井浦新さんインタビュー

井浦さんはこれまで、崇徳上皇とは真逆のエキセントリックな役が多かったのではないですか?

実はエキセントリックな役柄の方がやりやすいんです。ふり幅がこう(手でジェスチャーを交え)ポンと振り切った方が演じ易いというか…お芝居って振り切れるものなら振り切った方が、勢いと感情とでできることもあるかと思います。

むしろ、その真ん中でずっといるほうが凄く難しいな…と思います。今の崇徳院はそういう役です。常に心のバロメーターみたいなものが、小刻みに真ん中で揺れているような状態なので、そういうお芝居は最近少なかったので新鮮な感覚で向き合っています。

以前ドラマをご一緒された方から、井浦さんは「とても器用な役者さん」だと伺ったことがあるのですが…。

(笑)そんなこと初めて言われました。器用だなんて。凄くうれしいですね。
でも、全くもってそんな器用さなんて1ミリも持ち合わせていないです。好きだから演じられるのだと思います。
好きじゃない事とか、興味がもてなかったりすると何もできないですから。

「好き」という感情を「演技」につなげているのが凄いですね。

そこが面白い所なのかもしれないですね、役者の。

先日歌を詠むシーンがあったのですが、その時も先生から教わったことだけではなく、一人の人間が崇徳院の想いをのせて歌ったらどういう歌い方になるのか?と考えながら演じました。

満足できる演技は、本番の“その瞬間”に抱いた気持ちで生まれるものだったりします。どんなに練習していても、本番で気持ちが乗っていないと駄目で、見た目に上手く演じても、自分の気持ちとしては許されないっていうものなんです。この歌のシーンはとても楽しかったです。

「井浦さんが本当に歌っているのかな?」と思った視聴者の方もいるかもしれませんが、紛れもなく井浦さんの考え抜かれた歌声だったんです!今後も平安時代の上皇を器用に演じる井浦新さんにご期待下さい。

次回のインタビューは第11回「もののけの涙」で、父親としての崇徳上皇の気持ちを伺います。

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