カキ:新ブランド「あたまっこ」試食会 甘みあり歯ごたえもいい−−塩釜の離島・浦戸復興協 /宮城
毎日新聞 2012年12月21日 地方版
◇昔岸壁で採った懐かしい味
塩釜市の離島・浦戸地区の養殖漁業者や水産研究者らで作る「浦戸諸島の復興・活性化協議会」(会長・千葉真澄県漁協浦戸支所運営委員長)が19日夜、カキの新ブランドとして開発中の「あたまっこ」(仮称)の試食会と意見交換会を市内のレストランで開いた。
「あたまっこ」は地元の呼び名で元来、養殖棚の上部につるされたカキを指す。干満の差で海面上に干上がることがあるため小ぶりで殻は硬い半面、身が締まってうまみも濃厚であることが特徴。
量産できずに商品としては敬遠されてきたが、浦戸地区では4年前から、独自の採苗器や育成ネットを使い、通常とは違う「一粒カキ」タイプの特産品として取り組み、震災や今夏の海水温高温による生育不良を乗り越えて今季も約7000個を試作した。
この日は、関係者や消費者ら約40人が、通常のカキと食べ比べ、料理家によるオイスターチャウダー▽カキとセリのリゾット▽カキペースト−−など新作料理も味わった。出席者からは「甘みがあり歯ごたえもいい」「昔、岸壁で採ったようななつかしい味」などの感想が相次いだ。
事業化には養殖技術以外にも流通面などで課題は多いが、千葉会長は「外部の人の認知が欲しかった。おおむね好評なので、事業化に励み、島の震災復興と漁業者の生活安定に役立てたい」と話した。【渡辺豊】