東海旅客鉄道(JR東海)は、東海道新幹線において東海地震で強く長い揺れが想定される区間などを対象に新たな脱線・逸脱防止対策を実施する。現在敷設中の「脱線防止ガード」の適用区間を拡大する他、同ガードを有効に機能させるための土木構造物対策も行う。工期は2012年12月~2020年3月を予定しており、工事費は約830億円である。
新たに脱線防止ガードを敷設するのは、東海地震で強く長い揺れが想定される区間(富士川の東岸付近から浜名湖の東畔付近まで)や高速で通過するトンネルの手前、三主桁(さんしゅけた:3本の桁が線路上に露出している構造の橋梁)の手前で、その距離(上下線を合わせた距離である軌道延長)は456kmである。現在は高速で通過する分岐器の手前の区間に敷設しており、それも含めると同ガードの適用区間(軌道延長)は596kmに達する(東海道新幹線の東京~新大阪間の軌道延長は1036km)。これにより、脱線時の被害が大きい区間は全て対策を実施することになるという。
■車輪の動きを内側から制限
脱線防止ガードは、レールの内側に並行して敷設するもので、地震の揺れによる脱線を防ぐ構造になっている。一般に、地震発生時に線路が左右に揺れると、一方の車輪がレールと衝突し、その反動で反対側の車輪が浮き上がる。この状態でさらに線路が逆に動くと、脱線(ロッキング脱線)が発生する。脱線防止ガードは、レールに接触している車輪の横方向の動きをレール内側から制限することで脱線を防ぐ。
加えて、仮に脱線しても車両が線路から大きく逸脱することを防ぐために車両に取り付ける「逸脱防止ストッパ」についても、2012年度中に全編成への設置が完了する見込みだ。同ストッパは台車の中央に取り付けられ(1編成16両に対して32個設置)、脱線した場合に脱線防止ガードと干渉することで大きな逸脱を防ぐ仕組みだ。
■土木構造物にも対策
抑制脱線防止ガードを有効に機能させるため、地震時における土木構造物の変位を抑制するための対策も行う。その対象は、[1]バラスト軌道、[2]盛土、[3]高架橋、の3つである。[1]では、バラスト軌道の外側に壁を設けることで地震時のバラストの流出を抑える。[2]では、盛土の「のり面」を補強して地震時における盛土の変形で生じる沈下を抑制するとともに、「橋台裏」(盛土と橋の境界部)へのセメントミルク注入などで盛土を固めて橋台裏の盛土沈下で生じる段差を抑制する。[3]では、隣接する高架橋を連結して地震時に高架橋間で生じる水平目違いを抑える他、高架橋の柱にX字状の補強を施して高架橋上の揺れの増幅を低減する。
(日経ものづくり 高野敦)
[Tech-On! 2012年12月21日掲載]
東海旅客鉄道、東海道新幹線、東海地震、線路、脱線、富士川、盛土
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