コラム:「アベノミクス」の2つの長所と2つの課題=熊谷亮丸氏
財政規律の喪失と一体的に行われる大胆な金融緩和は、事実上の「マネタイゼーション(負債の現金化)」の色彩を帯びる。もし、日本で債券相場が急落(=長期金利が急上昇)すれば、歯止めのかからない悪性の円安や、輸入物価の上昇を受けた「スタグフレーション(不況下の物価高)」の発生が懸念される。
結論として、筆者は「アベノミクス」に大きな期待を抱きつつも、規制緩和やTPP参加など日本経済の体質を改善する政策がとられること、選別的に公共投資を行い財政規律を維持すること、という2点が最大の課題であると考えている。
*熊谷亮丸氏は、大和総研経済調査部チーフエコノミスト。日本興業銀行(現みずほFG)、興銀証券(現みずほ証券)、メリルリンチ日本証券を経て、2007年に大和総研入社。2002年―2011年、財務省「関税・外国為替等審議会」専門委員。東京大学法学部卒業、東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了。
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*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(here)
*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。
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