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(6時間44分前に更新) |
沖縄タイムス社は2012年の県内十大ニュースを選定した。1位は、10万人の県民大会が開かれたにもかかわらず強行されたオスプレイ配備問題だった。2位は米兵の相次ぐ暴行・侵入事件。3位は4選挙区のうち3選挙区で自民党が当選した衆議院選挙。15、16、17号と本島を直撃、浸水や大規模停電、負傷者を出した台風被害が4位に入った。このほか、復帰40年式典で仲井真弘多知事が普天間飛行場の県外移設を訴え(5位)、環境影響評価書に対する知事意見で「不適切」が579件(8位)など、米軍基地絡みの事案が4件に上った。
1・オスプレイ反対10万1千人集結
普天間に強行配備
米軍の垂直離着陸輸送機オスプレイは4月にモロッコ、6月に米フロリダで相次いで墜落事故を起こし、安全性への懸念が高まり、9月9日に開かれた県民大会では参加者10万1千人(主催者発表)が「オール沖縄」で配備反対を訴えた。
しかし日米両政府は既定方針を変えず、7月の岩国基地(山口県)への陸揚げ・一時駐機を経て、10月1日に6機が普天間に飛来。その後、計12機が強行配備された。
訓練は沖縄本島全域にまたがり、運用ルールを定めた日米合同委員会合意に違反する飛行が常態化。午後10時以降の夜間訓練も頻繁に行われている。
県や関係市町村は飛行データを収集して分析し、日米両政府に申し入れる考えだ。
2・米兵事件相次ぐ
オスプレイの強行配備から2週間が過ぎた10月16日、本島中部で2米兵による集団強姦(ごうかん)致傷事件が発生した。女性のバッグも奪う凶悪な犯行で2米兵はその後、起訴され来春にも裁判員裁判で裁かれる。
事件を受け、在日米軍は深夜の外出禁止令を出したが11月2日には読谷村で空軍兵が酒に酔い住居に侵入、部屋にいた中学生を殴打する事件が発生。さらに同月18日には那覇市で同じく酔った海兵隊員が住居に侵入した。禁止令を立て続けに破った米兵の相次ぐ事件は、県民の怒りを増幅させた。
事件のたびに繰り返される再発防止策の徹底、綱紀粛正は有名無実化しており、日米地位協定の抜本改定を求める声が上がった。
3・衆院選 自民が圧勝
沖縄選挙区は3氏
第46回衆院選挙が12月16日に投票、即日開票され、沖縄選挙区は1区で自民新人の国場幸之助氏、2区は社民前職の照屋寛徳氏、3区は自民新人の比嘉奈津美氏、4区は自民元職の西銘恒三郎氏が当選した。九州比例ブロックで共産前職の赤嶺政賢氏、自民新人の宮崎政久氏、未来前職の玉城デニー氏が復活当選した。
前回衆院選で1970年の国政参加以来初めて議席ゼロの屈辱を味わった自民は、小選挙区に擁立した4候補が、比例も含めて全員当選し、圧勝した。
96年に小選挙区比例代表並立制が導入されて以後、県内から7人の当選者が出たのは、2003年と05年と並び過去最多。投票率は56・02%で、衆院選では過去最低となった。
4・最大台風襲来 生活を直撃
ことし夏から秋にかけて台風が頻繁に襲来。猛威が県民生活に大きな影響をもたらした。
8月下旬、9月中旬の台風15、16号は、中心気圧が910ヘクトパスカル、最大瞬間風速70メートルの猛烈な風が吹き荒れると事前の予想があり、沖縄気象台は異例の会見を開いて「最大規模の警戒」を呼び掛けた。
実測値はそれほど大きくならなかったが、16号では潮位が一年で最も高くなる9月の大潮の満潮時と重なり、住宅や道路で浸水、冠水の被害が相次いだ。
被害が最も大きかったのは9月末の台風17号。1人が死亡、けが人は90人に上った。県内の6割にあたる約33万戸で停電。家屋倒壊や浸水、高潮の被害が広がった。
5・沖縄復帰40周年
知事「県外移設」訴え
5月15日、宜野湾市の沖縄コンベンションセンターで開かれた「沖縄復帰40周年記念式典」の式辞で、仲井真弘多知事は米軍普天間飛行場の県外移設をあらためて訴えた。
仲井真知事は「普天間飛行場の県外への移設、早期返還を県民は強く希望している」と強調。野田佳彦首相や衆参両院議長、ルース駐日米大使を含む県内外の約980人を前に「(東日本大震災)同様に沖縄の米軍基地の問題についても県民とともに受け止めていただきたい」と国民的議論を求めた。
一方、防衛省は名護市辺野古移設に向けた環境影響評価(アセスメント)の補正評価書を県に提出した。続く公有水面の埋め立て申請を仲井真知事が承認するかどうかが注目されている。
6・1万2千年前の人骨・石器発見
南城市玉城にあるサキタリ洞遺跡の約1万2千年前の地層から、人骨とともに石器や獣骨が発見された。旧石器時代の人骨と石器が同じ遺跡で出土するのは国内初で最古の事例。調査を続けてきた県立博物館・美術館が10月19日、発表した。遺跡は約1万8千年前の人骨(港川人)が発見された港川フィッシャー遺跡から約1・5キロの場所。それまで港川人の時代と約6千~7千年前(縄文時代)の間の人骨が発見されていなかったことから、この間の空白を埋める発見として注目された。同じ地層からは貝や、食べた跡があるイノシシの骨が見つかっており、当時の人類がどんな生活をしていたのかを知る手掛かりとしても注目されている。
7・宮里美香 米初V
女子プロゴルフの宮里美香(那覇市出身)が、8月17~19日のセーフウェー・クラシック(米オレゴン州のパンプキンリッジGC)で、通算13アンダーの203で米ツアー初優勝を飾った。
日本人選手では8人目。米ツアー出場資格を持っての22歳(当時)での優勝は、2009年に24歳でエビアン・マスターズを制した宮里藍を抜いて日本人最年少となった。
宮里藍は今季2勝し、米通算9勝目を挙げた。上原彩子は来季の米ツアー出場権を懸けた最終予選会で、日本人最高の3位通過を果たした。
6月の日本女子アマチュア選手権で2連覇した比嘉真美子(本部高出)は、7月の日本女子プロゴルフ協会のプロ試験に合格した。
8・普天間アセスに知事意見
米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた環境影響評価(アセスメント)の評価書に対し、県は2月、3月に相次いで計579件の知事意見を提出。評価書で示された対策では「環境保全を図ることは不可能」と指摘した。
膨大な知事意見を受け、防衛省は評価書の補正作業に着手。第三者の意見を聞くため有識者研究会を設置した。研究会の提言を踏襲した補正評価書は12月18日、県に提出された。
2007年の方法書提出から始まったアセス手続きは事実上終了。移設に向けて今後、埋め立て承認申請の時期に焦点が移る。一方、日米両政府は4月、米軍再編見直しで合意し、普天間移設と在沖海兵隊グアム移転を切り離した。
9・宜野湾市長に佐喜真氏
27年ぶり 保守市政奪還
米軍普天間飛行場を抱える宜野湾市長選は2月12日投開票され、新人で前県議の佐喜真淳氏(48)が、元市長の伊波洋一氏(60)を900票の小差でかわして初当選。保守市政を奪還した。
前職安里猛氏の病気辞職に伴い、急きょ決まった首長選は保革一騎打ちの超短期決戦。さらに真部朗沖縄防衛局長(当時)が職員に講話を行った問題が発覚。全国の注目を一層集めた。
選挙戦で両氏は政治姿勢を異にしながら、普天間の移設先はともに県外をアピール。佐喜真氏は「チェンジ」をスローガンに掲げ、最終盤で逆転した。真部氏は防衛省訓令に基づき「訓戒」処分となった。
11月の那覇市長選は、現職の翁長雄志氏(62)が圧勝で4選を果たした。
10・県、「慰安婦」の記述削除
第32軍司令部壕説明板
沖縄戦の指揮を執った第32軍司令部壕の説明板から、県が「慰安婦」「住民虐殺」の記述を削除したことが2月、明らかになった。英文からは「捨て石」の表現が抜け落ちた。
文案を作った検討委員会の専門家らは「日本軍の特徴や沖縄戦の実相を覆い隠すもの」と復活を求め、資料や証言の掘り起こしが続いた。しかし、県は「確証が持てない」として拒否。3月、説明板を首里城公園内に設置した。
県は本年度、32軍壕の危険性を調査している。軍が撤退した時の爆破や戦後67年の経年劣化で落石などがあり、地質の専門家らの意見を聞く。「埋め戻すかどうかも含めて検討する」といい、結論は来年3月までに出る。
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