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告白


春風が桜の木を揺らす、4月中旬。
俺の前には、少し緊張気味のクラスメイトが立っている。

彼女は、綾原恋乃葉(あやはらこのは)

成績優秀、容姿端麗、運動神経抜群という超人で、男子生徒からの人気もかなり高い。
俺も、いつも教室で男子生徒に呼び出される所をよく目にする。

そんな彼女が俺に何の用なのか・・・
それに、呼び出されて、校庭の隅に来るまでかなり痛い視線浴びたぞ。
俺、結構耐えたと思う、うん。


数分の沈黙が続く中、やっと綾原が口を開いた。
「あ、あの・・・」

「何だ?」

俺の声に反応した綾原が体をビクッと震わせる。
やっぱり普通に可愛い。




「私・・・そ、その・・・あなたの事が、好きなのよ」


や、やっぱりか・・・。
俺は心の中に居るクールな俺を引きずり出し、返答させた。

「ありがとう。 いきなりでびっくりしたけど・・・俺で良かったら、よろしく」

断る理由もないからな。むしろこんなに可愛いお嬢様を断るなんて勿体なさすぎる!

「それじゃあ・・・早速。 目を閉じてくれるかしら」
綾原が俺にはにかんだような微笑みを向ける。



も、もしかして、接吻!? キス!? 大人の階段!?

俺が目を閉じ、ドキドキと胸を高鳴らせていると、








カチャ。








金属製の冷たい何かが俺の首筋に当たる。
というか・・・装着されている?

「目、開けていいわよ」

恐る恐る目を開けると、
「え」




目の前にはニコニコした綾原。

そして、俺の首には首輪。








「な、なんだよこれ!?」

「首輪よ」

「見たら分かる! 何で付けたんだよ!?」


綾原は鮮やかな桃色の頬に手を当て、体をくねらせた。

「だって、せっかく貴方が私のモノになったんだもの・・・♥ これで誰にも渡さない」

よく見ると、首輪に繋がった鎖を手首に巻いている。監禁する気かこの女!?

「ま、待てよお前! 俺がいつお前だけのモノになった!」

「さっき言ったじゃない。
【ありがとう。 いきなりでびっくりしたけど・・・俺で良かったら、よろしく】
って。私はこの言葉を死ぬまで・・・、いいえ、短くても来世までは絶対に覚えているわ」

「来世も俺はお前に貰わなきゃいけないのかよ!?」

「ええ、そうよ」
綾原が大人っぽくウィンクした。可愛いから何も言えなくなってしまう。

その時、チャイムが校庭に鳴り響いた。休み時間終了の合図だろう。た、助かった・・・。

「ほ、ほら綾原。 休み時間終わりだから、もう行かないと・・・」

「しょうがないわね。 あのチャイムぶち壊して、貴方との交流をもっと深めたかった」

その交流の深め方次第で俺の命が危ういんだがな。
綾原が俺にニコリと微笑み、俺の首輪を外しながらゆっくりと説明した。

「それじゃあ、もし浮気なんかでもしたらナイフで刺すわね。 相手も貴方も。 そして貴方をフォークで食べちゃうから。可愛いしね。 百歩譲って必要最小限の会話は許すから」

「どこからツッコめばいいんだ!?」

「ツッコミどころなんてないでしょう? じゃあ、またあとでね、王子様」

綾原は首輪を外し終わると、教室へ走って戻っていった。その首輪、見つかったらどうなるんだよ。

俺はそのままぽかんと10分ほど立ち尽くし、授業に遅れた。
先生に散々怒られたあと、授業に戻ったが、全く頭に入らなかった。





綾原恋乃葉・・・アイツは何を狙っているんだ?


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