性的暴行事件で逮捕され、今月20日に京畿道高陽市の一山警察署から脱走したノ・ヨンデ容疑者(32)が、脱走から5日後、同道安山警察署に検挙された。ノ容疑者は逃走中も、両手に掛けられた手錠を外せなかったことが分かった。脱走したノ容疑者は、刑務所で知り合った元受刑者らにかくまわれたり、食事を提供されたりしながら警察の追跡をかわし、髪を剃ったり、衣服をたびたび取り替えたりしながら逃走を続けていた。
■検挙時に激しく抵抗
警察は25日午後4時25分ごろ、安山市檀園区古桟洞のオフィステル(住居兼事務室)に突入し、ノ容疑者を逮捕した。このオフィステルは、ノ容疑者が刑務所で知り合った男が提供したもので、21日にノ容疑者が宿泊したモーテルから150メートルほど離れていた。警察は、今月17日にノ容疑者を逮捕したとき、オフィステルを提供した男と親しくしていたとの情報を入手し、注目していた。24日午後からオフィステルの近くで張り込みを続け、中に人がいることを確認して、窓から突入した。
ノ容疑者は警察官たちに激しく抵抗し、もみ合いの末に逮捕された。このとき、頭や顔の数カ所にけがを負った。また、指名手配のチラシとは異なり、濃い青のジャンパーに紺色のトレーニングパンツといういでたちで、髪は剃っていた。警察はノ容疑者を一山警察署に移送し、脱走の経緯や逃亡の過程、余罪の有無などについて調べを進めている。
■脱走後の逃走経路は
ノ容疑者は今月20日午後7時40分ごろ、一山署1階にあるビデオカメラ付きの取調室で取り調べを受けた後、地下1階の強行班に移動していたとき、警察官による監視の隙を突いて、スリッパを脱ぎ、裸足で高さ1.8メートルの塀を乗り越え、8車線の道路を横切って脱走した。その後、警察の包囲網をくぐり抜け、高陽市外に出て、安山市や仁川市など首都圏西部一帯で逃走を続け、追跡をかわしていた。
脱走翌日の21日午前11時、ノ容疑者は安山市檀園区古桟洞のモーテルに入り、12時間近く滞在した。これに先立ち、刑務所で知り合った仁川市在住の男と連絡を取り、安山市内で会って、逃亡のための資金として20万ウォン(約1万6000円)を受け取った、と警察は説明した。この金でモーテルの料金6万ウォン(約4800円)を支払い、近くの大型スーパーで登山靴を購入した。
ノ容疑者が再び姿を現したのは、2日後の23日だった。この日午後6時10分と同41分、ノ容疑者は仁川市南区朱安洞の公衆電話で、21日に会った男と連絡を取った。同53分には、タクシーを乗り換える様子が監視カメラに捉えられたが、その後行方をくらました。
■警察のミスで5日間恐怖におびえた市民
警察は初動捜査で不手際を見せた。ノ容疑者は警察署から脱走した直後、両手に手錠をはめ、裸足だった上、金もなかったため、そう遠くまで逃げることはできないと判断した。このため、警察署の周辺で集中的に捜索を行ったが、ノ容疑者を早期に検挙することはできなかった。
前科9犯のノ容疑者は今月11日、高陽市一山東区のマンションで姉妹に対し性的暴行を加えた疑いが持たれている。このとき、ノ容疑者はエアコンの室外機を伝って1階から6階まで上がり、ベランダから侵入するなど、機敏な動きを見せていた。