古市さんの新刊で面白いデータが紹介されていたので、切り出してご共有。
起業家に優しくない国・ニッポン
調査によれば、日本の起業率は国際的に見てもかなり低い水準にあるそうで。
国際的な企業調査GEMによれば、世界的に見ても最も起業活動が盛んな国はバヌアツ、ボリビア、ガーナ、ペルーといった発展途上国だ。こういった国では雇用機会がほとんどなく、自分でビジネスを営んだり、一次産業に従事したりするしかないから起業率が高まる。(中略)そして、日本の(起業率)ランクは、84カ国中84位。
内閣府の調査(2003)でも、やはり低く出ていますね(参考)。
さらに、市民の起業家に対する価値観もひどいものとなっています。
実際の起業活動のみならず、様々な条件において日本は「世界で最も起業しにくい社会」であるという。
まず起業家が尊敬されていない。自分の国の人が、起業家になることを望ましいと思っているかを聞くと、「はい」と答えた人がオランダでは82.0%、アメリカでは59.4%、ノルウェーでは59.0%だったのに対して、日本ではわずか28.8%。世界最下位だ。
またビジネスで成功した人が尊敬を手に入れられるかを聞くと、「はい」と答えたのはフィンランドで86.9%、ドイツで75.2%だったのに対して、日本では50.6%。堂々のワースト2位を記録した。
ITベンチャー界隈に出入りしていると、「日本だと起業家はモテない」という言説がちらほら嘆かれていますが、これは本当なのかもしれませんね…。
最後に、悪くない数字だったのが「メディアからの注目度」。ただし、お察しのとおり、これは喜ばしい話ではありません。
日本で唯一、ランキングがまあまあだったのがメディアからの注目度だ。成功した起業家たちの物語をテレビや新聞などで目にする人の割合は57.3%で、世界56位。ただこれはちっとも嬉しくない。
成功しても起業家の地位は低く、職業としての起業家も賞賛されず、ただメディアでは取り上げられる。はじめはちやほやされても、すぐにバッシングされるのがオチだ。
ホリエモンの例を挙げるまでもなく、日本では「成功者」がひとたびミスを犯すと、「正義」の名のもとに匿名でボコボコにする文化がありますからね。本当に成功しているのなら、起業家の方々はマスレベルのメディアになんて出るものじゃないと思います。
そんなわけで、起業家という生き方は、日本においてはなかなかのハードモードといえそうです。僕はそんな獣道を行く彼らを応援したく、日々活動しております。リスクテイクするのは、それだけで尊敬に値すると僕は思いますけどねぇ。
日本では起業家が少ないということは、それだけ人材市場における価値も高いと言えるのではないでしょうか。例えば、「一度起業して失敗したことがある人」と「ずっとサラリーマンをやってきた人」では、前者のほうが人材市場での競争優位性が高いでしょう(業種や職種にもよると思いますが)。
起業自体を目的にするのもズレた話ですが、あえてハードモードを経験するというキャリアは、すでに十分合理的な気がします。
その他、目から鱗の社会データがたくさん収録されています。もちろん書籍の内容自体も面白く、コストパフォーマンスの良い一冊という印象。幅広くおすすめです。