イラク査察の正式報告要旨
【ニューヨーク27日共同】イラクの大量破壊兵器問題で、ブリクス国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)委員長とエルバラダイ国際原子力機関(IAEA)事務局長の正式報告の要旨は次の通り。
▽ブリクス委員長
一、イラクの協力は積極的なものではなかった。本当の意味で国連決議を受け入れたわけではない。
一、イラクは施設立ち入りの保証では協力した。だが実質面に関しても協力が必要だ。
一、イラクは、U2偵察機による上空査察が安全性に問題があるとして拒否した。
一、イラクは国連ヘリコプターによる飛行禁止区域の査察を拒否した。
一、イラクが12月7日に提出した大量破壊兵器開発に関する申告書は以前の申告書の蒸し返しであり、疑問は一切解消されていない。
一、神経ガスVXの開発に成功したとの情報を査察団は得ている。
一、イラクの申告書は6500個の化学兵器について少なく報告している。
一、16の空の弾頭が発見された。
一、8500リットルの化学兵器を製造、91年に破壊したと言ってきたが、イラクは何の説明もしていない。さらに炭疽(たんそ)菌を製造した可能性がある。
一、450キロのバクテリアについても十分な報告がない。
一、射程150キロ以上のミサイルがつくられたことは明らかだ。
一、査察で科学者の自宅から、ウラニウムの濃縮に関する3000ページにわたる文書が見つかった。
一、イラク人科学者はイラク当局が望まない限り、査察官に話さない態度を取っている。
一、査察官は260人にまで増えており、査察能力は迅速に拡大している。
一、イラクでの査察はこれまで230カ所で実施し、うち20カ所は以前に査察されていない場所だった。
一、査察はまだ進行中だ。
▽エルバラダイ事務局長
一、1991年から98年までの査察で、イラクの核兵器開発をほぼ無効にすることができたとの結論に達した。
一、査察の第1目標は予備調査。2カ月を越える査察で前進がみられた。
一、イラクが提出した申告書の内容と、IAEAが98年までに把握していることの多くとは一致している。
一、しかし、新しい情報はない。特に、湾岸戦争前の核物質の遠心分離抽出などについては、さらに明確にされる必要がある。
一、国連安保理決議1441の履行により、イラク問題は平和的に解決できる。
一、アルミニウム管を購入しようとしたイラクの試みは国連決議違反に当たる。
一、査察では、禁止されている新たな核兵器開発の証拠は見つかっていない。
一、南アフリカで査察を実施したときにもIAEAは終了まで2年かかった。
一、われわれの査察は順調に進んでおり、さらに査察を進めることを許されるべきだ。
一、イラク側の積極的な協力があれば、IAEAは数カ月後に、イラクには核兵器開発計画がないと断言できる。
【共同通信】
|