよね。そういうことはあるとは思いますが、日本の技術はそう低くはないんですが、故障は起きていますね。
小西:アメリカとかヨーロッパは故障の数をあげているんですか。
出してはいますが、メディアが伝えていないのもありますね。ただ、問題はそういうところではないと思います。技術水準が上がりにくいところがあります。
政治が大きいです。
詳しく言うと、1989年くらいからのスーパー301条という問題。あれで日米衛星調達合意とかありまして、日本は単品衛星、一発勝負の完成品を作らざるを得なくなった。要するに量産品を作ってはいけないと言うことではないんですが、量産の場合は商品になるので衛星市場を開放して調達しなければいけないとせりに掛けるわけですね。どこのメーカーを選ぶかを。そうすると、アメリカのほうがはるかに衛星を量産化していますから技術が高い。量産化しているので衛星の性能も安定していて安いと。我々はロバスト性が高いと言うんですが。そういうのを日本は買わざるを得なくなってくるということです。
小西:つまり、日本は日本の衛星を上げるときに日本のメーカーが衛星を作る。作って勝手に上げていいというわけではないのですね。
そうではないんです。実用、量産は市場開放してメーカーを募らないといけない。
小西:日本の宇宙開発機構が上げようと思っても、日本のメーカーが作ってくれよとは言えないわけですか。
そうですね。
小西:つまり、市場から買わなくてはいけないと。
そういうことです。
小西:アメリカの衛星マーケットが品質が良くて安いと。
すなわち、アメリカ製。
小西:アメリカ製を買えということに等しいと。
そうですね。結果的に日本で出来るのは技術試験衛星の一品物、単品物だけで。そればかりだと量産ではないので丈夫に出来ない。とにかく一回作ればいいというものしか出来ない。量産品は作るほど安くなりますから、丈夫にして金がかかっても量産効果で安くなるからどんどんロバスト性が高くなると丈夫になる。丈夫さ、頑丈さ。日本は単品物ですからそれが足りない。足りない上にお金がないので、一機の衛星にいろんな機能を詰め込んでしまう。そうするときゃしゃになってくる。
小西:諸悪の根源は1989年の日米衛星調達合意。これを日米で取り決めてしまったために日本が自分の首を絞めてしまう。
それはかなり大きい部分を占めてしまっている。それを政治家が未だに理解してくれていないことですね。
小西:今日の読売新聞の記事は衛星総点検ということはわかるんですが、最後のほうに多発する故障の原因との因果関係は今のところわかっていないと。つまり、原因は謎です、藪の中という言い方で。
単純に言いますと、技術試験衛星だと旧科学技術省、文部科学省管轄ですよね。もし量産で実用するならば経済産業省とか新たに作られる宇宙開発戦略本部になるべきなんですね。要するに産業に向けてトータルにやらなくてはいけない。ところが、今は文科省管轄ですから、科学技術という形になってしまいますね。
小西:どうも文科省では弱いんですね。
そうですね。一品一品芸術品を作るのではなくて、本当に量産に持ち込んでコストを削減してロバスト性を高い安定したものとなったら産業のほうにいかないといけないですね。
小西:日米衛星調達合意を政治力で改正しないとどうしようもないですね。
あるいは、日本側が技術をつけて市場開放しても大丈夫なように突破していくか。技術を上げるよりほかはないから。事実上は難しい。
小西:中国とかは有人飛行をやっていますし、EUも衛星を上げていますね。アメリカとヨーロッパの間、アメリカと中国の間には調達合意は。
ないですね。自国でどんどんやっていますね。
小西:何で日本だけ足かせを作ってしまったんですか。
日本は1989年当時はジャパンバッシングがありましたよね。あの時に人工衛星と、スーパーコンピューターと木材が人身御供うにあげられたんですね。これの市場開放をしないとほかに圧力をかけるぞと。それで政治家は飲んじゃったんですね。木材はその直後から2×4材とかどんどん入ってきて日本の林業が駄目になってしまいましたね。全く同じパターンだと思います。
小西:木材と衛星産業とスパコンと。なるほど。
当時、衛星が産業になりうるとは政治家が理解できていなかったわけですね。
小西:先見性のない政治家ばっかりなんですね。読売新聞もそこんところまでね書いてもらわないと。日本はいい加減だぞと言っているだけだもんね。
そこが一番の問題で、それが僕もよく書くんですがボディブローのように効いてきている。
小西:それでないと物の本質がわからないですね。
日本の衛星総点検というニュースには実は日本の政治があったということですね。
(2008年04月11日TBSラジオ「ストリーム」
より)
今朝の読売新聞がトップで伝えているニュースです。
日本の衛星に故障が多発するという異常事態を受けて、全ての衛星を総点検することになりました。現在日本が運用している衛星は16。
過去4ヶ月の間に故障が確認されたのは5基。およそ3分の1の衛星が何らかの故障を抱えていることになります。
技術力が売りのはずの日本に何がおきているのか。どうしてこんなに故障が多いのか。
きょうは、科学ジャーナリストの中野不二男さんにお話をうかがいます。
ニュース記事:日本の衛星、故障多発で宇宙機構が総点検へ
中野不二男
小西克哉さん:故障は多いと考えていいですか。
多いでしょうね。アメリカとかも制御できない偵察衛星をミサイルで撃ち落しましたよね。そういうことはあるとは思いますが、日本の技術はそう低くはないんですが、故障は起きていますね。
小西:アメリカとかヨーロッパは故障の数をあげているんですか。
出してはいますが、メディアが伝えていないのもありますね。ただ、問題はそういうところではないと思います。技術水準が上がりにくいところがあります。
政治が大きいです。
詳しく言うと、1989年くらいからのスーパー301条という問題。あれで日米衛星調達合意とかありまして、日本は単品衛星、一発勝負の完成品を作らざるを得なくなった。要するに量産品を作ってはいけないと言うことではないんですが、量産の場合は商品になるので衛星市場を開放して調達しなければいけないとせりに掛けるわけですね。どこのメーカーを選ぶかを。そうすると、アメリカのほうがはるかに衛星を量産化していますから技術が高い。量産化しているので衛星の性能も安定していて安いと。我々はロバスト性が高いと言うんですが。そういうのを日本は買わざるを得なくなってくるということです。
小西:つまり、日本は日本の衛星を上げるときに日本のメーカーが衛星を作る。作って勝手に上げていいというわけではないのですね。
そうではないんです。実用、量産は市場開放してメーカーを募らないといけない。
小西:日本の宇宙開発機構が上げようと思っても、日本のメーカーが作ってくれよとは言えないわけですか。
そうですね。
小西:つまり、市場から買わなくてはいけないと。
そういうことです。
小西:アメリカの衛星マーケットが品質が良くて安いと。
すなわち、アメリカ製。
小西:アメリカ製を買えということに等しいと。
そうですね。結果的に日本で出来るのは技術試験衛星の一品物、単品物だけで。そればかりだと量産ではないので丈夫に出来ない。とにかく一回作ればいいというものしか出来ない。量産品は作るほど安くなりますから、丈夫にして金がかかっても量産効果で安くなるからどんどんロバスト性が高くなると丈夫になる。丈夫さ、頑丈さ。日本は単品物ですからそれが足りない。足りない上にお金がないので、一機の衛星にいろんな機能を詰め込んでしまう。そうするときゃしゃになってくる。
小西:諸悪の根源は1989年の日米衛星調達合意。これを日米で取り決めてしまったために日本が自分の首を絞めてしまう。
それはかなり大きい部分を占めてしまっている。それを政治家が未だに理解してくれていないことですね。
小西:今日の読売新聞の記事は衛星総点検ということはわかるんですが、最後のほうに多発する故障の原因との因果関係は今のところわかっていないと。つまり、原因は謎です、藪の中という言い方で。
単純に言いますと、技術試験衛星だと旧科学技術省、文部科学省管轄ですよね。もし量産で実用するならば経済産業省とか新たに作られる宇宙開発戦略本部になるべきなんですね。要するに産業に向けてトータルにやらなくてはいけない。ところが、今は文科省管轄ですから、科学技術という形になってしまいますね。
小西:どうも文科省では弱いんですね。
そうですね。一品一品芸術品を作るのではなくて、本当に量産に持ち込んでコストを削減してロバスト性を高い安定したものとなったら産業のほうにいかないといけないですね。
小西:日米衛星調達合意を政治力で改正しないとどうしようもないですね。
あるいは、日本側が技術をつけて市場開放しても大丈夫なように突破していくか。技術を上げるよりほかはないから。事実上は難しい。
小西:中国とかは有人飛行をやっていますし、EUも衛星を上げていますね。アメリカとヨーロッパの間、アメリカと中国の間には調達合意は。
ないですね。自国でどんどんやっていますね。
小西:何で日本だけ足かせを作ってしまったんですか。
日本は1989年当時はジャパンバッシングがありましたよね。あの時に人工衛星と、スーパーコンピューターと木材が人身御供うにあげられたんですね。これの市場開放をしないとほかに圧力をかけるぞと。それで政治家は飲んじゃったんですね。木材はその直後から2×4材とかどんどん入ってきて日本の林業が駄目になってしまいましたね。全く同じパターンだと思います。
小西:木材と衛星産業とスパコンと。なるほど。
当時、衛星が産業になりうるとは政治家が理解できていなかったわけですね。
小西:先見性のない政治家ばっかりなんですね。読売新聞もそこんところまでね書いてもらわないと。日本はいい加減だぞと言っているだけだもんね。
そこが一番の問題で、それが僕もよく書くんですがボディブローのように効いてきている。
小西:それでないと物の本質がわからないですね。
日本の衛星総点検というニュースには実は日本の政治があったということですね。
(2008年04月11日TBSラジオ「ストリーム」