飲酒事故:若者6人死亡…遺族「イッキ飲みもうやめて」
毎日新聞 2012年12月21日 11時20分(最終更新 12月21日 12時01分)
急性アルコール中毒など無理な飲酒による事故で死亡した大学生や未成年者が今年6人に上っていることが、市民団体イッキ飲み防止連絡協議会のまとめで分かった。92年の同会結成以降では95年と並んで最多。事故撲滅を目指すキャンペーンや刑事告発、民事訴訟による飲ませた側の責任追及を支援している同会は「お酒に対する考えが甘いのか。無力感がある」と嘆いている。【山本直】
◇今年、過去最悪に並ぶ
イッキ飲み防止連絡協議会は、中央大1年の長男聡さん(当時19歳)をスキークラブのコンパでのイッキ飲みで亡くした加来仁(かく・ひとし)さんが中心になって92年に設立。子供を同様の事故で失った親たちが集まりイッキ飲みを断ったりアルコールハラスメントを拒否したりするためのグッズの開発配布など啓発活動に取り組んでいる。
しかし若者が死亡する事故は毎年のように起き95年には6人が犠牲になった。同会では名古屋市の大同工業大で96年に起きた男子学生(21)の死亡事故について学生やOB約30人を傷害致死容疑などで全国初となる刑事告発(不起訴)し民事訴訟の支援も強化。0305年にはゼロとなったものの0809年に連続で5人を数えるなど毎年死者が出ている。
今年も3月に立教大と山梨学院大の男子学生が死亡する事故が起きた。5月には小樽商科大のグラウンドで開かれたアメリカンフットボール部のバーベキューパーティーで1年男子部員(19)が救急搬送され17日後に死亡。先輩が注いだ酒を後輩が飲むしきたりがあったとされ約50人が停学などの処分を受けて廃部となった。その後も慶応大東京大で事故が相次いだ。
集計にはこの他大阪・ミナミのガールズバーで従業員の公立高3年の女子生徒(18)が急性アルコール中毒とみられる状態で昏睡こんすい)し、死亡したケースも含まれている。
95年に専修大1年だった次男直之さん(21)を旅行サークルの新入生歓迎コンパの事故で亡くした石谷師子(のりこ)・同会代表は「どうして事故がなくならないのか。若い人たちには素晴らしい人生を全うしてほしいのに悲しくなる」と話す。
◇今年起きた飲酒による若者の死亡事故◇
時期 亡くなった人 態様
2月 公立高3年女子(18) ガールズバーで接客
3月 立教大1年男子(20) サークルの合宿
〃 山梨学院大2年男子(20) 部活動の送別コンパ