さくら荘のペットな彼女4
さくら荘のペットな彼女(4) (電撃文庫) (2010/12/10) 著:鴨志田 一 イラスト:溝口ケージ 商品詳細を見る |
総合評価:B
今回は文化祭からクリスマスまでのさくら荘の面子を追った話で学生らしい話が多く良かった。
内容は、第一話が文化祭でのゲーム『銀河猫にゃぼろん』公開、第二話はましろとの文化祭巡り、第三話は美咲の恋とましろとの対立、第四話はクリスマスとなっていた。
第一話は前回の空港での告白で空太は悶々としながらも『銀河猫にゃぼろん』を制作する。これに関して特に言う事はない。今まで張ってきた伏線を出したにすぎない。まぁ、物作りに掛ける情熱は感じられたと思う。
第二話はさくら荘の恋模様を描いた話となっていた。もちろん話の中心はましろとの愉快ドキドキ文化祭デートだったが、龍之介とリタ(リタのこと結構好きなんだよねぇ)、千尋と2巻登場のゲームクリエーターの藤沢和希、仁と美咲と美咲の姉の風香、七海と友人の宮原大地、そして空太とましろ。そんな複雑な恋が絡み合い描き出された話は痛くも中々良かったと思う。千尋と和希は空太とましろを投影するように書かれているのがこれまた切ないね。藤沢和希の自分の底から湧き上がる衝動を基に諦めず進むしかないという話はクリエーター全てに当てはまることだよなぁ。
第三話は個人的に印象が薄いが、美咲の仁へのアタックの本格化とましろの恋の目覚めによる料理、それによって生まれた空太とましろの新たなる確執であった。自分が不調だとどうしても些細なことが気になってしまうよな。途中出てきた妹はいいキャラしているなぁ、正式に出てこないかなぁ(でも、皆帰省させるって先生が言ってるから出てくるかな。期待)。
第四話はクリスマスのそれぞれの恋であった。七海とのクリスマスデートにましろとの仲直り、そして美咲の恋の破綻状態で今巻は幕を閉じた。千尋の人生観はありきたりかもその通りなんだよな、人生は死ぬまで続いてくし、社会は甘くない、厳しいねぇ。でも、仲直りしようとバームクーヘンを置いていくましろんは可愛いな。あと、どうしても七海を応援したくなってしまう。この巻の三話の仁が言っていた(P195)、失敗からじゃなくて成功から学ぶしかないというのは心に突き刺さったし、個人的にとても印象的であった。
それぞれが恋に気付き動き始めてきたといえる。この作者は恋、特に特殊なやつを描くの上手いと思うんだよな。実際にはないと思えるところが、逆にリアルに感じてしまうという感じで。今回は悩みなども共感も呼び、学生らしく良かったですね。
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