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組織揺るがす警部補の凶行

2012/12/24付
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 驚くべき事態というほかない。富山県警の現職警部補が、付き合いのあった夫婦の首を絞めて殺害し、放火した疑いで逮捕された。容疑を認めているという。

 警察官がこれほどの事件を起こすとあっては、理不尽な犯罪に巻き込まれた弱い立場の人びとはいったい何を頼ればいいのか。

 県警幹部らの監督責任が厳しく問われるのはもちろん、警察庁や全国の警察は、組織にとって致命的ともいえる問題が起きている事実をしっかりと受け止める必要がある。全力をあげて病巣に切り込み、対策を打ち出すべきだ。

 ここ数年、全国の警察で不祥事が相次いでいる。だが市民を守る立場の警察官が市民2人を殺害したこの事件は、悪質さや凶暴さが際立つ深刻なものだ。

 容疑者は警部補という幹部警察官であり、過去の警察官による殺人事件と比べても重大である。しかも殺害は計画的で、犯行後に証拠隠滅のため火を放ったとみられるなど、極めて残忍だ。

 警部補は常に200万円程度の借金を抱えている状態だったといい、逮捕情報を外部に漏らして起訴されてもいる。管理者や周囲は警部補の行為に気づかなかったのか。不祥事対策として実施されている身上把握などが有効だったのかどうか点検する必要がある。

 2010年4月の殺人放火事件の発生直後、県警は警部補を参考人として事情聴取している。なぜ当時は関与が解明できず、2年8カ月たって逮捕に至ったのか。

 この間、警部補は知らぬ顔で警察官として職務を続けていた。身内意識から追及が鈍るようなことはなかったか。県警は逮捕にいたる経緯を明らかにすべきだ。

 治安の良さは日本が世界に誇ってきた社会インフラである。だが警察が国民の信頼を失えば、「安全に暮らせる」という基盤もたちまち揺らいでしまう。警察は、今回のような事件が組織にとっての危機であるばかりか、日本社会をも危うくしかねない事態であることを認識しなければならない。

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