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ノロウイルス集団感染で6人死亡 宮崎
12月23日 13時47分

ノロウイルス集団感染で6人死亡 宮崎
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宮崎県日南市の病院で、入院患者と職員、合わせて44人がおう吐や発熱の症状を訴え、このうち70代から80代の入院患者6人が死亡しました。
宮崎県はノロウイルスによる集団感染とみて調べています。

宮崎県などによりますと、日南市南郷町の医療法人春光会東病院で今月12日から22日にかけて入院患者30人と職員14人の合わせて44人がおう吐や発熱などの感染性胃腸炎の症状を訴えました。
このうち70代から80代の男性の入院患者6人が、22日までの9日間に相次いで死亡し、5人が重症だということです。
死亡した6人はいずれも吐いた物が気管に入るなどして、肺炎を起こしたということです。
病院が簡易検査を行ったところ症状を訴えた44人のうち、5人からノロウイルスの感染を示す陽性反応が出たということで、宮崎県は、ノロウイルスによる集団感染とみて調べています。
春光会東病院では、症状を訴えている人を隔離するとともに今月17日から1週間、外来の診療を休診しています。
宮崎県は県内の医療機関や福祉施設などに対して患者が吐いたものを素手で処理しないといった感染予防の対策を徹底するよう呼びかけています。
病院のホームページによりますと宮崎県日南市の春光会東病院は、平成11年に開設され、内科、胃腸科などが専門の病院で、ベット数は64となっています。
病院では、ノロウイルスによる集団感染の発生と、当分の間、入院患者への面会ができないことを知らせる紙が正面玄関に貼り出されています。
病院には、時折、入院患者の家族が訪れ、インターホンで職員と話をしたり、着替えなどを渡したりしていました。
入院している夫の着替えを持ってきた女性は、「病院から夫は感染していないと説明を受けていますが、心配なので詳しく話を聞きたい」と話していました。

病院側“患者増え報告きちんとできず”

春光会東病院によりますと、亡くなった患者6人はいずれも高齢で体が不自由なため病院ではいつもベッドで寝ていたということです。
そして、今月14日に最初の1人が死亡したあと、22日までの9日間で6人が相次いで亡くなったということです。
最初に死亡した患者は亡くなる2日前の今月12日に発熱とおう吐の症状を示しましたが、病院側はノロウイルスの感染とは思わず、体調不良として対応したということで、その結果、ウイルスの感染を拡大したおそれがあるとしています。
また、患者が相次いで亡くなる事態について、県へ報告したのは22日が初めてだったということです。
春光会東病院の宮路重和理事長は「爆発的に患者が増えたので、対応に追われて死亡報告というのがきちんとできなかった。申し訳なかった」と話していました。

流行は“年末にかけ拡大”

ノロウイルスは、感染力が非常に強く、ウイルスが付いた手や食べ物などを介して口から感染し、激しいおう吐や下痢を引き起こします。
健康な大人の場合は、数日で回復しますが、子どもやお年寄りなどでは脱水症状を起こして重症化したり、吐いた物をのどに詰まらせて窒息し死亡したりするおそれがあります。
特に、ことしはノロウイルスの新しい遺伝子変異が全国で確認されていることから、感染が広がりやすくなっていると指摘されています。
国立感染症研究所によりますと全国の小児科から報告されるノロウイルスなどによる感染性胃腸炎の患者は8週連続で増加し、今月9日までの1週間で1施設当たり19.62人と去年の同じ時期の2.2倍で、この10年では全国的な大流行となった平成18年に次ぐペースで増えています。
都道府県別では今回、ノロウイルスの集団感染が明らかになった宮崎県が35.94人ともっとも多くなっています。
また先月下旬から今月にかけてノロウイルスの感染で死亡したとみられるケースが、大阪府と大分県、それに京都市の病院で確認されていて全国で、少なくとも70代から90代の5人のお年寄りが死亡しています。
国立感染症研究所では流行は年末にかけてさらに拡大するとみて手洗いをこまめに行うとともに、下痢やおう吐などの症状のある人が出た場合、マスクや手袋をした上で、周囲を塩素系の消毒剤で拭き取るよう呼びかけています。

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