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コリョリンクの親会社であるオラスコム・テレコムは、2011年4月にロシア第2位の携帯電話事業者ヴィンペルコムへ売却された(注1)。これに伴い、本来であれば、コリョリンクもヴィンペルコム傘下に入り、サウィルス一族による経営から引き離される運命にあったと言える。
しかし、北朝鮮の携帯電話事業を含む一部事業は、引き続き自己の支配下に置いておきたいとするサウィルス一族の強い意向の下、オラスコム・テレコムからスピンオフされ、同一族が新設した持株会社、オラスコム・テレコム・メディア・アンド・テクノロジー(以下、OTMT)へ移行された(図1)。同社の会長には、オラスコム・テレコムで会長を務めていたナギブ・サウィリス氏が就任しており、経営方針もそのまま引き継がれた模様だ。
▼図1:コリョリンクへの出資関係図(※画像をクリックして拡大)
出典:オラスコム・テレコム及びOTMTの各種資料に基づき作成
サウィルス一族は何故、ここまでして北朝鮮の携帯電話事業に固執したのだろうか? その解は、決算数値から読み取ることができる。オラスコム・テレコムの2011年第3四半期決算(注2)によれば、携帯電話事業全体の営業収益に占めるコリョリンクの比率は約4%と低い(表1)。
▼表1:5市場の業績比較(オラスコム・テレコムの2011年第3四半期決算より)
出典:オラスコム・テレコムの2011年第3四半期決算を基に作成
松本 祐一(まつもと・ゆういち)
情報通信総合研究所副主任研究員。日本国際通信(現ソフトバンクテレコム)及びNTTコミュニケーションズで、在日外国人市場における国際電話サービス販売促進業務に携わる。2008年4月より現職。海外のモバイル市場に関わる調査業務に取り組むとともに、会員向け情報提供サービス「InfoCom モバイル通信T&S」の編集・執筆を担当。
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