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【富山】

「北陸の伊能忠敬」石黒信由 郷土に絵図結集

石黒信由が石動山の寺と村々の境界を測量して示した絵図=射水市新湊博物館で

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射水市新湊博物館 34点、初の企画展

 江戸時代の和算・測量家で「北陸の伊能忠敬」と呼ばれる石黒信由(のぶよし)(一七六〇〜一八三六年)が測量して作った北陸の絵図の企画展が、射水市鏡宮の市新湊博物館で開かれている。現代の地図との誤差3%以下の精度で作った信由の地図に絞り三十二点の国重要文化財と二点の個人蔵が初めて一堂に展示されている。二十四日まで。

 信由は射水市高木の地主・村役人の家に生まれ、和算などに励んだ。農民の身分だが加賀藩の命を受け、測量や絵図を作製した。

 境界争いを百数十年続けた石動山の寺と周辺の村々(現氷見市、石川県中能登町)の二・五メートル四方の絵図は、藩が「争論の対象地の三分の二を村々、残りを寺に」と境界を決め、信由が七日間で測量し、新たな境界線を示した。この絵図で争いはなくなったという。

 藩が領内を測量し直して税収増を目指そうとしたが、信由の測量で、藩の帳簿より実際の田畑が小さく、農民が不当に高い年貢を払わされてきたことが分かった絵図も展示されている。

 これまで石黒家の信由から四代目までの当主による和算などの資料を「高樹(こうじゅ)文庫」として収蔵、展示。地図の作製者を判定する研究が進んだため、展示を初めて信由の絵図に絞った。野積正吉主任学芸員は「精度の高い地図を作った郷土の偉人を知って」と来館を呼び掛けた。

 火曜休み。高校生以上三百円。問い合わせは、博物館=電0766(83)0800=へ。 (石川尚里)

 

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