野生ライオンのほとんどがアフリカのサハラ砂漠以南に生息しているが、インドライオンの小さな一群がインドの野生動物保護区、ギル森林に生存している。インドライオンとアフリカライオンは同一種の亜種である。
かつてインドライオンは中東からインドにかけて生息していた。現在では、この威風堂々とした動物も野生では200〜260頭ほどしか生存していない。ギル森林の乾燥したチーク林は、かつて王室の狩猟場だったが、いまでは絶滅寸前のインドライオンが手厚く保護される禁猟地になっている。そのほかに、200頭ほどのインドライオンが動物園で飼育されている。
ライオンはネコ科の中で群れを形成する唯一の動物だ。プライドと呼ばれる群れは最大で3頭のオス、12頭前後のメスとその子どもたちで構成されている。メスはすべて血統が同じで、メスの子どもは成長しても群れに残る。幼いオスはいずれ群れを去り、ほかのオスが率いる群れを引き継ぐ。オスだけが頭の周囲を覆う見事なたてがみを持ち、自分の群れの縄張りを守る。この迫力満点の動物は尿で縄張りをマーキングし、侵入者を威嚇するが、それでも侵入してくるものは力ずくで追い払う。
群れでは主にメスが狩りをするが、大型哺乳動物を捕らえるために互いに協力し合う。グループによる狩りが終了すると、獲物の分け前や食べる順番をめぐってしばしば激しい争いが起こるが、子ライオンがエサにありつけるのは最後である。子ライオンはおよそ1歳になるまで狩りに参加しない。時には単独で狩りをすることもあり、ハイエナやリカオンの獲物を横取りすることもある。