中国の空母建造計画でに注目を集め始めた空母。
冷戦終結から20年。今世界では空母建艦競争が再燃し経済成長を遂げる中国、インド、アメリカをはじめ先進国各国も新型空母建造計画が進行中です。現在のところ航空母艦もしくは飛行甲板をもった揚陸艦を所有するのは9ヶ国(アメリカ・イギリス・イタリア・インド・スペイン・タイ・フランス・ブラジル・ロシア)となっています。空母と言っても、大きさと能力からいくつかの種類に分けられており、正規空母、軽空母・ヘリ空母・強襲揚陸艦等があり今回は国ごとに保有する空母を調べてみました。
冷戦終結から20年。今世界では空母建艦競争が再燃し経済成長を遂げる中国、インド、アメリカをはじめ先進国各国も新型空母建造計画が進行中です。現在のところ航空母艦もしくは飛行甲板をもった揚陸艦を所有するのは9ヶ国(アメリカ・イギリス・イタリア・インド・スペイン・タイ・フランス・ブラジル・ロシア)となっています。空母と言っても、大きさと能力からいくつかの種類に分けられており、正規空母、軽空母・ヘリ空母・強襲揚陸艦等があり今回は国ごとに保有する空母を調べてみました。
見た目だけで空母とまとめるには無理があると思いますが、国によっては強襲揚陸艦が軽空母も兼ねている場合もあるので今回は全通甲板構造を採用している強襲揚陸艦、ヘリ空母も勘算しています。
■アメリカ
世界最大の海軍力を誇るアメリカは他国を圧倒する空母を保有しています。正規空母11隻は全て原子力空母で米海軍の象徴的な存在となっています。ニミッツ級の後継艦としてジェラルド・R・フォード級航空母艦、ワスプ級の後継艦にアメリカ級強襲揚陸艦が建造中です。
■イギリス
イギリス海軍は現在インヴィンシブル級航空母艦の後継としてクイーン・エリザベス級航空母艦を建造中です。インヴィンシブル級は退役が進んでおり1番艦と3番艦がオークションに出品され話題になりました。
■フランス
フランス海軍が保有する空母シャルル・ド・ゴールはアメリカ海軍以外では唯一の原子力空母です。現在イギリスと共同で新型空母計画が進行中。前級であるクレマンソー級フォッシュは退役後ブラジル海軍に売却されサン・パウロと改名され現在も運用中です。※フランス海軍ではウラガン級、フードル級揚陸艦をそれぞれ2艦保有していますが、いずれもドック型揚陸艦の為今回は排除しています。
■ロシア
ロシア海軍では2020年までに原子力を動力とした新型航空母艦の建造を予定しています。またフランスからミストラル級強襲揚陸艦を購入するとの話もあり、近年海軍増強に力を入れているようです。中国海軍により空母建造計画の一環として整備されているのはクズネツォフ級2番艦ワァリャーグでソ連崩壊後建造元であったウクライナから中国に売却され現在にいたります。
■イタリア
イタリア海軍の軽空母は揚陸艦任務も重視してウェルドックを設置し強襲揚陸艦に近いものとして構想されています。他にサン・ジョルジョ級強襲揚陸艦を保有し艦自体全通甲板を持ちますがヘリコプターの大規模運用能力は無く、NATOではドック型揚陸艦に分類されているので今回は排除しています。
■スペイン
スペインが保有する空母プリンシペ・デ・アストゥリアスは1970年代にアメリカ海軍が研究していた制海艦をベースにして共同開発で建造されました。基となった制海艦は脅威の限定された状況下に高い機動性で制海権を確保することを目的とした艦種でアメリカでは強襲揚陸艦の基になっています。
■ブラジル
元はフランス海軍の退役したクレマンソー級2番艦空母フォッシュで1200万USドルでブラジルに売却されサン・パウロに改名、現在にいたります。前任空母であった同じく中古空母のミナス・ジェライスに比べればはるかに状態は良かったらしく当面の間ブラジル海軍の旗艦を務める予定。
■インド
ヴィラートはイギリス海軍の退役したセントー級航空母艦「ハーミーズ」を購入し、改装したものです。現在インドでは老朽化が著しいヴィラートに代わる空母を取得中でロシアから中古のアドミラル・ゴルシコフを取得し改装、ヴィクラマーディティヤとして就航させる予定ですが改装費用の増大や工期の遅れ等、予定を大幅に過ぎており政治的な問題に発展しています。他に国産空母建造計画も進行中でイタリアの協力のもと排水量37,500tの大型空母を建造しており計3隻が予定されています。
■タイ
チャクリ・ナルエベトはプリンシペ・デ・アストゥリアスを建造したスペインのバサン造船所の設計建造されました。航空支援、他的経済水域の監視等の任務よりも主としては海難救助や災害支援プラットフォームとしての運用構想が強く2004年のスマトラ沖地震において被災地の救援活動に参加するなど、災害時の救難活動に用いられているようです。
■日本
正確には空母ではなくヘリコプター搭載護衛艦であり、設計時点で固定翼V/STOL機の運用は考慮されていません。海上自衛隊の艦船としては初めて、設計段階から女性自衛官の居住スペースが確保された艦でもあります。次級としてヘリコプターの同時発着艦可能数が5機、艦載数が14機とヘリコプター運用能力の向上が図られる19500トン型護衛艦が計画中です。
■韓国
独島級揚陸艦は北朝鮮に対する軍備としては過大な装備であるのと地理的にも北朝鮮には最も遠い済州島に配備しているので対北朝鮮用というより対中国、日本用と考えられています。日本の護衛艦と違い軽空母に改造することができるように作られています。
■中国
中国は過去にオーストラリア(メルボルン)、ウクライナ(ヴァリャーグ)、ロシア(キエフ)の、中古ないし建造途中の航空母艦を計3隻購入し徹底的に分解調査しており、それを基に2015年までに5~6万t級通常推進型空母2隻、2020年までに6~7万t級原子力空母2隻を完成させることを目指していると思われます。また強襲揚陸艦にも力を入れており新型艦艇を建造中との話もあります。
整備や訓練などを考えると、常時1隻以上を稼動状態にするには最低3隻程度は必要で、そうなると空母をまともに運用できているのはアメリカのみとなります。ただ中国は10年以内に新型空母を3艦建造するつもりなので実現すればアメリカに次ぐ巨大な艦隊を持つことになり、常時空母を展開できるため今後日本に与える影響は計り知れません。
■アメリカ
正規空母 | 11 |
強襲揚陸艦 | 13 |
保有艦級 | ニミッツ級航空母艦×10、ワスプ級強襲揚陸艦×8、タラワ級強襲揚陸艦×5、エンタープライズ級原子力空母×1 |
搭載機 | (ニミッツ級、エンタープライズ級)F/A-18A-D・E/F、A-6、E-2、EA-6B、S-3、C-2、SH-60 (スワプ級)AV-8B、CH-46、CH-53E、AH-1W、UH-1N、MH-60S (タラワ級)AV-8B、AH-1W、CH-46、CH-53、UH-1N |
世界最大の海軍力を誇るアメリカは他国を圧倒する空母を保有しています。正規空母11隻は全て原子力空母で米海軍の象徴的な存在となっています。ニミッツ級の後継艦としてジェラルド・R・フォード級航空母艦、ワスプ級の後継艦にアメリカ級強襲揚陸艦が建造中です。
■イギリス
軽空母 | 1 |
ヘリコプター揚陸艦 | 1 |
保有艦級 | インヴィンシブル級航空母艦×1、オーシャン級ヘリコプター揚陸艦×1 |
搭載機 | (インヴィンシブル級航空母艦)シーハリアー、ハリアー GR.7/9、HAS.シーキング、マーリン HC.1 (オーシャン級)ヘリコプター最大18機、VTOL機最大15機輸送可能(運用不可) |
イギリス海軍は現在インヴィンシブル級航空母艦の後継としてクイーン・エリザベス級航空母艦を建造中です。インヴィンシブル級は退役が進んでおり1番艦と3番艦がオークションに出品され話題になりました。
■フランス
正規空母 | 1 |
強襲揚陸艦※ | 2 |
保有艦級 | シャルル・ド・ゴール級×1、ミストラル級強襲揚陸艦×2 |
搭載機 | (シャルル・ド・ゴール級)ラファールM、シュペルエタンダール、E-2C、シュペル・フルロン、AS565パンサー、NFH90 (ミストラル級)NH90、SA330、AS532U2、AS665 |
フランス海軍が保有する空母シャルル・ド・ゴールはアメリカ海軍以外では唯一の原子力空母です。現在イギリスと共同で新型空母計画が進行中。前級であるクレマンソー級フォッシュは退役後ブラジル海軍に売却されサン・パウロと改名され現在も運用中です。※フランス海軍ではウラガン級、フードル級揚陸艦をそれぞれ2艦保有していますが、いずれもドック型揚陸艦の為今回は排除しています。
■ロシア
正規空母 | 1 |
保有艦級 | アドミラル・クズネツォフ級×1 |
搭載機 | (アドミラル・クズネツォフ級)Su-33、Su-25UTG、Ka-27PL・PS、Ka-31 |
ロシア海軍では2020年までに原子力を動力とした新型航空母艦の建造を予定しています。またフランスからミストラル級強襲揚陸艦を購入するとの話もあり、近年海軍増強に力を入れているようです。中国海軍により空母建造計画の一環として整備されているのはクズネツォフ級2番艦ワァリャーグでソ連崩壊後建造元であったウクライナから中国に売却され現在にいたります。
■イタリア
軽空母 | 2 |
保有艦級 | カヴール級×1、ジュゼッペ・ガリバルディ級×1 |
搭載機 | (カヴール級)AV-8B、EH 101、NH90、SH-3D (ジュゼッペ・ガリバルディ級)AV-8B、ハリアーII+、SH-3D |
イタリア海軍の軽空母は揚陸艦任務も重視してウェルドックを設置し強襲揚陸艦に近いものとして構想されています。他にサン・ジョルジョ級強襲揚陸艦を保有し艦自体全通甲板を持ちますがヘリコプターの大規模運用能力は無く、NATOではドック型揚陸艦に分類されているので今回は排除しています。
■スペイン
軽空母 | 1 |
強襲揚陸艦 | 1 |
保有艦級 | プリンシペ・デ・アストゥリアス級×1、レイ・ファン・カルロス1世級強襲揚陸艦×1 |
搭載機 | (プリンシペ・デ・アストゥリアス級)AV-8BハリアーIIプラス、SH-3、AB212 (レイ・ファン・カルロス1世級)F-35、AV-8BハリアーIIプラス、CH-47, NH90, SH-3D, AB212 |
スペインが保有する空母プリンシペ・デ・アストゥリアスは1970年代にアメリカ海軍が研究していた制海艦をベースにして共同開発で建造されました。基となった制海艦は脅威の限定された状況下に高い機動性で制海権を確保することを目的とした艦種でアメリカでは強襲揚陸艦の基になっています。
■ブラジル
正規空母 | 1 |
保有艦級 | クレマンソー級×1 |
搭載機 | (クレマンソー級)AF-1(A-4)SH-3、UH-13、UH-14 |
元はフランス海軍の退役したクレマンソー級2番艦空母フォッシュで1200万USドルでブラジルに売却されサン・パウロに改名、現在にいたります。前任空母であった同じく中古空母のミナス・ジェライスに比べればはるかに状態は良かったらしく当面の間ブラジル海軍の旗艦を務める予定。
■インド
軽空母 | 1 |
保有艦級 | セントー級(改装型)×1 |
搭載機 | (セントー級(改装型))シーハリアー、Ka-31、Ka-28、SH-3 |
ヴィラートはイギリス海軍の退役したセントー級航空母艦「ハーミーズ」を購入し、改装したものです。現在インドでは老朽化が著しいヴィラートに代わる空母を取得中でロシアから中古のアドミラル・ゴルシコフを取得し改装、ヴィクラマーディティヤとして就航させる予定ですが改装費用の増大や工期の遅れ等、予定を大幅に過ぎており政治的な問題に発展しています。他に国産空母建造計画も進行中でイタリアの協力のもと排水量37,500tの大型空母を建造しており計3隻が予定されています。
■タイ
軽空母 | 1 |
保有艦級 | チャクリ・ナルエベト級×1 |
搭載機 | (チャクリ・ナルエベト級)AV-8S、S-70B7 |
チャクリ・ナルエベトはプリンシペ・デ・アストゥリアスを建造したスペインのバサン造船所の設計建造されました。航空支援、他的経済水域の監視等の任務よりも主としては海難救助や災害支援プラットフォームとしての運用構想が強く2004年のスマトラ沖地震において被災地の救援活動に参加するなど、災害時の救難活動に用いられているようです。
■日本
ヘリコプター搭載護衛艦 | 2 |
保有艦級 | ひゅうが型護衛艦×2(1隻艤装中2011年就航) |
搭載機 | (ひゅうが型護衛艦)SH-60K、MCH-101 |
正確には空母ではなくヘリコプター搭載護衛艦であり、設計時点で固定翼V/STOL機の運用は考慮されていません。海上自衛隊の艦船としては初めて、設計段階から女性自衛官の居住スペースが確保された艦でもあります。次級としてヘリコプターの同時発着艦可能数が5機、艦載数が14機とヘリコプター運用能力の向上が図られる19500トン型護衛艦が計画中です。
■韓国
強襲揚陸艦 | 1 |
保有艦級 | 独島級揚陸艦×1 |
搭載機 | (独島級揚陸艦)UH-60 |
■中国
正規空母 | ?(原子力空母) |
軽空母 | ? |
強襲揚陸艦 | ? |
保有艦級 | ? |
搭載機 | ? |
中国は過去にオーストラリア(メルボルン)、ウクライナ(ヴァリャーグ)、ロシア(キエフ)の、中古ないし建造途中の航空母艦を計3隻購入し徹底的に分解調査しており、それを基に2015年までに5~6万t級通常推進型空母2隻、2020年までに6~7万t級原子力空母2隻を完成させることを目指していると思われます。また強襲揚陸艦にも力を入れており新型艦艇を建造中との話もあります。
整備や訓練などを考えると、常時1隻以上を稼動状態にするには最低3隻程度は必要で、そうなると空母をまともに運用できているのはアメリカのみとなります。ただ中国は10年以内に新型空母を3艦建造するつもりなので実現すればアメリカに次ぐ巨大な艦隊を持つことになり、常時空母を展開できるため今後日本に与える影響は計り知れません。
知られざる空母の秘密 海と空に展開する海上基地の舞台裏に迫る (サイエンス・アイ新書) 柿谷 哲也 by G-Tools |