国益を考える上で大事な国ほど、つきあいが難しい。それが外交の常のようだ。日本人を拉致したままの北朝鮮は、平気な顔でミサイルを打ち上げる。経済的に大事な中国は、国内の反日感情を政治に利用する。
「難しい国」の代表格のベネズエラはどうだろう。チャベス大統領の毒舌といえば、世界の政治指導者の中で右に出る者はいないほどだ。米国のブッシュ前大統領を「悪魔」呼ばわりし、資本主義や新自由主義を「人類の敵」とばかりにこき下ろす。そのあまりに突き抜けた激しい言葉には、敵意や憎悪だけではなく、どこか滑稽さも漂う。
もしかしたら、この人物を簡単に「権力欲の亡者」と片付けることはできないのかもしれない。有無を言わさず民間企業を接収したり、冷蔵庫、洗濯機から住宅まで国民にばらまいたり、やることなすこと破天荒だが、貧しい人々を助けたいという気持ちに嘘はなさそうだ。
■35万人に無料で音楽教育
クラシック音楽の演奏会を扱う梶本音楽事務所は、ベネズエラの交響楽団「エル・システマ・オーケストラ」の来日をサポートしている。この楽団が面白い。
スペイン語の「エル・システマ」は、英語でいえば「ザ・システム」。1975年に音楽家で政治家のホセアントニオ・アブレウ氏が提唱した青少年向けのクラシック音楽の教育プログラムだ。石油で稼いだカネをチャベス政権がふんだんに注ぎ込み、いまは全国に286カ所もの音楽教室がある。
バイオリンやチェロなどの弦楽器から、トランペット、フルート、オーボエなど管楽器まで、オーケストラで使うあらゆる楽器が無料で用意されている。レッスンも無料。楽器を持ち帰って家で練習することもできる。教室に通う子供たちは、今では約35万人にのぼるそうだ。
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